銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン

隔週水曜19:00-20:00ON AIR

EVENT REPORT

vol.172016.02.1219:00-20:00

市川渚 × 山崎晴太郎 / REAL TALK SALON

山崎
ラジオはどうでしたか?
市川
ああいうのやった後、本当に落ち込むんですよね。インタビューとか…。
山崎
大丈夫です、大丈夫です(笑)。改めて、こちらでもお話しを聞いていきたいと思いますが、最近、デジタルとファッションという部分で、注目しているブランドってありますか?
市川
ひとつのベンチマークとしてるのがバーバリーですよね。
山崎
それはなぜですか?
市川
やっぱりプラットフォームの使い方、乗り方っていうのがすごくうまくて。要するに、なにをやるにしても、結局ユーザー目線がすごく大事で、「どこにどんなユーザーがいて、どのユーザーに対して、どういうアプローチをしていくのか?」ということに対して、適したプラットフォームを選んでいくというのがすごくうまい。
山崎
なるほど。
市川
「LINEやればいいんだよ」とか、「インスタ(instagram)やればいいんだよ」とか、そういう話ではなくて…。その選択自体に意図が見えるという点で、デジタルとファッションみたいなところで「一歩先をいっている」と言われているブランドだけのことはあるなと思いますね。
山崎
そういうハイブランドって、自分たちが今まで持っているブランドがとても強いじゃないですか?でも、インターネットの潮流って、それとはぜんぜん尺度が違うスピード感で発信されていて、流行りも廃りも早いじゃないですか?だから、早く乗っかりすぎてコケるリスクもあるわけで。その及第点を取る指標って、どこにあると思いますか?「ここまでくれば、インスタをやってもいいかな?」みたいな。
市川
それは、ここ数年ぐらいでわりと状況が変わってきていて、チャレンジングなブランドもどんどん出てきているので、昔のように「並びのブランド」を気にせず、良い意味でそこまで慎重にならなくてよくなってきているというか。前出のバーバリーもそうですけど、「他ブランドの動きを待っているよりも、新しいことにチャレンジしていく姿勢自体が、ブランディングになる」みたいな認識がようやく出てきたんじゃないのかな、っていうのはありますね。
山崎
逆に、デジタルとの掛け合わせという部分で、アパレル以外で参考にしている業界ってありますか?
市川
あえてっていうのはないですけど、幸いながら、周りにWEBサービスを作っている人だったり、デザイナーだったり、エンジニアだったり、WEB系の人がすごく多くて、自然にそういう人たちが手がけたお仕事や興味関心を知ることができるので、そういう他業界での観点を自然と参考にしているのはありますね。
山崎
なるほどね。ちょっと今、思い出したんだけど。つい一昨日、僕がニューヨークに留学していたころの友人に会ったんですね。彼はファッション系のカメラマンで、今もニューヨークで活躍しているんですけど。会うたびに、「今の日本のファッション業界はどうなってるの?」とか、「ブックってどうつくればいいの?」みたいなことを相談されるんですね。そこに、デジタルの匂いはまったく感じないわけですよ。
市川
アルチザン的な話ですね。
山崎
まさに。そういうのって変わっていくんですかね?
市川
変わっていくんじゃないですかね。この間ちょうど、桐島ローランドさんに初めてお会いして、お話をしていて。彼は今、3Dのスタジオやっているんですけど、それがおもしろくて。ファッションやカメラの業界って、アナログなことが良いとされるじゃないですか?
山崎
そうですね。
市川
だから、カメラの学校も、とりあえず基礎としてアナログなことを教えられる。でも、桐島さんは「今、優秀なカメラマンを育てるなら、とにかくデジタルの技術をみっちり教え込む」と仰っていて。そういう流れというのは、おそらく、他の業界にもあると思うんですよね。だから、根本はアナログかデジタルか、ということに限らないんじゃないのかな、っていう気はしますけどね。
山崎
確かにね。概念がね、そもそもデジタルとアナログは違うから。光の取り方みたいな話は。市川さんも、カメラがお好きですよね。
市川
本当に趣味の範囲ですけどね。
山崎
何かこだわりはあるんですか?インスタとかでアップされている写真のトーンに対してとか(笑)。
市川
あれも一種のブランディングですよね(笑)。ああいう写真をあげていて、全身白とグレーみたいな人が来たら、「なるほど」みたいな。
山崎
確かに、そうですね。ちなみに『DiFa』をやられているじゃないですか?(※現在はDiFa元編集長)いろいろなアイテムやサービスを紹介してきて、「これは絶対くるな」みたいなものってありますか?
市川
うーん、そうですね。なんだろうな。珍しくスパッと言えない。例えば、「自分で物を持たない」みたいな話は、もうちょっとポピュラーになってくる気がしますね。
山崎
