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PROFILE

インフォグラフィック・エディター
櫻田 潤

プログラマー、システムエンジニア、ウェブデザイナーを経て、2010年4月より「ビジュアルシンキング」運営開始。2014年12月よりNewsPicks編集部にインフォグラフィック・エディターとして参画。著書に『たのしいインフォグラフィック入門』ほか。

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RADIO REPORT

vol.222016.04.2719:00-20:00

櫻田 潤 × 山﨑 晴太郎

山崎
松屋銀座屋上、ソラトニワ銀座からお送りしております。銀座四次元ポケットプレゼンツ、山崎晴太郎の銀座トークサロン。アートディレクター、デザイナーの山崎晴太郎です。それでは、ゲストの方をお迎えいたしましょう。インフォグラフィック・エディターの櫻田潤さんです。
櫻田
こんにちは。はじめまして。
山崎
はじめまして。お会いできて光栄です。まずは簡単に櫻田さんのことを紹介させていただきます。櫻田さんは、プログラマー、システムエンジニア、WEBデザイナーを経て、2010年4月より『ビジュアルシンキング』の運営を開始されました。2014年12月より『NewsPicks』編集部にインフォグラフィック・エディターとして参画。著書に『たのしいインフォグラフィック入門』などがあります。ということで、今聴いていらっしゃる方は、もし目の前にパソコンがあれば『ビジュアルシンキング』を検索してもらえたらと思います。
櫻田
よろしくお願いします。

積み重ねて辿り着いた、新しいデザイン表現。

山崎
いきなりですけど、インフォグラフィックってなんですか?
櫻田
簡単に言ってしまえば、複雑な情報をビジュアルを使ってわかりやすく説明するものですね。もともとは、紙の雑誌や新聞で使われてきたものだと思うんですが、それがWEBで使われるようになって、もう少しPRの要素が入ってきたりして、用途が膨らんだという感じですね。
山崎
一般の人がパッとイメージできるものだとなんでしょうか?
櫻田
一番身近なものだと、地下鉄の路線図ですかね。あとは元素周期表とか、ああいうものも含まれますよね。
山崎
なるほど、確かに。複雑な情報とデザインを掛け合わせて、なるべく分かりやすく伝えるということですね。そんなインフォグラフィックですが、日本では櫻田さんが第一人者だというように僕は認識しているのですが。
櫻田
でも、これまでも地図をつくっていたり、紙でやっていたデザイナーさんはいたはずで。だから、そこは定義の違いだと思いますね。
山崎
括り方が変わったという感じですね。櫻田さんはもともとはプログラムをやられていたんですよね?
櫻田
はい、そうです。プログラミングエンジニアをやった後に、WEBデザインをやって、その後にちょっとマーケティング寄りの仕事をして、インフォグラフィックを専門にやりはじめたという感じです。
山崎
なるほど、いろいろ経験されているんですね。その中で、インフォグラフィック・エディターって新しい定義だと思うんですが、どうやってそこに辿り着いたんですか?
