銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン

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PROFILE

いけばな教授者/Tumbler&FLOWERS 主宰
渡来 徹

渋谷区神宮前にいけばな教室兼オーダー花店『Tumbler & FLOWERS』を構え、いけばなの面白みを多くの人に知ってもらうべく活動する。男性ファッション誌や女性情報誌での編集・ライターとして培ったキャリアをもとに、従来のいけばな教室とは違ったアプローチでレッスンやワークショップを行なっている。レギュラーのいけばな教室のほかに店頭やイベント、展示会場の装花、企業向けワークショップなども手がけている。
www.tumblerandflowers.com

RADIO REPORT

vol.192016.03.1119:00-20:00

渡来徹 × 山崎晴太郎

山崎
松屋銀座屋上、ソラトニワ銀座からお送りしております。銀座四次元ポケットプレゼンツ、山﨑晴太郎の銀座トークサロン。アートディレクター、デザイナーの山﨑晴太郎です。それではここで、ゲストの方をお迎えしましょう。いけばな教授者/「Tumbler & FLOWERS」主宰、渡来徹さんです。こんにちは。
渡来
こんにちは。いや、こんばんはか。
山崎
こんばんは、ですね(笑)。実は、渡来さんは僕のいけばなの先生です。昨日もお会いしたばかりですね。
渡来
そうね、レッスンでね。

