銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン銀座四次元ポケットpresents 山﨑晴太郎の銀座トークサロン

隔週水曜19:00-20:00ON AIR

EVENT REPORT

vol.12015.05.1519:30-20:30

長崎義紹 × 山崎晴太郎 / REAL TALK SALON

山崎
本日は、山崎晴太郎・長崎義紹さんのリアルトークサロンにお越しいただきましてありがとうございます。ラジオの「銀座トークサロン」は、ソラトニワ銀座に毎回、いろいろな方をゲストでお呼びする番組なんですね。その方々を放送後そのままここにお連れしてみんなにご紹介したいなっていう、そういう会です。
長崎
そうなの?今日初めて聞いたんですけど。
山崎
いやいや、さっきちょっと言ったじゃないですか(笑)。ちなみに、ラジオはどうでしたか?
長崎
意外にスラスラしゃべれたね。
山崎
ラジオの中では、強いルールを意図的に設けて、そのルールを越えていくことで新しいクリエイティブを作っていくみたいなお話がありましたけど。で、毎回新しい人とやるとか、いわゆる固定化されたメンバーでやらないみたいな話ですね。あと100メガバイトの通信速度じゃないと見れないWebサイトでしたっけ?
長崎
昔やったNTTの仕事ですね。その時の僕は編集長って形で、Webのディレクターやってたのが田中耕一郎(projector)、アートディレクターが川上俊(artless)っていう。で、映像ディレクターが河村大馬(projector)。今、Webクリエイティブ業界の中でトップクラスって言われてる人たちがたまたま集まってて。大野君(ワイデン+ケネディ)がそれのアシスタントでいるみたいな。その当時は、誰がなにやってる人か全く分からなかったんですけど。
山崎
今となってみれば、ですね。
長崎
その前は2000年ぐらいまで、ロンドンやパリにいて。戻ってきて、もともとコピーライターなんでそういう仕事に戻ろうと考えて「何かないかな」って思ったら、「ラッキーストライクってたばこのでかいキャンペーンのコンペがあるんで、それに出ませんか?」って声かけられた。向こうで経験して分かったことは、ロンドンではみんな「今後は紙を持たない生活になるはずだ」って言うんですよ。「スタートは紙でやって、出口は紙じゃない」って。それをそのまま受け売りでプレゼンで言ったらうけた。なぜかっていうと、たばこはもうメディア使えなくなりつつあったので、「じゃあ、メディアを使わないプロモーションって何があるの?」っていうことになっていたんですね
山崎
なるほど。出口がないわけですよね。
長崎
そうです。だから、クラブのイベントとか。あと、メディア使っちゃいけないって言われたから道端の壁ならいいだろって。代官山とか原宿の空いてる壁のところの大家さんに「ここの壁に絵を描かせてください」って頼んで回ったんですよ。そういうプロモーションもやってみて、要は既存のメディアじゃないところで何かをやることの方が面白いんじゃないかなと。既存のメディアって、もう偉い人がいっぱいいたり、メディアホルダーの人たちがいるんで、そこじゃないところで勝負しようと思ってWebをやり始めたんですよ。その当時はまだホームページって言われてたんですけど。
山崎
ホームページビルダーとかの時代ですか?
長崎
そうです。2000年から2010年ちょっと前ぐらいまでかな。Webとかデジタルやる人たちっていうのが、そもそもアナログで作られた写真の素材とかテキストとかをもらって、それをデジタル上に置き換えるっていう仕事がほとんどだったんですね。で、それちょっとおかしいんじゃないかって思って、UNIQLOに提案したんですよ。PR誌作る時の撮影の素材で、そのまま全く新しいWebのプロモーションページ作れますよって。そうしたら、「何言ってるかよく分かんないけど、とりあえずやってみろ。」ってなって。
山崎
当時は、Web用の素材を0から作ることができるデジタルプロダクションって、ほとんどなかったんですよね。
長崎
そういう時代に、うちはその辺をクオリティ高くやりますよって。どんなことやるかっていうと、モデルの撮影をする時に正面から普通撮りますよね、カタログとか。それと同時に360度モデルを回転させるんですよ。そうすると、Web上で360度回転できる。今は普通だけどね。その当時としては。
山崎
最初びっくりしましたよね、あれ回った時。
長崎
びっくりするでしょ。そのようにやってきた中の1個が、UNIQLOCKだったんですよね。僕らはね当時、カンヌをばかにしてたんですよ。カンヌは広告賞のモンドセレクションだって。お金たくさん出す協賛企業が必ず取れるから。取れないのは、ワンショーとそれからD&ADが取れないんですよ。とにかくワンショーとD&ADを取ろうっていうのが、そもそもの目的で。ところが、カンヌも取れちゃったら言われるのはカンヌの話ばっかりなんですよ。「カンヌ取ったんだ!?」って。
山崎
分かりやすいですよね、一般の人にも。
長崎
そういうのがたまたま取れて。Webの人みたいに思われつつあったので、「違うんだよね、うちは」っていうのをやり始めたのが『TOKYOWISE』です。
山崎
なるほど。そういう背景もあったんですね。
長崎
Webの仕事が増えていった時に、若干危機感を持ってたんです。デジタル特化型で最初っからデジタルのプロダクションとしてスタートしてる人たちっていうのが、どんどん出てくるので。そこと戦いながらね、僕ら勝ちつづけるために一体何が必要なのっていう時に。じゃあ、自分たちの持ってる一番の武器は何って言ったら、企画と編集とコンテンツの素材を作れるってことだよねって。じゃあ、そういうアナログな手法を使ってWebマガジンを作ってみようって。だから、『TOKYOWISE』の記事は、基本的には現場に行って取材をします、撮影をオリジナルでやります、原稿も0から書き起こしますっていう。出口がWebっていうだけで、Webマガジンを作るっていうよりも、やり方としてはアナログの雑誌を作るのと全く同じ作り方なんです。
