銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン

隔週水曜19:00-20:00ON AIR

EVENT REPORT

vol.92015.10.0219:00-20:00

土田英生 × 山崎晴太郎 / REAL TALK SALON

山崎
ラジオはいかがでしたか?
土田
僕は、勝手にすごい共通項が見つかった感じがしていて。落ち着きのないところが一緒だな、と(笑)。
山崎
そうですね(笑)。
土田
僕も多動症だったんですよ。授業中にビー玉を投げつけたり、わりとそういうタイプなんですよね。
山崎
わりとそうですね。僕は、今日のラジオで、自分がやっぱり演劇が好きなんだなというのを感じましたね。
土田
役者やっていたわけでしょ、だって。ラジオでは、あまりしゃべれなかったけど、なんで演劇を諦めたのかを、逆にちょっと聞きたいなと思っているんだけど。
山崎
諦めたというか、やりたいことがありすぎたというか
土田
演劇だけでは、ちょっと収まらないなと思った?
山崎
すごくシンプルな話で言うと、役者をやっていて、もっと全部つくりたいと思ったんです。演出はまた、たぶんちょっと別なんですけどね。
土田
なるほど、なるほど。たとえば、僕の場合だと、21歳の時に劇団をつくって、自分で台本を書いて演出もして、そこから26年やっているんですけど、そういう方法もあるじゃないですか?でも、そっちに行かずに、ニューヨークに行って映画撮ってみたり、写真やってみたり、広告代理店に入ってみたり。そういう落ち着きのない人生じゃないですか?(笑)なぜ、そういうことになったのかな、っていう?
山崎
なんででしょうね(笑)。ただ、ラジオでもちょっと話したみたいに、はじめから「パーンッ」といけるタイプの役者がいて。
土田
いわゆる、天才型のね。
山崎
僕は結構ジワジワとあげていくタイプだったので、そういうタイプにすごく憧れていて、だけど、それが全然うまくいかなくて、「ここでは勝てないんじゃないか?」と思ったのは、やっぱりちょっとあるかもしれないですね。
土田
そこも似ていて。みんなあると思うけど、夭折に憧れるというか。僕、できたら25歳ぐらいで死にたかったんですよ。その代わり、ものすごい才能を発揮して。
山崎
わかります(笑)。
土田
それで、ちょっと夭折の範囲を広げて、30歳ぐらいまで(笑)。そうやっているうちに48歳になっちゃったんですよ。今はまだ、だめなんですよ。逆に今死んだら、ただのちょっと早死になっちゃう。こうなるともう今度は長生きするしかない(笑)。
山崎
僕も、30歳に死ぬと思っていましたよ。やっぱり、天才に憧れはありますよね。だから、「どこなら天才になれるかな?」って思っていたのかもしれないですね。
土田
ジャンルね。僕も、わりとなんでも器用にできたほうなんですよね。ただ、掴むのは早いですけど、1番になれないんですよ、なにをやっても。徒競走ってあったでしょ?僕、ずーっと4番だったんです。6人で走って4番なんですよ。わりと足は速いほうなんですけど、毎年ほら、だいたい同じメンバーで走るでしょ。でも、ある年に身長差とかで一個下のグループに下がって、「ここなら1位になれるな」と思ったら、やっぱり4番だったんです。その時に、「あっ、だめだ」と思いました。
山崎
似ているのかもしれないですね、そういうのは。ないですもんね、ずっと一番でありつづけたやつ。だから、表現っていう括りのなかで一番になりたいな、と。
土田
なるほど、総合的に。ドラクエで言えば、癒し系の職業を突きつめるわけでもなく、戦士としてめちゃくちゃ強くなるわけでもなく、戦士としてもそこそこだし、魔法もできると。
山崎
魔法戦士みたいな(笑)。
土田
そういうところを狙っているのか。なるほど。僕もわりと魔法戦士型です。「癒すこともできるよ」って。そういう共通項があるなって。でも、僕のほうが少し歳上だから勝手に言わせてもらうと、将来がちょっと心配(笑)。
山崎
僕も心配ですよ(笑)。でも、役者も別に諦めた気はないんですよ。
土田
だから、きっとまた役者をやるなと思うんですよ。やりますよ、そのうち。
山崎
時期をどこにすればいいのかが見えていないですけど、やりたいとは思いますね。
土田
やっぱり2カ月は空けないと、舞台はできないですからね。台本とか書いてみたらどうですか?
