銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン

隔週水曜19:00-20:00ON AIR

EVENT REPORT

vol.182016.02.2619:00-20:00

遠山正道 × 山崎晴太郎 / REAL TALK SALON

山崎
ラジオはいかがでしたか?
遠山
楽しくてあっという間で、本当に。
山崎
先ほど、休憩の間に社長業についてちょっとお伺いしたんですね。社長業、つまりスマイルズの社長であることが、ある意味での重さになって、その対極にあるアートの活動ができるというお話だったのですが…。
遠山
社長業と言うよりも、「Soup Stock Tokyo」の社長、という見え方がラッキーと言うか。そういうものがあると、なにをやってもバランスが取れるんです。やっぱり、そこがあるから、ちゃんと事業をやっている人という見え方が担保されるんですね。
山崎
なるほど。
遠山
だから、ちょっと変わったことをやっても、それがおもしろさみたいになってくれる部分があって。以前、みずほ銀行の担当の方で、すごくユニークな人がいたんですよ。その人がある時、「遠山さん、私、銀行を辞めようと思うんです」って言うんで、「辞めないほうがいいと思うよ」と言ったんだけど。その人は銀行員だから、そのおもしろさが際立つのであって、銀行を辞めちゃうと、普通のおもしろいおじさんになっちゃう(笑)。
山崎
相対的なものがあるからこそ、ということですね。今、バランスというお話がありましたけど、なにか新しいことをはじめる時は、それまでやっていたこととは全然違うことをやろうと考えますか?
遠山
そうですね。わざわざそうしているわけでもないと思うんだけど。「飲食、大変だし…」みたいな感じで。
山崎
大変ですよね。
遠山
こんなこと言っていいのかわからないけど、たとえば「Soup Stock Tokyo」のチームが、「次に女子ラーメンとかやったらおもしろいんじゃないか」と思っても、「いや、もういいっす」みたいな(笑)。
山崎
なるほど。そういうところもあるんですね。そうやって、いろいろな業態を派生させていく時に、キャッチアップする際の共通の軸みたいなものはあるんですか?
遠山
「スープ、リサイクル、ネクタイ、どうして?」みたいによく言われますけど、私は会社とかブランドというのは人だと思っていて。そうすると、スマイルズさんという人はスープも好きだし、サラリーマンのネクタイも気になるし、映画も見るし、恋愛もするし。そういう日常の気になることを考えていくと、むしろスープならスープ、外食なら外食ということだけで、その人を閉じ込めるほうが無理がある気がするんですね。なので、共通の軸というのは、「スマイルズさんの気になったこと」になるのかな。
山崎
スマイルズさんイコール、遠山さんですか?
遠山
いや、「我こそはスマイルズさんだ」って社内で言えばいいわけで。
山崎
社員の方々も、みんなスマイルズさんになってくるんですね?
遠山
なってきていますね。なんと言うか、性格はやっぱり誠実キャラに。私はどうなんだろうな?当然、不誠実なところがあるんですけど。一応、スマイルズの社長となっていると、誠実感が出てくると言うか。「スープの社長がそんなことやらないでしょ?」みたいには思ってもらえているのかな。
山崎
社員の方々もそうやって徐々にスマイルズさんになってきて、最近では外部の方とも、いろいろな取り組みをされていますよね。森岡さんとかもそうだと思うんですけど。その時に、内と外みたいな意識の違いはありますか?
遠山
もちろん、それはありますね。やっぱり外の人ですから。最初の取り組みは四ノ橋の「ROZZO SICILIA(ロッツォシチリア)」というイタリアンで。彼らは、経験も実力もネットワークもやる気も全部あって、無いのはお金だけだったので、うちがお金をちょっと出したんですね。外食はやっていましたけど、実はバーとかレストランとかはやったことがなくて、「レストランというものにちょっと触れてみたいな」という気持ちで。
山崎
なるほど。
遠山
「そこに参加させてもらって、学びたい」という気持ち。外の人と組む場合は、だいたいそういうスタンスですね。そのロッツォとか、森岡くんとか、そういう個性が際立っていて、ユニークでチャーミングなものがこれからも広がっていって、それが村みたいになれば、そのこと自体がまた価値を生み出して、人とか物が集まってくるのかな、と思いますね。そういう魅力的な、私はよくチャーミングと言ったりするんだけど、そういうことをやっていきたいです。
山崎
遠山さんのチャーミングというのは、なにを指しているんですか?