偶然の積み重ねで、ライターから花の道へ。

山崎
僕がはじめてレッスンに行ったのは、2年前くらいだったかと思うんですけど、他の教室とはちょっと風合いが違いますよね。
渡来
うーん、逆にそれは生徒さんのほうが知っていると思うんだよね。僕は他の教室を調べないんだけど、生徒さんって結構WEBであれこれいけばな教室を見てきて、「自分のピンと来たところがうちだった」と言って来てくれるので。そこらへんは逆に聞いてみたい。
山崎
僕の場合は雑誌で見つけて行ったんです。やっぱり「いけばな」というと、おばさまのイメージが強かったので、男性でも行きやすそうなところがいいなと思って探していて見つけたのが先生のところだったんですね。
渡来
なるほど。実は、30代くらいの男性の生徒も多くいるんだけど、なかなかサイトまで充実しているところというのが多くないから、探しにくいのかもしれないよね。
山崎
そうですね。そもそも先生はライターをやられていたんですよね?
渡来
そう。もともとはライターと編集者です。
山崎
どれくらいやられていたんですか?
渡来
マガジンハウスという会社で『ポパイ』や『hanako』、『anan』という雑誌をやらせてもらっていたんだけど、それが10年ぐらいかな。ライターをはじめたのと同じぐらいのタイミングでいけばなも習いはじめたので。
山崎
そうなんですね。そこからなぜいけばなをはじめたんですか?もともと花は好きだったんですか?
渡来
花は好きだったんだけど、別にいけばなに興味があったわけではなくて…。
山崎
なるほど。
渡来
ある時、白洲次郎さんの展示会を見る機会があって。たぶん、松屋銀座さんだったと思うんだけど。そこに展示してあった白洲さんの自宅の裏にある竹藪の竹でつくった靴べらを見て、自分でも靴べらをつくりはじめて、そのうち、竹の花器もつくるようになって。じゃあ、お花を生けられたほうがいいんじゃないか、ということで、お花もやるようになって。それで今は、いけばなのほうが軸足になっているという感じなんだよね。
山崎
へぇ、些細なことの積み上げからはじまったんですね。
渡来
そうそう。それで、いけばなを習いたいなと思っている時に、青山の骨董通りにある小原流会館の前を通ったら、ビギナーズスクールというのがあって。その門を叩いたのがはじまり。
山崎
なるほど。やっぱりライターさんだと、いろいろな流派を調べて、小原流を選んだ感じですか?
渡来
ライターはその年の11月にスタートしていて、ライターをはじめる半年ぐらい前にいけばなはスタートしていて。
山崎
いけばなのほうが先なんですね。
渡来
そうなの。流派もなにも調べてない。たまたま前を通ったのが小原流で。よくよく考えれば、小原流ってあんまり竹の器とか使わない流派なのね。
山崎
なるほど。さっきの話じゃないですけど、僕なんかは渡来さんみたいな若い男性の先生がいたから続けられていると思うんですが、きっと先生の時代はそうじゃなかったわけですよね?そこに難しさはなかったですか?
渡来
難しさは、ないね。要は誰に教えてもらうかみたいなことって、先生に対するリスペクトでしょ?僕の場合は月曜日から土曜日まで、毎日担当の先生が違ったんだけど、先生によって教え方が違うというのがわかった上で、自分の好きな先生につくことができた。もちろん、その先生の作品自体が好きだというのもあったしね。でも、はたから見るといけばなというものは、やっぱりハードルが高いんだろうね。いまだに先生のお宅にお伺いして、畳の上で、みたいな…。
山崎
そういうイメージはありますよね。ちょっと神格化され過ぎているというか。
渡来
そうそうそう。本当はそうじゃないんだけどね。でも、そこに行かないとしたら、今度はカルチャースクールみたいな感じになっちゃうわけ。長机で蛍光灯の下でお花をやるのが悪いわけではないんだけど、僕の場合はやっぱりちょっとピンとこない。
山崎
そうですよね。
渡来
うちの教室をはじめて3年半経つんだけど、ここ数年は自分が生けた作品をSNSでアップする生徒さんが増えてきたんだよね。そうなると、やっぱり蛍光灯では雰囲気が出ないし。みんな見栄えのいい写真を撮りたいから、教室を勝手に徘徊して、撮影する場所を開拓していたりしていて。
山崎
気持ちはわかりますね。
渡来
最初の頃は、どうかなと思ったんだけど、なんかそういうことで広めてもらえるんだったら、いいやと。ただ、うちの生徒はなぜか、ハッシュタグをつけないわけ、みんな揃いも揃って(笑)。
山崎
先生の教室まで辿り着かないわけですね(笑)。
渡来
まあ、先生としては、「そういうナイーブな子たちが来る教室なんだな」ということで理解しています(笑)。
山崎
なるほど(笑)。その小原流についてなんですが、小原流というのは、わりと自由な流派という認識でいいんですか?
渡来
それは、流派というよりはたぶん先生のキャパだから、僕の先生のキャパが広いんだと思う。小原流という流派に関して、もちろん定められた形はあるだろうし、その中でやらなきゃいけないこともあるんだけど、最終的には個々のキャラクターが出て、生けられる花が生きている、ということがベストなわけで…。その中では、小原流というのも、ひとつのゆるい枠でしかないと思うんだよね。流派から出て、若くして自分の流派を起こす人も少なからずいるだろうし、流派を外れて、フラワーアーティストとかフローリストとして活躍されている方もいらっしゃると思うんだよね。逆に、そういう枠の中にい続けることで変えられることもあるかな、と思うし。だから僕は、ずっと小原流にいるわけだけど。僕の先生なんて、もう60歳前後だけど、彼女もまた、いけばなをあいかわらず習っているんだよね。仙台にすごい枝ものとかを抱えて、月一で行くんだって、新幹線で。
山崎
それはすごいですね。
渡来
そういう話を聞いていると、ふわっと続けるというのはすごく大事なことだなと思うんですよね。うちの生徒さんとかでも、准教授という、小原流を教えられる資格を取ったら終わり、という感じの人が多いけど、常に誰か人の目を通して自分を修正してもらえるとか、伸ばしてもらえる可能性や余地を残しておくのはすごく大事だなと思っています。

