銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン

隔週水曜19:00-20:00ON AIR

EVENT REPORT

vol.162016.01.2919:00-20:00

大畑周平 × 山崎晴太郎 / REAL TALK SALON

山崎
今日のイベントはいつもとちょっと違う形で、大畑さんの新作を皆さんに体験していただこうと思っています。ということで、今日がこの作品の初公開なんですよね?
大畑
はい、ドキドキしています。よろしくお願いします。
山崎
ラジオで少しお話したんですが、「光を飲む」というのが今回の体験のテーマです。ラジオを聞けなかった人のために、作品のコンセプトを簡単に説明してもらってもいいですか?
大畑
はい。以前に「火を食べる」という作品を発表していて、そこから、より物じゃない方向に進んで「光を飲む」ということを発想しました。まだ、どういう形で見せるのがベストかわからないのですが、今日はバーみたいな空間があるので、それに合わせて、ろうそくの照明を用意してみました。まあ、まずは体験してもらうのが一番かなと。
山崎
四の五の言わずに、まずはやってみようということですね(笑)。
大畑
「光を飲む」と言うと、どういうふうに感じるかというのは、本当に人それぞれだと思いますが、僕がどんなところから「光を飲む」という行為を発見をしたというのを追体験してもらうような、そういう作品だと思っています。まずは、ものを見てもらったほうがいいですね。
山崎
そうですね、はい。ちょっとハウツーの説明を。
大畑
器はこの白い磁器のものを使います。一見、なんの変哲もないんですけど、底の真ん中あたりがちょっと半透明になっています。器に飲み物を注いでから飲むとき、器を傾けて行きますが、そのとき半透明のところから光が入ってきて、ちょうど水面に映り込んでいくと光りの玉みたいのものだ見えてきます。それを目で捉えながら飲んでいくと光の玉がどんどん近づいてくるのでそのままグイッと飲んでもらえると、身体の中に光が入っていくように感じられます。
山崎
光を飲むのに、このスタイルでいこうと思ったきっかけはなんだったんですか?
大畑
実際に体験してもらうと伝わると思うのですが、この器を覗いて見ると、夜空に浮かぶ満月のような景色が現れるんです。この作品の前身で随分前に、月を彫刻しようとしたことがあって、塊として丸い月を作る代わりに風船を膨らませたものに石膏で塗り固めて膨らまドーム上の形ものを制作したことがあるんです。空気を入れるところの口だけ穴が開いているのですが、そこから作品までたどり着かなかったんです。
そのあと光を飲むという言葉が自分の中ではっきりと聞こえてきた時に、月を彫刻する時に試みたものがふっと浮かんできて今の形になりました。
山崎
なるほど。ちなみに、器の中に入れるのは水ですか?
大畑
グレープフルーツが入った水を入れてみました。オノ・ヨーコの『グレープフルーツ』という詩集のなかに、「月に匂いを送りなさい」という詩があるのですが、その詩を読んだ時、本のタイトルのグレープフルーツと月のイメージが重なって、僕の中で月の匂いがグレープフルーツになったんです。なので、ただの水じゃなくて、香りを含ませています。
山崎
へぇ、なるほど。ちなみに、今流れている音楽も大畑さんのセレクトですけど、これにはどんな意図があるんですか?
大畑
「まずは体験を」とか言いながら、いっぱい話しちゃってあれなんですけど(笑)。この器に合わせる水差しは、ツヴィーゼルというメーカーのもので、そこが出している、シューマンズ・バーというドイツにあるバーのモデルなんですね。そこは、シューマンさんという人がやっているバーなんですけど、何故かCDとかもあって。
山崎
へぇ、すごい。
大畑
「Winter&Winter」っていうミュンヘンにあるレーベルから出ていて、このCDの中には、シューマンさんが選んだ曲と、それに合わせたカクテルのメニューが書いてあるんです。聞いていると、シューマンズ・バーの店内での会話や食器の音が後ろでずっと聞こえているんですね。本当にバーにいる気分というか、好きなように音楽に耳を傾けたり、会話を楽しんだり出来る心地よさがあるんです。そういうことは、自分も作品をつくる時にも意識するというか。ちゃんと観ることも出来るし、流して見ても良いようなものを作りたいと思ってます。と、戯言はこのぐらいにして、そろそろはじめましょうか。今日は、あまり人数が多くないので、皆さんにゆっくりと体験してもらいたいと思います。
山崎
じゃあ、せっかくなので、ひとりずつ体験させてもらいましょうか。ということで、「我こそは」という方はいますか?はい、では真ん中のあなた。
参加者A
よろしくお願いします。
山崎
いらっしゃいませ、ご注文は?
参加者A
光を(笑)。
山崎
ありがとうございます(笑)。
大畑
器をひっくり返してもらって。水と、ちょっとアルコールが入ってるんですけど、大丈夫ですか?
参加者A
はい、大丈夫です。
山崎
アルコールを入れると、光のなにかに影響するんですか?
大畑
いや、いい感じで酔っ払う。
山崎
なるほど、光に酔うと(笑)。
大畑
はい。この辺で器を持って、ちょっと蝋燭に近づけながら、ゆっくり傾けてもらって。水面に反射しているのがわかりますか?
参加者A
ああ、はい、これですね。
山崎
はい、それをそのまま飲んでもらって。
 
—参加者が、光の入ったお酒を飲む
大畑
どうでしょう?わかりましたか?何度かやらないと、ちょっと感じが掴めないかなと思うんですけど
参加者A
そうですね。もう一回いいですか?
大畑
はい、もう一回やってみてください。
 