遠山
なんだろう。センスと人柄みたいな感じですかね。
山崎
それってどうやって判断をされているんですか?そういう話って、結構いっぱいくるような印象があって。なんか「この人は信じられるな」「信じられないな」とかいろいろあると思うんですが、その判断軸というのは、どこにあるんでしょうか?
遠山
たぶんね、私の中では結構早く判断していると思うんですよ。もう出会い頭、みたいな感じなんだけど。でもそれが、私にとっては「チャーミングで、魅力的でいいな」って思っても、会社としてとか、その人がうまくいくかどうかって、またちょっと別の面も見ないと、というのもあるから、それだけでは決められないけれども。
山崎
そういう取り組みをする時は、わりと口を出すほうですか?それとも、ある程度「いいよ、いいよ、やっちゃてよ」というような感じですか?
遠山
私はあんまり突っ込まないですね。会社の他の人は突っ込んだりもしますけど。やっぱり、関係がうまくいかないと、お互い不幸になっちゃうので。だから、1冊の本屋というコンセプトの「森岡書店」もね、最初に森岡くんが言っていたものから、多少の遍歴はあるんですよ。
山崎
そうなんですね。
遠山
最初、彼の事業計画だと、「本は儲からないので、トートバッグとかTシャツで収益を」って言うから、「えっ!」となって。「本屋なんだからさ、いきなりトートバッグ屋って言わないでよ」みたいな。そういうのをやりながら、多少はビジネスとして成立する芽があるかどうか、ってことは考えますよね。
山崎
スパンとしてはどのくらいで見ているんですか?会社として当然、投資価値に合うかとか、新規事業とかだと、10本やったら1本成功するぐらいでいいとか、いろいろな数式みたいなものがあると思うんですけど。
遠山
そのへんは、厳密にはなくて。でも、だいたい3年ですかね。現実的には、やっぱり1年目ぐらいから経営会議で「ちょっと風当たりが」みたいな感じはあったりしますよね。
山崎
なるほど。
遠山
だいたいどの事業も私が言い出しっぺなんだけど、プロマネがいて、その人が経営会議とかでやり込められるわけです。
山崎
「どうなっとんじゃい」みたいな感じで。
遠山
まあね。スープを毎日ついで、わずかな利益を出して、「PASS THE BATON」で言えば3年赤字だったんですね。やっぱり3年目ぐらいに、一生懸命稼いだ利益をこっちでジャブジャブ使って、ちょっとね、立場的にも「まずいな」というのがあって。じゃあ、どういう方策があるのか?そのやっていることの意味、そういうのはわかった、と。もうちょっとビジネス的な手段をどうするのかみたいなことが、当然出てきて。そういう波が、「やべえ、また来た」みたいな。
山崎
そういう紆余曲折もあるので、先ほどラジオでもちょっとお話いただいたような、必然性だったり、本質の原点に返るみたいなところが、金科玉条のように会社の背骨になっているということですよね。
遠山
そうですね。その意義みたいなものがないと、「もう止めちゃったら?」みたいなことに、すぐなっちゃいますよね。こっちも踏ん張れないというか…。
山崎
よくありますよね。やりたい人っていうのも、世の中には結構いっぱいいるじゃないですか?想いファーストっていうんですかね。
遠山
それだったらまだいいんだけどね。日本のビジネスマンは、みんなわりと優秀じゃないですか?だから、想いファーストであれば、それを整えていく手段はいろいろあるんじゃないかな。むしろ、サラリーマンの世界にいると、「想いとか、そういうことってどこにあるんだっけ?」みたいなことが多くて。あるいは、「会社からも、別に必要とされないし、そんなこと」とか…。
山崎
そうすると、経済を道具として使って、そのやりたいことを拡張していくということだと思うんですけど。今の社会を俯瞰していて、足りないところってどんなところだと思いますか?