エアクローゼットみたいなやつですね。実践はしているんですか?
市川
ある程度は。
山崎
どうですか?
市川
便利ですよ。普通に考えて、やっぱり東京って家賃が高いじゃないですか?「ここにこの面積の物を置いたら、この子たち、家賃をいくらぶん持っていってるんだろう?」とか考えちゃうので。だったら、やっぱりそのスペースをもっと有効に使いたいと思いますよね。
山崎
すごく合理的ですよね。
市川
うん。それを考えていくと、やっぱり「不必要な物は手元に持たない方がいい」っていうのは非常に合理的で気持ちいいですよね。
山崎
最近は『DiFa』の男性読者も増えてきた、というお話も聞きましたけど、それで記事の傾向が変わったりしましたか?
市川
今のトーンでやっていけば、男性は自然についてきてくれるんですよ。いかに女性を失わないか、女性に優しいかっていうところで試行錯誤をしている感じですね。
山崎
男女それぞれに、今おすすめのアイテムってありますか?
市川
男性は、たぶんなんでも楽しいと思うんですよ。駄目なものやすぐ壊れるものもあるけれど、とりあえず、どんどん触ってみればいいんじゃない、という感じかな。
山崎
男性はガジェット的なものが好きですからね。女性の場合は?
市川
女性は、デザインの好みにもよると思いますけど。周りの女の子も使っていたりするウェアラブルで、おすすめしやすいのはRinglyですかね、やっぱり。
山崎
なるほど。逆にいろいろなものを見てこられて、「今後こういうサービスが出てくるんじゃないか?」とか、「こういうサービスがあればいいのに」というものはありますか?
市川
WEB上に溢れている買えるものを、どのようにキュレーションをしていくか、沢山の情報をもっと整理するような、よくできたサービスが、今後出てくるんじゃないかなという気がしますね。今って、本当に困るじゃないですか?いろいろなお店を見て、値段をチェックして…って。
山崎
結構、面倒臭いですよね。
市川
そう。今もいろいろあるんですけど、いまいち決め手に欠けるので。
山崎
その決め手って、なんだと思います?
市川
例えば、結局は協力してくれてるお店とかブランドとかに引っ張られちゃうじゃないですか?だからたぶんamazonぐらい。
山崎
インフラが強くなれば。
市川
そうそうそう。もしかしたらamazonがやりだすかもしれないけど。そういうところにやっぱり左右されちゃうので。もっとまとめ的なものというか、検索じゃないんですよね。そういう別軸で商品を見つけられるなにかがあったら、みんなハッピーじゃないかなと思いますね。
山崎
市川さんご自身は、服はネットで買うんですか?
市川
ネットで買いますね。店舗に行くのは、伊勢丹に行くぐらい。
山崎
それは、徹底してますね。
市川
お店の人と話したりするのが苦手なんですよ、コミュ障だから。あと、いらない情報を与えられると「知ってるよ」とか思っちゃって。そういう商品軸以外のマイナス点でバイアスがかかって物欲が失せるということがすごく嫌で。ECって、逆に正面から商品と向き合えるんですよ。そこに人だとか感情だとかが介在しないから。それがなんかすごくストイックで好きですね。
山崎
なるほど。僕もほぼ100%、ネットで買うんですよ。なんですけど、一方で、今ってホスピタリティ流行りでもあるじゃないですか。
市川
そうですね。
山崎
それで、最近ちょっと好きなブランドがあって、そこのECを使い始めたんですけど。商品をいくつか買ったら、手書きの手紙がくるようになって。なんかね、僕それ、ちょっと違うなって思っちゃったんですよ。
市川
うんうん。
山崎
僕ほら、水墨画もやるじゃないですか?水墨画の筆屋さんも手紙をくれて、そこはすごい嬉しいの。なんですけど、ファッションのお店の店主から手紙が毎回届くといのうは嫌なんですよね。
市川
やだ。私もやだな、それ。
山崎
この違いはなんだろう、と思って。たぶん、求める期待値が違うんですよね。その墨を買う、筆を買うというところと、ファッションに対する向き合い方。なんとなく、ホスピタリティとか人との距離感って、均一化されたいいものがあるような体で語られているんだけど、ものの距離って人それぞれでも違うし、商材ごとにやっぱり違うんだなっていうのは痛感していますね。
市川
プッシュ通知がうるさいみたいなの、あるんですよね。
山崎
そうそうそう。行くから来なくていいみたいな。
市川
欲しいときは行くし、みたいな。特にプッシュ型の人とのコミュニケーションというのは、たぶん求めてないから、ぎょっとしちゃう、というのはありそうですね。
山崎
そういうので逆に気持ちよかったのは、Acneの本国からECで買った時に、サイズを間違ったんですよ。諦め半分でメールを送ったら、すごく丁寧な返信がきて。それで、すごく気分が良くなったので、そのメールのやり取りで、「他の商品も買えるなら、これをセットアップで買うよ」みたいなことを伝えたら、それもすぐに決済してくれて。
市川
へぇ。融通利きますね。
山崎
あんなつっけんどんな感じのブランドなのに、そこのホスピタリティは嬉しかったですね。