櫻田
そうなんですよ。ただ、単純にモノをつくるのはおもしろくないと感じていて、何か無形のモノをつくる仕事がしたいなと思って、プログラムをはじめたというのがスタートとしてあって。ただ、その時につくっていたシステムというのが、人事給与計算とかひとつの会社の中で使うような、割と内向きのもので。やっぱり外の世界に向けたものをやりたいなと思ってWEBの世界に進んだというのが最初のポイントですね。
山崎
なるほど。まだ、インフォグラフィック・エディターまでは遠そうですね(笑)。
櫻田
はい、結構ありますね(笑)。先ほど、マーケティングもやっていたと言いましたが、デザインとプログラムを一回諦めたんですね。
山崎
そうなんですか。
櫻田
まずデザインに関しては、クライアントなりの目的があって、それに応えるデザインをやるということがなかなかできなくて…。
山崎
なるほど。
櫻田
それで、まず仕事としては無理だなとデザインをやめて。勉強会とかに行って、プログラムももっとすごい人がたくさんいるな、っていうのを感じて、やめようと思って。本を読んだりしてマーケティングの方に行きました。
山崎
でも、また戻ってきたわけですよね?
櫻田
そうですね。マーケティングのことを勉強しはじめて、その本の内容を図解するということをするうちに、先ほど紹介していただいた『ビジュアルシンキング』というサイトを立ち上げて、そこでアウトプットをするうちに、「なんか、これってデザインじゃない?」と思いはじめて、「全部つながるんだな」という気づきがありましたね。
山崎
アウトプットの場所が集積されていって、自分の外骨格がつくられていったという感覚ですかね?
櫻田
そうですね。サイトをやっていなかったら、今のカタチにはなっていなかったと思います。
山崎
『ビジュアルシンキング』をはじめた時は、どういうふうにやっていこうというようなプランはあったんですか?
櫻田
最初に思っていたのは、ネタはビジネスで、アウトプットはデザインにしようということですね。たとえば、ビジネス書の内容を図解するといった感じで、ビジネス系のスーツ族みたいな人とデザイナーが出会う場所みたいなゆるいコンセプトはありました。
山崎
僕も一読者ではあるのですが、実際にはどういう方々が見られているんですか?
櫻田
当初、サイト経由で問い合わせをいただいたのは、コンサルタントの方や、プレゼンテーションを良くしたいと思っている層の人が多かったですね。そこから、だんだんインフォグラフィックというものが言葉として広まってきて、デザイン寄りの人が集まってきたという感じです。
山崎
最初はビッグデータみたいな言葉と同じような感じでしたよね。
櫻田
そうですね。ちょうど、同じ頃ですね。
山崎
その先駆けとしてやられていた中で、「日本でこれを広めてやろう」とか、そういう志みたいなものはあったんですか?
櫻田
最初は全くなかったですね。自分のために、必要に迫られてやっていたという感じで。ただ、今のように普及フェーズに入ってくると、インフォグラフィックという概念の誤用も増えたりしてきて、やっぱり「ちゃんと正しい流れをつくりたいな」というようなことは思いますよね。