遠山
やっぱり、昭和のシステムがそのままきてしまっている感じかな。私は三菱商事でサラリーマンをやってきて、「なんかもったいないな」という感じがあるんですよ。「変えるものは、もっともっと変えていけばいいのに」っていう。そういう意味でいうと、本当に体質が変わらないというかね。「大きいことはよいことだ」みたいな感じが、未だにありますよね。そうすると、どうしても個人の発想みたいな部分と距離が出てきちゃって。2/3だったらプラスだけど、999/1000はマイナスじゃないですか?2/3のほうがむしろ立派で。世の中に、なんかそういう感じがないね。
山崎
数字とかもやっぱり、そうやって評価されますもんね。でも一方で、事業もあるわけで。やりたい想いと収益のバランスが一番難しいところだと思うんですけど。
遠山
基本的には、やりたいこととかやるべきことを、ビジネスというフィールドに乗っけてみると、より影響力とか拡散力が出てくるので。むしろビジネスって、おもしろいステージなので、ビジネスというステージでそれをやっていこうという順序でやれば、おもしろくやっていけるとは思いますね。
山崎
単純にアーティストになるつもりというのはないですか?
遠山
ないと言うより、なれないって言うほうが正しいかもしれませんけど。でもね、祖父と父親がビジネスの人だったので、私は野球選手とかに全然憧れないんですよ。なんかやっぱり、経営者みたいなのが格好よいと思っているんでしょうね。ただ、やっぱりアートも好きで。どっちも中途半端と言えばそうなんですけど。「両方掛け合わせれば、そういう立ち位置もありかな」みたいな感じで、うまくやっていけそうだなという感じでしょうかね。
山崎
今、その両方を掛け合わせてやられている中で、その先に描いているものはなんですか?
遠山
今の個人の延長みたいなものが、どんどん立ってきて、新しい価値を提供できることを目指したいかな。だから量的なものを求めたいわけでもなくて、「Soup Stock Tokyo」が今50店あるのを300店にしたいとかでもない。「世の中の体温をあげる」というところを、みんながもっともっとやってくれながら、「あっ、俺もまたやりたくなっちゃったな」とか言って、ちょっとムラムラしてきたりとか…。
山崎
なるほど。新しい価値観っていわゆる相対的なものじゃないですか?基準があって、だからこそ新しさがあるということだと思っていて。それって両方に軸足がないといけないと思うんですが、遠山さんがその新しい価値を描き切った先には、なにがあるんでしょう?
遠山
その先?なんだろう。楽しい世界かな。それもなんかあまり鼻息荒くない感じ。だから量的にでもないし、地球が、という大きな話でもなくて。「地球が…」とか言われると、「本当に?」みたいな感じがしてしまうし。それこそ、自分の庭先をみんながちゃんときれいにすれば、全部がよくなるじゃないですか?だけど今は、なんか「誰々の庭のそこがボーボーになっている」とか言って、実は、自分のところが荒れているみたいな…。
山崎
人のことばっかり言っている?