ゆるゆると続ける大切さ。

山崎
先生が習っていた時は、花材は結構トラッドな感じだったんですよね?
渡来
そうそうそう。いけばなの伝統花と言われる、いわゆる皆さんが思っているようないけばな。ピンクの薔薇が使われていたりとか、カスミソウが入っていたり、葉っぱ類にしてもタマシダとかね。家に帰ってから好きな花で復習をして、それを飾っていたから、僕はそれでも構わなかったけど、伝統花を自分の部屋に飾ることはなかったな。
山崎
なるほど。
渡来
でも、実際は、今の子たちだったら、お家に帰ってちゃんとお花を飾りたいだろうし、お花を飾る時に、別にいけばなの復習をする必要はないと思う。それは生徒にも言っていることなんだけど、お花を飾るということを第一にしていけばなを習っているのか、いけばなを覚えるためにいけばなに向かっているのか、それは人それぞれだから。
山崎
確かにそうですね。
渡来
習い事としていけばなを捉えている人にとっては、お花を飾るというのは、たぶん二の次だと思うんだよね。だから、いけばなの花材がなにであろうと、レッスンには行くし。その花材はどういうふうに選ばれているかと言うと、ある程度、生産数があることと安く供給できることが大事だと思うのね。でも、うちの生徒さんは通常のレッスンで、僕が習っていた頃の倍ぐらいのお花代を使ってくれている人も、場合によってはいるわけ。それでも、自分の好きなお花を選べるということは必要なアプローチかな、と僕は思っているんだよね。
山崎
僕も最初、すごくがんばって勉強しようと思った。花の名前とかもメモしていたんですよ。でも、最近はメモをとらなくなって。それってたぶん、花に対する向かい方の尺が伸びたんだと思うんですね。何年で結果を出す、とかそういうことではなくて…。
渡来
そうだね。「ここまでに資格を取っちゃおう」「それを取ったら、よし終わり」みたいなことじゃなくて、のん気にゆらゆらと続けていくのがいいよね。
山崎
たぶん一生続いていくんだろうなって。よく使う花は、勝手に名前を覚えるだろうなと思うようになりましたね。
渡来
そうそう。「俺、またこれ使ったわ」みたいなことでいいような気はしているわけ。
山崎
そうなってきますよね。それに先生の教室って、僕もそうだと思うんですけど、あんまりいけばなをやっていなさそうな生徒さんが多く来ますよね。でも、すごく勉強になることがいっぱいあるじゃないですか?
渡来
そうだね。やっぱりいけばなはおもしろいからさ。みんなが感じているハードルの高さが原因で、いけばなをやる若い子たちが減っちゃうのは、すごくもったいない気がするわけ。だから僕みたいなのがいけばなをやることで、ハードルを下げたいんだよね。「あの見てくれでいけばなの先生って、どんなことをやるんだろう?」っていうような、フックになるといいなって思うよね。
山崎
逆にハードルが上がるかもしれないですけどね(笑)。
渡来
まあね(笑)。でも、なんでもいいから、いけばなに興味を持ってもらうというのは、ひとつ大事かなと思っているところ。うちの生徒さんでも、アパレルとかインテリアデザインをやっている人とか、それこそ制作関係の人も結構いるけど、そういう人たちが楽しんで帰っていくのはすごくいいなと思うよね。各々が自分の仕事に戻った時に、「この前、言っていたことってこういうことだったのかな?」みたいに使い回しが利くアイデアというのが、いけばなには沢山あるし。
山崎
なるほど。先生の教室は男性も多いですよね。
渡来
男性も多いね。昨日、一昨日も男性の来店者は来ていましたね。
山崎
深くはまるのって、男性のほうが多かったりしますか?入り口という意味では、おそらく女性のほうが入りやすいんだろうなとは思うんですけど。男性って、凝り性なところもあったりするじゃないですか。
渡来
そうだね。でもね、それも両極端だよね。男性は凝り性なんだけど、なんだろうな、「うまくできなかった」みたいなことで打ちひしがれる人もいるし。逆に、できないことに対して前のめりになれる人っていうのは続くよね、やっぱり。できなかったことを恥ずかしがっちゃうことって、男性ならではかもしれない。
山崎
なるほど、確かに。
渡来
できないことに対して、僕はなんとも思わないわけ。僕になにかを思われても、そんなの関係ないじゃない、本来。これはね、僕が偉いというわけではないけれど、先生に教えを請うんだったら、指摘されたことは自分の成長の余地だと捉えたほうがいいと思うんだよね。