市川
だから、こっちからコミュニケーションを求めたときに、どう返してくれるか、ということなんですよね。インターネットのコミュニケーションとして求められているのは。
山崎
そうですね。ちょっと話は変わりますけど、デジタルとファッションの融合というテーマで、ファッションのデザイナーに言いたいこととか、伝えたいことってありますか?
市川
うーん。そこは、ブランドごとの、やりたいことによるという気がしますけどね。ただ、デザイナーが手を動かしてしか生み出せないものも、絶対にあるとは思うんですけど、一方でそれはもっと効率的にできるんじゃない?という部分も確実にあって…。これはデザイナーに限らず、なのですが、人じゃなくてもできる部分はテクノロジーを利用して効率化していけば、本来人がやるべきことに集中することができますよね。結果的に無駄がなくなって、利益率も高まるはず。そういう視点を持つことができると、規模の小さいブランドでも、もっと強く勝負していけるんじゃないのかなというのは、友人や周りのデザイナーを見ていてすごく思いますね。
山崎
なるほど。
市川
客観視なんですよ、結局は。
山崎
そうですね。かなりメタ的に見ていますよね、業界を。そういう考え方って、いつからするようになりましたか?僕も、いろいろなアパレルのデザイナーと話をしますけど、あんまり利益率の話をする人っていないですよね。なんか、ファッションって、そういうのが不可分領域みたいな空気があるじゃないですか?
市川
だから、そういうのが駄目なんですよ、たぶん。
山崎
でも、学生時代とか、それこそそんな人たちばっかりでしょ。
市川
そうですね。やっぱり普通に会社員になって、どういうお金が、どんな形で動いているのかを考えるようになって、「なんでアパレルって、みんなこんなに給料が安いって言ってるんだろう?」と考えた時に、どう考えても利益率が低いんだよなと思いましたね。
山崎
なるほど。
市川
逆に、前職でモノではなくコトをつくる企業を経験したんですけど、それってすごく利益率が高いじゃないですか。「この差はなんで?」というのは、すごく感じましたね。
山崎
そういう意味では、業界をまたぐというのはいい気づきにはなるのかもしれないですね。
市川
在庫を持たないビジネスが、いかに利益率が高いのかという発見にはなりましたね。
山崎
まあね、日本はもともとモノをつくって、売って、の商売が強いですからね。ラジオでは、今後やりたいこととして、「人を育てること」とおっしゃっていましたけど、なかなかいないですよね。そのふたつのベン図を緻密に掛け合わせられる人というのは。
市川
でもね、若い子ならいるんじゃないかなって思ってますけどね。だって、「それって楽しくない?」みたいな。
山崎
教えている学生にいましたか?
市川
おもしろがってくれる子はいたんですけど、やっぱり根本を分かってくれる子は、なかなかいないですよね。まだ若い子たちなので。
山崎
そうですよね。市川さんは、外資系のブランドにもいたじゃないですか。海外と日本のブランドって、全然違いますか?
市川
そうですね。私は逆に日本のブランドで長く働いたという経験がなくて、前々職のPRの仕事で、外の人間として関わったことしかないんですけど。まず、外資系はやっぱり帰るのが早いですよね(笑)。
山崎
あぁ、仕事の効率がいいんですね。
市川
そう、効率がいい。それと、責任の所在がすごくはっきりしている。そういう点は、すごく好きですね。わかりやすくて。もちろん、上司のキャラや会社にもよるとは思いますけど、自分には外資の方が合っていると思います。
山崎
ブランドとしてはインポートのほうが好きですか?
市川
いや、東コレも10年ぐらいずっと見ているので、そこはあまり分けて考えていないですね。今は日本のブランドを着ることが多いです、逆に。
山崎
今、好きなブランドはどこですか?
市川
日本のブランドだとAKIRA NAKAとか。知人がやっているブランドが多いですね。
山崎
そこに人間っぽさって出てきちゃいますよね。「あいつがやっているから行くか」みたいな。
市川
でも、良くないと絶対買わないです(笑)。「今季は◯◯がネックになってちょっとむずかしいかも」とか「ここが変わったね」とか、感想は結構はっきり言いますね。
山崎
へぇ、それはすごいですね。僕は、言わずに遠ざかるタイプなので。そういう人がほとんどだと思いますけどね、たぶん。
市川
そこはやっぱり、良くなってほしいという思いがありますからね。はっきり言ってしまう。良くなってほしいからこそ言わないと。ウザいと思われてるかもしれないですけど(笑)。
山崎
なるほど、素晴らしい。まだまだ聞きたいことがたくさんあるんですけど、皆さんも同じだと思いますので、続きは下で話しましょうか。
市川
そうですね。
山崎
では、そうしましょう。ありがとうございました。
市川
ありがとうございます。
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