—光のお酒をもう一杯。
参加者A
あぁ、なるほど。今度は、すぅっと入ってきました。
山崎
すぅってきましたか?
参加者A
はい、光をいただきました(笑)。
山崎
俺もやりたい(笑)!
大畑
どうぞ、どうぞ。
山崎
じゃあ、マスター、光くれる?
大畑
今日、光、調子悪いんですよ。
 
ー山崎も、光の器を体験。
山崎
いただきました。確かに難しいですね。ちょっと照明を落としましょうか?
大畑
そうですね、じゃあ、もう一杯どうぞ。
山崎
あ、今度は最後に、すごくいい光の後味がきました(笑)。
 
—その後も、全ての参加者が大畑さんの最新作を体験。それぞれの人の身長の違いなどによって、上手に光を飲むことができた人、なかなか光を見つけられな い人など、結果はまちまち。「光の筋がきれいだった」「途中で光がふたつに見えた」という声や、なかには「眼鏡の縁が反射して見えなかった」という人も。 大畑さんがラジオでも仰っていたように、この試行錯誤を繰り返して、作品は完成形に近づいていきます。
大畑
はい、ということで、これで全員が終わりましたかね?ちょっと、皆さんに感想を伺ってみたいんですけど。そちらの、一番大きなリアクションをされていた女性の方はどうでしたか?
参加者B
皆さんがいろいろと飲み方を工夫しているのを見て、はじめは「なにが起こっているんだろう?」ってわけがわからなかったのですが、自分がやってみると、ちゃんと身体の中に光が入る動きがあるということがわかって。頭で理解することで、光を飲むということを実感するというか…、すいません、なんて表現していいかよくわからないんですけど。
大畑
いや、すごくよくわかります。
山崎
では、そちらの男性の方はどうでしたか?
参加者C
最初はあまりなにも感じなかったんですけど、だんだん光の粒というかビー玉みたいなものが、コロコロと転がっているような感覚を感じました。
山崎
へぇ、おもしろい。僕の場合は、口の中で光が弾けるような感覚があったんですよね。だから、後味という表現をしたんですけど。
大畑
おもしろいですね。僕もどちらかと言うと、直線的に身体の中に入るんですけど、そのままどっか抜けていく感じがするんです。落ちていくというよりかは 。
参加者D  
どういう光をイメージしているかにもよりますよね。自分の場合は、海に漂う月みたいな光をイメージしていたので、晴太郎さんと同じで、身体の中に向かって光が溶けていくような感じがしました。
山崎
そうそう、輪郭がない光のイメージですよね。人それぞれ、同じ体験をして、全く違うイメージを持っているのはおもしろいですね。逆に、「ここは共通だな」と思った部分があって。皆さんが飲むのを至近距離から見ていたんですけど、みんな光のことしか見ていないんですよね。すごく食べにいっているというんですかね。パン食い競争のように、本能的に食いついていくような所作がみんなにあって。それが、僕としては結構大きな発見でしたね。
参加者D
冷静に考えると、光の位置を外さないようにゆっくり飲んだほうが当然いいはずなんですけど、「飲まなきゃ、光が逃げちゃう!」という感じで、こっちから慌てて迎えに行っちゃうんですよね。
山崎
最後に、クッて飲んだ人、多かったですよね?
大畑
そうですね。人の動きと物の関係って、絶対に意味があると思っているんですけど、これをつくって思ったのは、やっぱり光を飲むために一番いいのは透明なグラスなんですよね。飲み物の持っている美しい色彩をそのまま味わえるから。でもグラスが一般的に広まってしまうと、特別なものではなくなってしまうし、「光をとらえて飲んでいる」という感じはしなくなっちゃうじゃないですか?
山崎
当たり前になっちゃいますからね。
大畑
逆に僕の作品の場合は、器の中に入り込んでくる光の部分をすごく制限することで、それを強く感じられるようにしています。
山崎
なるほど。これだけ閉じられたものだからこそ、開いていく感覚みたいなものは、すごくありますもんね。大畑さんの作品って、今日の光を飲むもそうですし、以前の火を食べる「Lumière(リュミエール)」もそうですし、純粋に本能的な楽しさに覆われているような感じがするんですよね。今日も、「光を見つけることが楽しい」とか。そういう純粋な楽しさが、いろいろなところに潜んでいる。そういうのは意図しているところなんですか?
大畑
意図していますね。いくつかのコンセプトというか、アイデアというか、それが3つぐらい重なってきたら、「これは本物かな」という感じになるんですよ。
山崎
それは、すばらしいですね。両軸楽しめますもんね。子どもが体験しても単純におもしろいし、ちょっとアカデミックな大人にとっても、「光を飲むということは、こういうことで」みたいに語れる部分もあって。普通は、世の中のものって、どっちかに振れている場合が多いじゃないですか。それが共存しているのは稀有な存在だと思います。
大畑
ありがとうございます。やっぱり、自分のスタンスはそこにあると思います。
山崎
今日の作品の発表予定はもう決まっているんですか?
大畑
今回も、音と照明を工夫しようと思っていて、それを今やっている途中なので、どこかで発表はしますけど、まだ少し時間がかかりそうですね。
山崎
なるほど。ぜひ参加してみたいです。ちなみに、「Lumière」の開催予定はありますか?
大畑
まだはっきり決まってませんが、今度は、金沢方面に向かってツアーに行きたと思っています。
山崎
そちらも、ぜひ、皆さんに体験してみてもらいたいなと思います。ということで、そろそろ時間もなくなってきたので、下にいって、いろいろな人の感想を聞いてみましょうか?
大畑
そうですね。本日はありがとうございました。
山崎
ありがとうございました。
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