山崎
本書きが苦手なんですよね。なんか「書かなきゃいけない」みたいのって、あるじゃないですか?それこそ映画を撮っても、「脚本を書いてこその監督だろう」みたいなのがやっぱりあるので。一応、ニューヨークでも監督のコースだったので、やってはいたんですけど。結果、やっぱり僕がいちばん嵌ったのは、アートフィルムみたいなやつなんですよね。
土田
たとえば演劇でも、前衛的でコンテンポラリーなものもあるじゃない?
山崎
そうですね。コンテンポラリーのほうが合うかもしれないですね。
土田
それなら、いっぱい紹介したい人いますよ。僕は、抽象概念があまり理解できないので、あれなんですけど。
山崎
僕にとっては、そっちのほうが楽なんですよね。
土田
そうですか。でも、意味がわかんないんですよ。手、2時間ヒラヒラさせながらしゃべったりする芝居とか、時々観させられるんですけど。「なぜ、手をヒラヒラさせるんだ!?」って聞きたいんですけど、これを聞いたら馬鹿だと思われるから、ちょっとわかったふりをして。
山崎
それが許されるんですよね、抽象って。やっているほうも、全然説明できないんだけど、なんかそれでも「手をぶらぶらさせよう」っていう、なにかはあるんですよ。
土田
僕ね、今ちょっと、「抽象はあんまり好きじゃない」的なニュアンスでしゃべりましたけど。笑いでもそうだけど、なぜ笑えるかわからなくても、笑えるものさえつくれれば、全然いいんですよ。いちばん腹が立つのは、「こうでしょ?」って言ってつくって、全然笑えないものってあるじゃないですか?
山崎
ありますね。
土田
こういう、ちょっとわからないことをやるのがいいだろう」っていう制作者のまがい物感が漂っているもの。だから、本当に手をぶらぶらさせたいと思って、ぶらぶらさせてるなら許せるけど、「今は手をぶらぶらだろ?」ってつくったものが嫌い、っていう。
山崎
それは僕もそうかもしませんね。
土田
でも、たとえば、建物の内装とかになれば、窓は開かなきゃだめでしょ、やっぱり。「なんとなく窓を斜めにつけてみました」だけではだめでしょ。そこはどう折り合いをつけるんですか?
山崎
そこは考え方が全然違っていて。頭の使い方がジャンルによって違うのは違うんですよね。建築とか内装とかインテリアとかって、使い勝手だったり、機能だったり、時間軸に責任を持たなきゃいけないとか、そういうことがあるので。
土田
そうですね。朽ち果てるようなものじゃだめですもんね。
山崎
だから、それは、解き方がちょっと違う感じですかね。公式が違うというか。
土田
じゃあ、そこに別にストレスはないんですね。
山崎
全然ないですね。それは、「美しさとはなにか?」みたいな概念が根底なんですけど。それって、建築的には気持ちのよい開口部のほうが美しいわけですよ。だけど、アートとかコンテンポラリーの文脈だと別のことが美しいという概念もあって、それを複合化して高い場所に辿り着きたいという欲求なんですよね、僕の場合は。
土田
なるほど、美しさ。人によって価値感は違うかもしれないけど、芝居をしていても、「なにを出したいか?」って言ったら、やっぱりその人の美しさを提示したいと思うんですよね。そこに、自意識がちょっとでも介在すると、美しくなくて。だから、自然であればあるほど美しい。僕、「MONO」っていう劇団をやっているんですけど、そこに奥村くんという役者さんがいて。彼は、舞台美術家として食っているんですよ。舞台美術の世界でわりと有名なんです。
山崎
そこから役者になったんですか?