山崎
そうですね。
渡来
でも、そうじゃなくて、「否定されちゃった」みたいに感じちゃう人もいるんだよね。それはたぶん、年代とか年齢とか、それこそ男女も関係なく個人のキャラクターだと思うんだけど。そういう人は、1回の体験レッスンで終わっちゃう。だから、「私は体験レッスンいらないです!」というような、すごく前のめりな人にも、必ず体験レッスンを受けてもらうようにしている。
山崎
今更なんですけど、やったことがない人にとってはいけばなのレッスンって想像がつかないと思うので、ちょっと流れを教えてもらってもいいですか?
渡来
僕は小原流なので、まずは小原流の花意匠というシンプルな花形を説明するんですね。その上で、うちの教室の脇に花屋さんを併設しているので、そこに並んでいる中から、メインになる1本として自分の好きな花を選んでもらって。それに合わせて、僕が他の花の取り合わせをして、今度は器を選んでもらう。そこから、いざレッスンスタートなんだけど、ほぼ放置なんだよね。「デモンストレーションを見せてください」という人も当然いるんだけど、それをやっちゃうと、そこに囚われちゃう人が多いと思っていて。
山崎
そうですね。
渡来
だから、最初のレッスンの時には手探りでいいから、「切り花になる前にはお花がどういう状態で咲いていたのか」ということと、「その花のどこが自分は好きなのか」という2点だけを見極めてもらって、「あとは好きに挿してください」と言うようにしている。やっぱり自分の中で試行錯誤することって、すごく大切だから。人がやるのを見せてもらって、わかった気になっちゃう、ということもあるしさ。それで、とりあえず自分の中で満足した、完成したと思ったら見せてもらって、僕がその花を直す。その時に、ビフォー・アフターを写真に撮っておいて、それを見比べながら、ポイントなり、どこを見ているのかということをお話しして。人によっては、その後で、自分でもう一回生け直しをする人もいる。レッスンの流れはそんなところかな。
山崎
これはね、本当に悔しいんですけど、先生に直してもらうと、すごく変わりますよね。最近、「一手目が全てだ」というのが僕のテーマなんですよ。
渡来
そうだよね。一手目の見極め、だいたい1本目に一番花型の主役になるものを生けるわけで。人によっては器ごと変える場合もあるからね。
山崎
そうなんですね。
渡来
「このサイズの時にはこの器は無理かな」みたいなこともあるから、その一手目にすらならない場合もあるんだよね。晴太郎にはいつも話していることだけど、器を置いた時にスタートするものって、すごく大きくて。その器に、お花を1本入れるということに対しての意味合いを、深く考えないといけない。器に合わせたサイズや長さ、尺っていうのもそうだし、あとは器が持っている存在感だよね。存在感というのは、空間を切る額縁みたいなものだと思うんだけど、その中に、お花をどういうふうに入れていくのかって、すごく大事なことで。その一手目はもちろん大事だし、「じゃあ、次にどうする?」みたいなことまで考えて。
山崎
そうですよね。先生が生けているのを見ていると、二手目ぐらいでもう「おぉ!」って感じになりますもんね。あと、たまにフラワーアレンジメントのワークショップもやっていただくじゃないですか。あれも、また全然違って新鮮ですよね。
渡来
アプローチが違うからね。
山崎
でも、その違いも世の中に浸透していないというか。
渡来
そうだね。足していく作業と引いていく作業の違いみたいな言い方をすると、だいぶ語弊があって。研ぎ澄ましていくことに関しては、両方とも変わらないんだよね。ただ、それぞれの違いは写真を撮る時に如実に表れると思っていて。写真って平面でしょ。平面にするといけばなで扱っている空間は、まず写らない。逆にアレンジメントだと、写真で平面にした時も、目の前にあるものとあんまり表情は変わらない。
山崎
なるほど。
渡来
いけばなには、平面にした時には伝わらないものがあるんだよね。教室でよく、写真を撮った後に、その写真を見て、もう一回手を加えちゃう子がいるんだけど、「それは間違っている」と常々伝えていて。いけばなの場合は、目の前にあるものが正しい。空間を扱っている限りは。
山崎
そうですね、僕も途中から真面目に撮るのをやめましたもん。
渡来
本当に、使った花材の記録として写真を残すだけでいいと思う。