遠山
そういう感じがするんですよね。私は慶應だったので、小学生の頃から福沢諭吉先生の独立自尊という言葉を言われてきて、当時は全然意味がわからなかったけど、最近はすごい言葉だなと思うようになってきて。独立自尊って、ひとりで立って、自らを尊ぶ。すごいですよね。でも一人ひとりがそうすれば、本当にいい世界になると思うんですよ。なんか、「世界が」とか「地球が」というマスの話が苦手で、もうちょっとリアルに「自分たちも楽しいし」みたいに、お互いの共感が広がっていくといいな、と。
山崎
なるほど。
遠山
だから、昭和の経済が主役だった時代から分散して、もっと人生と仕事が密接に重なるような、そういうものの新しいプラットフォームをつくりたいな、と思うんです。
山崎
素敵ですね。
遠山
あるいはシニアなんかもね、やってみたいなと思って。私ももう54だから、もうちょっとしたらそっち側にいっちゃうので。今、ちょっと妄想していることがあって。この間、あるスナックにいったら74歳のママさんがいて、彼女に「恋愛とかデートとかするんですか?」って聞いたら、「当たり前じゃん」って即答されて。74歳なんて全然まだまだなんだな、と。だから、シニアをシニア扱いしない、若い人とも交われる、そんな場をつくりたいなと。要素の1個は「絨毯ディスコ」みたいな感じなんだけど(笑)。入り口で靴を脱いで入るような、1軒の家がアミューズメントみたいな。夜はディスコも、カラオケもあって…。
山崎
すごくおもしろそうですね(笑)。
遠山
側とか、庭の灯籠の横とかで、ちょっとふたりで座ったり。24時間オープンで。シニアってね、朝なんか8時にカーヴスとかオープンする前に、おばあさんたちが並ぶ。なぜかと言ったら、もう自分たちは3時から起きているから、「ようやく8時!」なんだって。じゃあカラオケも朝日の入る、6時半くらいが一番いい感じのカラオケボックスにしたいね(笑)。
山崎
なるほど、シニアの朝8時は午後2時くらいの感じなんですね。
遠山
そうそう。午前中もカラオケでバンバン発散してもらって。夜は若者が来て、夜中と朝が出会う、みたいな。
山崎
なるほど。そこがクロスオーバーする。
遠山
そういうのをちょっとやりたいなと思っているんですけどね。
山崎
いろいろと変わりそうですね。社会が豊かになる。
遠山
そうですね。あとは、30代の「いっちょ、がんばってみるか!」というのも応援していきたい部分で。この間、豊島の土地を10年契約したんですけど。そこに、うちの37歳の若者が奥さんと犬と一緒に移住して。そこで、「檸檬ホテル」という泊まれるアート作品というのをテーマにしたホテルをやることになって。
山崎
なるほど。
遠山
これは、たぶんおもしろいことになると思っていて。彼はホテルオーナーとして家族を連れて頭から突っ込んだわけですけど、本当にちょっと腹を括ってやれば、そういうチャンスっていろいろあるんじゃないかなと思うんですよね。『ソトコト』の取材を受けて、レモン畑に立っている家族3人の写真が出ていましたけど、こういうのはネットを通じて広がっていくんじゃないかな、と。小さければ小さいほど、かえってそのひとりのセンスとか価値観が際立ってくるので、むしろ小さくておもしろいもののほうが、ネットを通して、今どきのイケている人みたいになってくると思う。地方の時代も、うまく乗っかっていければ、いいなと思います。生活費とかも安いしね。
山崎
そうですね、全然違いますもんね。
遠山
びっくりしますよね。前、那須で「スペクタクル・イン・ザ・ファーム」という「giraffe」のファッションショーをやったんですけど。アルパカにネクタイをさせたり、アヒルに蝶ネクタイさせたりして。あれも、最高によかったなと思っていて。ああいうのは、六本木ヒルズじゃできないですからね。
山崎
逆に、六本木で本気でやってみてほしい気もしますけどね(笑)
遠山
無理だよね(笑)。無理な要素が沢山あるじゃないですか。空、土地、空気。逆に地方にないのは、人がいないとか、お金が落ちないというぐらいで。それをうまく仕込めればね、そっちのほうがおもしろいなっていうのはありますよね。
山崎
なるほど。どんどん楽しそうなお話が出てきて、皆さんも直接聞いてみたくてうずうずしていると思いますので、下に移動して飲みながら話しましょうか。
遠山
そうですね。ありがとうございました。
山崎
ありがとうございました。
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