土田
もともと僕も舞台美術を頼んで、彼に。だけど、稽古場に見にくると、普通、舞台美術家って稽古での役者の動きとかを見て、自分のイメージした試作品と合わせていくんですけど。奥村くんは、なんか台詞を言っているんですよ。「あいつ、なんで台詞を言ってるのかな?」って思って、ある時に「いつもさ、台詞を言ってない?」って聞いたら、「言っちゃってますね」と。それで、ちょっとおもしろいから一回舞台にあげたんですよ。そしたら役者に目覚めて。本職は舞台美術で食っているんですけど、うちの劇団では役者をやっているんですよ。でも、僕がラッキーだなと思ったのは、美術プランは外に頼むと高いんですけど「劇団員だったら安く使えるな」と考えて。けど、ある時に「役者に専念したい」って言い出して。うちの劇団では美術をやめちゃったんですよ(笑)。
山崎
外では美術をやっても、「MONO」ではやらない(笑)。
土田
でも、彼が自分で美術を建て込んだ後に、舞台美術を見て悩んでる時の顔が、ものすごく美しいんですよね。たぶん、彼は「どう見られたい」とか、全く意識をせずに、「違うな」とか思っている。普通に見たら格好つけているような顔でも、本当に考えているから、本当に美しいと思うんですよ。「あの顔を舞台で出そう」と思って台詞を書くじゃないですか、そうするとそれを出すのは難しいんです。人は演じるとき、「ここは格好いいシーンだな」と思って顔をつくるんですよ。その顔は全く美しくない。永遠の課題なんですよ。役者に自意識を忘れさせて、あの美しい無意識でぼーっとしてる顔を、お客さんがいる前でそのまま出すっていうことが。すごく難しいですよね。
山崎
その方法論みたいなものは、見つかりはじめているんですか?
土田
まだ、見つかってはいないですけど。ひとつは、全く格好いいシーンじゃないように見せて演出する。演出の駄目出しをする時に、全然違うことを言う。「ここは間抜けにやってくれ」とか、わざとそこのシーンで間抜けな衣装を着させたりして、格好つけようがない状態にする、とか…。いろいろと、そういう矛盾を与えて、結果、それが出るように、みたいなことはしてますけど。でもね、初日を迎えると、わかっちゃうんですよ、もう。
山崎
格好いいシーンだって、気がついちゃう?
土田
例えばさっきの奥村君の例で言うと、『約三十の嘘』っていう作品があるんですけど。詐欺師がみんなで電車に乗って北海道に行く。その行きと帰りだけを舞台にしているんですよ。で、その詐欺師のリーダーである奥村くんが、電車の中から窓の外を眺めて、ただ流れている川を見て泣く、っていうシーンがあって。「川はそこにあるのに、なぜ人間はただそのままいられないんだ」って泣くという。それで、奥村くんが川を見て泣いているところで、他の人たちが「あいつ、なにしてるの?」「なんかわかんないですけど、川を見て泣いてるんですよ、くしゃくしゃな顔して」って言って、みんなが、「えっ?」って言ったところで、バンって芝居が終わるんですよ。そのシーンが、初日にすごくよかった。だけど、2日目からはやっぱり少しずつ泣いていることを意識して行ってしまうんです(笑)。
山崎
変なバイアスが入っちゃうと、意図的な感じが出ちゃうんですね。
土田
舞台はね、生ものなんです。だから、本当の方法論は見つかってない。
山崎
難しいですね、そのへんは。「こいつは役者に向いている」とか「こいつは向いてない」とかってあるんですか?
土田
簡単に言うと、一般的に向いてそうにない人のほうが向いていますね。クラスの人気者っているでしょ。だいたい役者になれないですね。わりと自然に距離を取れちゃう人なので、リアルなものは出ない。どちらかというと鬱々として青春時代を過ごしているぐらいの、「自分はコミュニケーションに問題があるな」って自覚しているぐらいのバランスの人が向いているんじゃないですかね。
山崎
それは、クラスの人気者みたいな人は、日常が薄い演技になっちゃっているからということですか?
土田
そうなんです。あと、人気者かどうかわからないですけど、国語の授業で本読みがうまかった人はだいたいダメですね。なぜかと言うと、「きれいにしゃべろう」とか、そっちに意識が行っちゃってる。それと、中途半端なイケメンが厳しいですね。そういう人に限って、自意識過剰になっているんですよ。「俺、格好いいだろう?」と思っちゃっている人は。
山崎
見せる感じになっちゃうんですよね。
土田
そうなんですよ。逆に格好よすぎて自分の価値に気づかず、「俺、おもしろくなりたいんですよね」って悩んでるぐらいの人は、ちょうどいいんですけど。「俺、格好いいでしょ?」「この角度いいでしょ?」って言っているのは、だいたいだめですね。だから、とんでもなく不細工な人とかはいいんですよ。中途半端な不細工はだめですよね。なんとか不細工じゃないようにしちゃうから。これが自意識につながって、きつい。
山崎
なるほど。ちなみに、演出をする人というのは、みんな役者から演出に進むんですか?