いけばなを、ブームに。

山崎
小原流だったり、いけばなそのものだったり、すごく大きな歴史に紡がれた存在だと思うんですけど、その中で、今後どんなところを大切にしていきたいと思いますか?
渡来
続いてきたものを途切れさせたくない、ということかな。なんとなく、和物ブームみたいなことがあるじゃない?その中で、「いけばなもひとつのブームにしたい」というのがあるんだよね。「ブームになると、やがて廃れてしまうんじゃないか?」という話をする人もいるけど、やっぱり一回広がらないと。一回広がってから、そこから絞られていけばいいわけで。
山崎
まずは、三角形のボリュームゾーンを広げたい、ということですね。逆に、その中で、「これは壊していってもいいかな」みたいなものはありますか?
渡来
あんまり、壊すことってしたくないんですよね。
山崎
そうなんですね。
渡来
いけばなの幹として続いてきたものは、本体がやればいい。たとえば、百貨店の屋上でやっている個展とか。僕も先生から「出品しなさい」とか言われていた時期もありましたけど。僕がなぜ自分の教室をはじめたかというと、そういう存在を知らない人のほうがまだまだ多いと思うんですね。そもそも、若い人が百貨店に来ることが減っていると言われていますし。
山崎
そうですね。
渡来
だから僕は、積極的に媒体に紹介していただけるようなパッケージをつくって誌面に出るとか、あとは企業さんの花をやらせてもらうことで、「へぇ、これをいけばなの人がやっているんだ」みたいな感じにしていきたいなと思っていて。
山崎
なるほど。
渡来
それは、ちょっとした枝だよね。もし、いけばな業界の中で、みんながじわっと感じている濁りとか澱みというものがあれば、たぶん勝手に淘汰されていくし。それはそれとして、幹の部分をしっかりと残した上で、僕は僕で別のところで根っこを張りながら、脇枝としてどこかに伸びていけたらいいかな、と思っています。
山崎
先生は、今でもまだ教室に通われていますもんね。
渡来
そうですね。あんまり通ってなくて先生に怒られちゃうんだけど。
山崎
そうなんですね。
渡来
やっぱり先生のところに行けば、気づきもたくさんあるだろうし。自分がお花屋さんとか、あと教室をやるようになってから、見えるようになったことがすごくあるから。それはそれで、また違う楽しみもあるよね。ただひたすら習うだけというよりも。あとは、自分がアレンジメントとか花屋さんとして活動していることが多いから、若干いけばなに対しての研ぎ澄まし方みたいなのが緩くなっているところがあるかな、と感じていて。
山崎
それが浄化される感じですか?
渡来
そうだね。デフラグっていうとおかしいけど、本当にそんな感じ。
山崎
先生の活動は、多分にスポークスパーソン的な意味合いもあると思うんですけど。スポークスパーソンとして世の中に出ていくにあたって、自分の作家性みたいなものを意識されたりしていますか?
渡来
作家性って、僕はあんまり気にしたことがないね。それはライターの頃もそうだし、今こうやってしゃべっているのにしても、自動的に他の人とは違う言葉のしゃべり方をしていると思っているわけ。だから、出そうと思って出すものじゃなくて、滲み出てくるもののほうがどちらかというと、本人なんだよね。
山崎
なるほど。
渡来
だから、花を生けた段階で、人となり、能力、個性は自ずと出ているわけで。あとは、受け手がどう取るかじゃない?仕事で「生けてください」と言われたら、クライアントの意向のほうが強いのはどこでも一緒だし。たまに、「好きに生けてください」と言ってくれるパトロンみたいなクライアントさんもいるけどね。でも、それにしても、どういうものを生けたいのかを考える上で、つながりと言うか、意味づけは必要になってくると思うし。そういう意味でも、あまり作家性みたいなことは期待していないかな。
山崎
無意識の中で出てくるものということですかね。