日本のグラフィック・エディターの先駆者として。

山崎
現在は、『NewsPicks』編集部にインフォグラフィック・エディターとして参画されていますが、これはどういったことをされているんですか?
櫻田
今、仕事としてやっているのは、ビジュアルが主語として使われる記事をつくっています。従来の記事というのは、文章があって、挿絵としてグラフがあったり、イラストがあったりという主従があったんですけど、その主従関係が逆になって、ビジュアルが記事のメインになるわけです。
山崎
なるほど。普通の記事だと、編集者がいて、デザイナーがいて、全体を統括するディレクターがいてという感じだと思うのですが、記事の主がビジュアルになった場合というのは、どうゆう制作体制になるんですか?
櫻田
絵本とか漫画とかがおそらく近いのかなと思いますね。
山崎
そうなんですね。制作する流れというのはどんな感じですか?
櫻田
まず企画があって、その後にリサーチがあって、その結果を分析しながら、どういうストーリーをつくるかを考えます。そのストーリーテリングに結構な時間を割いて、ようやく絵コンテみたいなものを描いてビジュアルの制作に入るという流れですね。
山崎
それは全部、ひとりでやられるんですか?
櫻田
テーマにもよりますけど、自分が得意とするものや書きたいものに関しては全部やりますね。ただ時々、編集者から「こういう企画をやりたい」という話しがきて、途中工程から入ることもあります。
山崎
なるほど。そういう職種って最近は多いんですか?
櫻田
そうですね。海外メディアだとグラフィック・エディターという職種があって、そういうのが増えていると思うんですけど。日本ではまだまだ一般的ではないので、僕の場合はなかなか就職先が見当たらなかったです。
山崎
僕がグラフィック・エディターという存在を知ったのも櫻田さんの記事でしたからね。海外では昔からあった職業なんですか?
櫻田
いつからあるのかは分かりませんが、「データを使って、透明性のある記事を」というような流れがきた頃には、自分もこの世界にいましたね。
山崎
海外の最先端の仕事をいち早くやられていたというか、僕が知る限りでは一人目じゃないですか?
櫻田
そうですね。先ほど言ったように地図をやっている方はいたと思うんですけど、デザインの文脈で専門的にという人はなかなかいないと思いますね。
山崎
ちなみに『NewsPicks』さんには、どういったきっかけで入られたんですか?はじめからインフォグラフィック・エディターとしてアプライされた感じだったんでしょうか?
櫻田
もともとサイトを運営したり本を出していた経緯があって、その辺はほぼ趣味という感覚だったんですね。どうにか仕事にできないかなとは思ってはいたのですが、どこかから誘いがくることもないですし、世の中にそんな求人もないわけで。
山崎
確かに、そうですよね。
櫻田
そんなことを思っていた時に、『NewsPicks』の編集長の佐々木が、僕の著書を読んでくれたということで、一回話をする機会があって。彼は海外のメディア事情にも詳しいので、僕の方から「こういうことをやりたいんだ、エディターにしてくれ」とお願いして、それでやってみようということになったんですね。
山崎
へぇ、それは素敵な会社ですね。そういう新しい職種とか、新しい概念って、例えばトップが「いいよ」と言っても、周りが認めてくれなかったりということもあると思うんですけど。
櫻田
幸いなことに、そうはならなかったですね。やっぱりできたばかりの編集部で、特にモバイルをメインとするメディアとしてスタートしていたので、むしろ編集の経験者はゼロと言ってもいい状態だったので。
山崎
みんなが自分の知見を生かして、モバイルに適したコンテンツをつくろうというような志があったということですね。