土田
いや、演出だけやる人もいます。でもやっぱり役者を経験しておいたほうがいいですけどね。
山崎
そうですよね。役者のほうも、ちょっと思うところがあるじゃないですか?
土田
本当に有能な演出家は大丈夫だと思いますけどね。僕が「役者をやっていてよかったな」と思うのは、どれだけ稽古をして準備をしても、本番でとちったりするんですよ。その気持ちはわかるので、努力しているのに失敗したものには腹は立たなくなりました。良いとちりと悪いとちりがあるから「そこは見ないとな」っていうふうには思いますね。
山崎
逆に、役者をやっていて、マイナスだったっていうことはあります?
土田
僕ね、劇団では自分もちょっと出演するんですよ。だからそこですかね。すごく腹立ってるんですよ、昨日のできが悪くて。でも、自分もとちってるんですよ(笑)。そういう時にね、でも言わなきゃいけない、ぴしっと。「なんなの、だめじゃん、なんであそこで噛むの!」「うん、俺も、はい!」みたいな、わけわからないことになるんですよね。自分にも怒ったりして、「すいません」って(笑)。
山崎
なるほど、それは、現役でやられている人ならではの悩みですね(笑)。ちなみに、今後どうしていきたいみたいなことはあるんですか?
土田
僕ね、今までに、「これはいった!」というのがなくて。もちろん、舞台での手応えはありますよ。でも、それで爆発的に周りが動いたっていう経験がないんですよ。僕、よく演劇界でも、「土田君、いつの間にかいるよね」って言われるんですよ。みんなだいたい、ブレイクした時期というのが…。
山崎
なにかしらがある?
土田
そう、すごくブレイクする時期があるんですよ。僕の中でも、自分の経験ではあった気がするんですよ、演劇界の中で。自己紹介すると、「あっ、君か」って言われた時期があったんですよ。あの頃が僕にとってはブレイクだと思っているんですけど、どうも周りから見ると、そんなに大したことなかった。知らない間にジワっといて、なんとなくずっといると…。だから、僕は今、方向転換をして、その代わり、いつまでも消えないという人になろうと。
山崎
なるほど。
土田
「いちばん現役が長いやつでいよう」っていうのが、僕の今の目標。
山崎
最高じゃないですか!
土田
でも、一回はブレイクしたいね、と(笑)。たぶん、将来、演劇の歴史本が出た時に、名前が出てこない気がするんですよ。昔のね、文豪の写真とか見ていると、左から夏目漱石、だれだれ、ひとり置いて、だれだれって書いてあるでしょ。「ひとり置いてかぁ…」みたいな。これが嫌なんですよね。
山崎
それが今のもっぱらのテーマですか?
土田
テーマというか不安(笑)。ひとり置いてじゃなく、とりあえず名前は出て欲しい(笑)。
山崎
なるほど(笑)。僕も結構、お酒がまわってきたので、最後にひとつ質問いいですか?もし、僕になにかキャスティングをするとしたら、どんな役でしょうか?
土田
たぶん、ものすごく暗い役。調子よくしゃべる役を、僕が書いて渡すと、きっと引き出しでやれちゃう気がするんですよね。そうするとさっき言った、自意識みたいなものが出て、あまり美しくない気がするんで。やっぱり圧をかけたほうが山崎さんは光る。
山崎
なるほど。
土田
だから、まったくしゃべれない役とか、「えっ」とかしか言わないとか。それしか言わないけど、最後ぱっと顔を上げた時に、「あっ」みたいなので終わるとかね。
山崎
おお、ちょっとぞくぞくしますね。僕、役者をやっていた時って、三枚目みたいな役が多くて。あとは、迷った人に道を教える老婆とか。
土田
わかります。もうね、想像つくんだよね。わりと上手にやるんだよね。
山崎
「一応、セリフを覚えておいて」みたいなやつが結構多いんですよ。なにかがあった時のために。
土田
すごく便利に使われるという…。
山崎
本当の2枚目にはなれないという…。
土田
でもだから、本当の2枚目やったらいいと思いますよ。逆に、逃げ場がないほうがいい。
山崎
くずす余地がないほうがいい。
土田
ないほうがいい。
山崎
なるほど。やっぱりちょっと、また演劇をやってみたいという気になりますね。いつかお願いします(笑)。今日はありがとうございました。
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