いけばなというモチベーション。

渡来
そうそうそう。
山崎
さっき、器の話がありましたけれども、先生にとってお気に入りの花器ってあるんですか?
渡来
今は流派の指定と言うか、ある程度推薦するような器ももちろんあるんだけど、僕はなんか自分の部屋にあるもの。お花って結局、インテリアのひとつだと思うので、自分の部屋にあるもので飾れればいいかなと思う。僕自身は、何人か唐津の中里花子さんとか、益子の中園晋作さんとか、そういう作家さんのものを使っていけることが多いかな。
山崎
作家さんがつくったものと、普通のそのへんにあるものって、向き合う感覚が違いますか?
渡来
だってかわいい器を買ったらさ、かわいく生けたいじゃん。
山崎
やっぱりテンション的に。
渡来
そうそうそう。モチベーションが全然違う。いい花を見つけて「うわ、この花かわいい!あの器にしよう!」って思う時もあるし、逆に、「あの器を買ったから、どの花を生けようかな」って、市場で探しまわるとか。そういうのは両方ある。
山崎
先生の教室で、花を選ばせてもらっているじゃないですか?あれって、人それぞれの傾向とかわかるものですか?「やっぱり選んだよ」みたいな。
渡来
花の好みは当然あるよね。あと、ある時に漠然と、神経質な人が選ぶ花があると思ったことがあった。3人組のお客さんが、3組くらい連続で来たことがあって、その中の神経質担当と言えばおかしいけど、なんかすごくあれやこれやしゃべる人が選ぶ花というのが、全部一緒だったの。
山崎
へぇ、なんか潜在的なものがあるんですかね。
渡来
「なにこれ、神経質な人ってこの花を選ぶの」みたいなのがあった。それを言うと、見透かされているみたいで怖いと思う人が多いから、あんまりね。そういうので判断しないしさ。
山崎
そうですね、確かに。ぼちぼち時間も近づいてきたので、これからいけばなを通して、どんなことを表現していきたいとか、どんなことを成し遂げていきたいみたいなことはありますか?
渡来
さっきの話じゃないけど、いけばなはとにかくブームが来るかどうかという話でいくと、僕はブームをつくりたいと思っているし、そのためにできること、こうやってメディアに呼んでもらうこともそうだし。自分でマーケットに出て、いけばなを売るとか。そういうこと、なんでもいいからいけばなを広めていくということに、もうちょっと腐心したいなと思っています。
山崎
なるほど。では、渡来さんにとっていけばなとはなんですか?
渡来
今のところモチベーションと言うか、やる気じゃないかな。あとは、僕はたぶん、いけばなを習ってなかったら、ライターからこの転進はできなかったし。今おかげさまで3年半、花屋としてやらせてもらっているから、そういう意味では生活の糧でもあるし、さっきの話と若干矛盾するけど自己表現の場ではあると思っている。あとは、自分を代弁すると言うとおかしいけどね、コミュニケーションのツールだよね。そんな感じかな、今は。
山崎
なるほど。ありがとうございます。それでは最後に、リスナーの方にメッセージをお願いします。
渡来
いけばなを習いに来てください。
山崎
場所をもう一度教えてもらってもいいですか?
渡来
渋谷区神宮前五丁目36の6。って、住所を言ってもしょうがないんだよね。青山の国連大学の裏手になります。「Tumbler & FLOWERS」という僕のサイト(www.tumblerandflowers.com)があるので、そこからコンタクトで問い合わせしていただければと思います。
山崎
はい、ということでぜひチェックしてみてください。渡来さん、ありがとうございました。
渡来
はい、ありがとうございます。
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