パーソナルな視点とバランス感覚。

山崎
櫻田さんは、いろいろなインフォグラフィックスをやられていますけど、紙だったり、WEBだったり、それこそ動画もあると思うのですが、それぞれにつくる上での特徴みたいなものはありますか?
櫻田
紙で言えば、細かい文字を入れての解説が可能なので、詳細を伝えられるというのがありますよね。PCでは横幅の制限があるので、紙に近い感覚を多少は踏襲しているんですけど、動画やモバイルとなると、よほど削らないといけない。ただ削ったとしても、物量は伝えなくてはいけないので、ストーリーで見せるという要素が強くなってきています。今までは一枚絵でどう伝えるかという感じだったのが、そういうのはモバイルではやりづらいですね。
山崎
シークエンスをつくっていく感じですか?
櫻田
そうですね。だから、インフォグラフィックと呼んでいると違和感を感じる読者もいるのかもしれないなと。絵巻物とか、あるいは縦型漫画とか、そういうぐらいの感覚で記事をつくっていくほうがいいのかなと思いますね。
山崎
なるほど。そういう、インフォグラフィックをつくる時の思考というのはどのようになっているんですか?まずデータがあって、一方で伝えたいことがあるわけですよね。そこで、データをうまく構造化してレイヤーを分けてメタ化して収めるというのは、普通のデザインのプロセスだと思うんですね。でも、インフォグラフィックの場合は、そこに個性というか、ちょっとしたウィットネスみたいなものが入り込んでくるように僕は感じていて。
櫻田
あぁ、なるほど。
山崎
僕も櫻田さんの影響で、ちょっとインフォグラフィックをつくってみようと思って。データを置きはじめたんですけど、ふと気が付いたら「これ普通のデザインだな」って…。「足りないものは何だろう?」と、ずっと気になっていたんですよね。
櫻田
最初のほうに話した、僕がデザインを諦めたという話と結構関係があるんですけど。なぜ諦めたかというと、僕はどうしてもデザインに自分の個性を入れたくなっちゃうんですね。でも、必ずしもクライアントがそれを求めているわけではなくて。
山崎
「俺が、俺が」みたいな。
櫻田
そうですね。そこがやっぱり嘘やミスリードになってはいけないのですが、文章で極端なことを書くと、そこだけが独り歩きしますけど、グラフィックだとユーモアとしてちょっとぼかして伝えられるという、バランス感覚というのはありますよね。
山崎
昔の風刺画とかのニュアンスにちょっと近い感じでしょうか?ファクトなんだけど、ちょっと書き手の主観が入っていると言うか。
櫻田
まさにそうですね。それで、『NewsPicks』でやる場合も、誤解が多そうな記事に関しては、まずインフォグラフィックでさらっと内容をつかんでもらった後に、最後に他の編集者に記事を書いてもらったり、自分で書いた文章を入れてバランスを取るというようなこともしていますね。
山崎
お話を聞いているとすごく楽しそうで、そういう働き方に憧れるデザイナーもたくさんいると思いますけど、逆に一番苦労することはなんですか?
櫻田
やっぱり、新しい概念のものを扱っているという部分ですかね。ちょっとグラフを小ぎれいにしたものとか、それぐらいの認識をされてしまうケースもあるので。そうなると、先ほどの文章との主従関係みたいな話も、「文章から入らないと伝わらないでしょ」みたいなことを言われてしまったり。
山崎
なるほど。それは、新規で自分のプロジェクトを提案して動きはじめたりしたらもっと大変そうですね。
櫻田
今は幸い、『NewsPicks』メインでやっているので、近い人たちに理解してもらえれば平気なんですけど。
山崎
ちなみに、今はどのくらいのペースで記事をつくられているんですか?
櫻田
この1年間は、毎週1本出るぐらいの感じで、週刊連載みたいな。
山崎
まさに漫画家のスケジュールみたいですね(笑)。
櫻田
1本に本当は2週間かけたいんですよ。1週間は情報集めとストーリーテリングに充てて、後半の1週間で作画みたいな感じで。自分で企画からすべてやっているものはそのペースでいくんですけど、コラボする場合だとそのペースが守れなくて。
山崎
なるほど。情報収集、ストーリーづくり、作画といった作業の中で、どこに一番時間がかかりますか?
櫻田
やっぱり調査ですかね。情報を集めてストーリーを組んでみても、そこで足りない情報がまた出てきたりするので。
山崎
ストーリーの組み方というのは、なにか映画のような定石みたいなものはあるんですか?
櫻田
今はモバイルで見られることが多いので、縦スクロールの最初にくる起承転結の起のところを一番重視しますよね。そこから、順番に辿っていってもらえるようにストーリーをつないでいって。
山崎
そうか、途中で切れたら離れられちゃうわけですもんね。普通の記事とインフォグラフィックの記事で、読者の滞留時間は違いますか?
櫻田
そこのデータはまだとっていないんですけど、記事につくコメントにはちょっとした反応の違いがあって。文章主体の記事だと、意外と内容を読み飛ばしたような感想がつくことがあるんですけど、インフォグラフィックの記事のほうは、きちんと文脈を理解してコメントしてくれる人が多いですね。
山崎
最初にインフォグラフィックの記事を出した時は、『NewsPicks』の読者さんには、結構すんなりと受け入れられた感じですか?
櫻田
最初の数回は、お互いにまだ慣れていないということもあって、ちょっと予期せぬ読まれ方をしていたりというのがありましたけど、今はほぼ思った通りに見ていただけているなと感じますね。
山崎
ご自身のサイトでやられていた時は、分かって見に来る人ばかりだったと思うんですけど、『NewsPicks』になると、いろいろな記事の中に入り込むわけですよね。そこの違いというのは何か感じますか?
櫻田
今のほうがやりやすいですよ。
山崎
へぇ、それは意外ですね。
櫻田
やっぱり読者層もある程度想定が付きますし、あと利用シーンというのも分かったうえで、ベストな状態で届けることができるので。今のほうが圧倒的にやりやすいですね。

普及力のあるものに、時代は近づいてくる。

山崎
少し前には、データビジュアライゼーションっていう言葉がありましたけど、あれとインフォグラフィックの定義の違いというのはあるんですか?
櫻田
データビジュアライゼーションのほうが、よりすべてのデータを見せることが大切で、インフォグラフィックは、もうちょっと答えを示してあげるものという違いがありますね。あとはデータビジュアライゼーションはプログラミングで可視化して、より余計なものが入らない状態で届けるので、透明性が高いというのは大きな特徴ですよね。
山崎
なるほど。先ほどの作家性があるかないかみたいな部分にも関係するわけですね。そういう意味で、インフォグラフィックをつくるためには、時代との握手力とでも言うんですかね、そういった力がすごく求められる気がしていて。何か日常的に意識してやられていることというのはありますか?
櫻田
あまりデザイン関連の記事とかも読まないですし、本もあまり読まないんですけど、テクノロジーメディアやFacebookとかGoogleとかの動向は毎日追っていますよ。どんな開発をしているか、とか。
山崎
それはなぜですか?
櫻田
やっぱり普及力のあるものに、より時代が近づいていくというのがあると思うので、それが分かりやすいところに注目をする感じですかね。
山崎
ハードとか社会の大きなうねりみたいなものの感覚を、一番重要視されているということですね。
櫻田
言われてみると、そうですね。何に気をつけているかと言えば、そこを大事にしていますね。
山崎
やっぱり時代をいかに乗り越えていくかみたいな感じですね。先ほど、世界的な潮流の話もありましたけど、インフォグラフィックが一番盛んなのは北米なんですか?
櫻田
やっぱり英語圏のほうが目に付きやすいですよね。メディアでも『ニューヨーク・タイムズ』とかが積極的に取り組んでいますし。ただ、ポルトガル語のものを目にしたりすることもありますし、韓国も盛んになってきたという話を聞いたことがありますね。
山崎
じゃあ、世界的な流れになってきているんですね。
櫻田
つながっているような感じは受けますね。そのへんで面白いなと思っているのが、僕は2010年にサイトをはじめたんですけど、その頃ってちょうどFacebookとかTwitterとかが勢いがあって、InstagramとかPintarestとかビジュアル系のSNSが立ち上がった時期なんですよ。そういうのも時代性とマッチしていたんだなというのは後から気が付いたんですけど。
山崎
なるほど。2010年というのが、時代のターニングポイントだったわけですね。日本はまだまだこれからだと思うんですけど、何があればもっとインフォグラフィックというものが一般化すると思いますか?たとえば、もっとインフォグラフィックを発信するデザイナーが増えることとか。
櫻田
おそらく仕事としていきなりスタートするのは、難しいと思っていて。僕自身もそうですけど、まず理解がなかなか得られなかったりするので。やっぱり自然発生的に趣味の発信をひたすら続けて、ある程度こういうものがあると示せたうえで、メディアにこういう働き方をしたいという提案をする必要があると思うんです。
山崎
これからインフォグラフィックをはじめたいという人に、何かお勧めのトレーニング方法とかありますか?
櫻田
やっぱり趣味といかに結び付けるかだと思います。僕の場合は、映画の『ソーシャル・ネットワーク』を見て、登場人物の関係図はどうなっているんだろうと思ってつくったのが最初だったので。その後も、Oasisというバンドのメンバーの入れ替えがすごいので、それをまとめてみたり。本当に趣味をネタにしていましたね。
山崎
そういうライトな取っ掛かりでいいんですね。「ちょっと軽く整理してみよう」ってことはありますもんね。僕は本が好きなんですけど、唯一苦手なのが、海外小説の登場人物の把握なんですよ。
櫻田
あぁ、難しいですよね。
山崎
インフォグラフィックにまとめてみたら、ちょっと理解が進むような気がします。
櫻田
そういうのいいですね。あと初期の頃やったのが、村上春樹さんの作品が海外でも人気だと聞くけどどうなんだろうと思って、各国のamazonを全部調べて、星の数を可視化するみたいな。関ヶ原の戦いの石田三成と徳川家康の兵力差をテーマにしたこともありました。
山崎
そういうのが仕事につながると、とてもおもしろいですね。
櫻田
ゴールとしては、そこを目指していますね。

明日のインフォグラフィック。

山崎
インフォグラフィックというのは、すごく稀有な情報伝達手段だと思うんですけど、今後どのような業界で最も機能すると思いますか?
櫻田
いろいろな情報を多く伝えるという意味で、やっぱりメディアというのはひとつ。それ以外だと、教育とエンターテイメントかなという気がしますね。
山崎
政治とか金融もありそうですね。
櫻田
政治もそうですね。
山崎
後は、今もスタジオにカメラマンがいるんですけど、ああいうカメラのスペック表とかもまとめてみたいなと思いますね。カメラごとの違いがわかりづらいから、今はみんな画素数ばかり気にするけど、レンズの違いとかがもっとわかりやすくできて、カメラが売れればアフィリエイトで収入化できるかもしれないなと。
櫻田
データビジュアライゼーションだと正しいスペックを並べますけど、カメラが欲しい側からするとアドバイスをもっと欲しいわけですからね。そこはインフォグラフィックが生きると思いますね。
山崎
確かに、そうですよね。ちなみに、これから何かやっていきたいことというのはありますか?
櫻田
やっぱり、もう少しいろいろな表現を試してみたいというのはありますね。今も縦書きの文字を入れたり、漫画の要素を入れたりとかをしているんですけど。あとは、動的な表現を入れてみたり。データビジュアライゼーション的な正しさも残しつつ、もっと見る側にやさしいものというのがつくれないかなと模索しています。
山崎
その実験も『NewsPicks』の中でこれからどんどんやっていかれるわけですね。
櫻田
そうですね。そこはエンジニアとの席も近いので、そういったところでやりたいですね。
山崎
ちなみに、インフォグラフィックス・エディターやグラフィック・エディターの中で、世界的にこの人をチェックしておいたほうがいいというのはありますか?
櫻田
個人ではなく会社なんですけど、Column Fiveという会社があって。
山崎
それはアメリカの会社ですか?
櫻田
アメリカですね。そこの会社は、すごくちゃんと仕事をしていて。その「ちゃんと」というのは、やっぱりマーケティング寄りの側面を強くし過ぎちゃうと、バズらせるために特徴的なものばかりを入れてみたいになりがちなんですけど、そこは矜持みたいなものが必要で。Column Fiveは、その矜持を保ちながら、きちんとビジネスをしている感じがしますね。
山崎
なるほど。その会社は、基本的にはWEB系ですか?
櫻田
オンライン系が多いですね。やっぱり、コミュニケーションとして向いているんですよ。
山崎
お話を聞いていても、そんな感じがしますね。本当は学術書とかを、すべてインフォグラフィック的な視点でつくってみたりしたらおもしろいと思うんですけどね。
櫻田
そうですね。海外の本で、人体の仕組みとかを全部グラフィックで説明していて、しかもリアルな昔の図鑑みたいなものではなくて、もっとポップな感じでやっている子ども向けの本とかがあって。
山崎
へぇ、すごくいいですね。息子に買おうかな。
櫻田
いいと思います。あと動物の能力の比較とかもやってくれていて。
山崎
面白いですね。今まで届かなかった知識に手前から触れられるというのは、すごく大きな機能ですよね。
櫻田
やっぱり教育が大きいですね。
山崎
未来がいろいろと広がりそうなお話しですね。それでは、櫻田さんにとって、インフォグラフィックとはなんですか?
櫻田
正直に言って、仕事と言うよりは、今夢中になっている趣味という位置付けなんですね。情報の整理みたいなものってなくならないと思うので、ずっと付き合う趣味みたいな感じです。
山崎
なるほど。ずっと続いていく相棒みたいな感じですね。それでは、最後にリスナーの方にメッセージをお願いします。
櫻田
今ニーズはすごくあるのにやる人がいないという状況なので、ビジネス的な側面からしてもチャンスですし、個人のキャリアとしてもすごくいいと思うので、どんどんやる人が増えたらいいなと思います。
山崎
ありがとうございました。この時間は、インフォグラフィック・エディターの櫻田潤さんをお迎えいたしました。
櫻田
ありがとうございました。

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