山崎
それは、常にその先をいろいろ考えつづけながら足元を動かしているって感覚があるんですか?それともある時に、ポンってくる感じなんですか?
長崎
半分は飽きちゃうっていうのもあるじゃないかな。だから、飽きちゃった時に自分やうちの会社のスタッフが持っているものを使って何ができるか。自分の周りにいる人たちを組み合わせていくと、何か違うことが起こったりしないかとかは考えますよ。
山崎
なるほど。
長崎
それが、晴太郎さんもそうなんですよ。あるファッションブランドのお仕事をやることになって。で、アートディレクターどうしようって考えて、印刷屋さんに「ねえねえ、こういう感じでこういうことやりたいんだけど、どっかにこういうことできるアートディレクターいない?」って聞いたんえすよ。カメラマンって、実は撮った後どういう処理してるかっていうのを分かってないんですよ。でも、印刷屋さんは最後に一番よく分かるわけ。入稿がうまいとか、色校が雑だとか、いろんなことが分かるわけですよ。修正が多いとかね。だから、その時は結構予算の問題とか難易度の問題もあったんで、印刷のテクニックがある程度分かり、それからデザインのテイストの幅を持たせられる人でっていうようなことをいろいろ言ってたら、晴太郎さんを紹介されたんですよ。
山崎
僕ね、今年で7年会社をやってるんですけど、あとにも先にも印刷屋から紹介された仕事はそれだけですよ。普通そこをパイプで使おうって思わないじゃないですか。
長崎
だって、デザイナーに「どっかにいいデザイナーいない?」って聞いたら「俺!」って言うでしょ?
山崎
まあ、そりゃそうですよね。
長崎
それは、デザイナーもそうだし、特にWebの場合アートディレクターだけじゃなくてWebディレクターってのが必要になる時が結構あって。これがいいのなかなか当たらないですよね。あとは、実際に仕事を動かす時にすごい重要なのはPMなんですよね。これが優秀じゃないともうガタガタになんだけど、この人たちを探すのもすごい大変で。そういうのは徐々に育てるのか、誰かいいPMを抱えている会社と組むかとか、そういうふうに考えてやります。UNIQLOの時も、アートディレクターの杉原崇之君とかと「PMいねえよな」って言って、「PMをまるごと会社に頼むっていうのどう?」っていう話になって。SONICJAMってとこに。
山崎
PMだけを?それ、どういうリアクションしてました?
長崎
「ひどい話ですよね」って(笑)。
山崎
なるほど。それと今日は多分、『WIRED』の話聞きたい人も多いと思うんですが、そのへんの話がラジオでもなかなかできなかったので、お聞きしてみたいなと思うんですけど。ちなみに、どういう経緯でその立場に。
長崎
六本木のあるお店でご飯食べてたんですよ。そこにたまたま僕と知り合いの谷川じゅんじ(JTQ)っていう空間プロデューサーと、北田さんっていうコンデナスト・ジャパンの社長が飯食いに来てて「おう、久しぶり」みたいな話をしているうちに、「『WIRED』の日本版を出せって言われるんだけど、何人も編集長の候補に会ったけど全部だめで、本国がNG出してきた」って聞いて。「あ、やってもいいですよ」って。紙が分かって、デジタルの経験値があるエディターっていうのがいないっていう話に僕が持っていったんですよ。
山崎
なるほど。うまい。
長崎
実際いないんですよ、そんなにね。今はいなくはないですけど。その当時はいなくって。どっちにしろ、初年度2冊出さなきゃいけないんで2冊まではやって、「その先はまだ分かんないですね。」って言うんで2冊まではやりますと。
山崎
そうなんですね。
長崎
ただ、1個難しいのが、『WIRED』って雑誌を出しても、売れたとこで1万部だろうね、みたいな話なんですよ。広告も大して入んないだろうなと。じゃあ、Webのほうで稼ぐ方法はないかって話もしたんだけど、それも初年度は無理だよねって。なぜなら、ああいう雑誌社系のメディアが広告メディアとして出す時にクライアントに説明するのに、最低300万PVっていうわけ分かんない数字があって。エンゲージメントの話じゃないんですよ。とにかくPVだけ稼げばいいって話なんだけど。それにいくには半年以上は絶対かかるので、ペイしないっていうのがあった。それで、何を考えたかっていうと、イベントをやろうと。最初にWIRED大学っていうのをアップルストアでやって、今も『WIRED』は年がら年中イベントやってて。1回1万5000円から高いのだと6万円ぐらいするんですよ。
山崎
そんなにするんですか。
長崎
でも、イベントでのマネタイズっていうのをベースに考えたら、それほどメディア側のほうでクライアントサービスしなくてよくなる。今の日本の雑誌メディアにしろWebメディアもほとんどそうですけど、クライアント目線を考え過ぎちゃうんで、どうしても矛先が鈍い。そこが、日本のメディアとクライアント、それからオーディエンスっていう関係が本当に未成熟。僕、DRIES VAN NOTENにもいたんですね、ベルギーの会社で。そうすると、パリコレクションで僕が日本の担当なんで、日本から来るプレスを入れるんだけど、彼らの席順ってみんなパリのプレスルームが決めるんですよ。フロントロはもう、『VOGUE』と『ELLE』って決まってて。日本の場合は、2列目3列目とかってなってくんだけど、その席順に日本のプレスはめちゃめちゃこだわるんですよ。「何であの人が私より前なの?」みたいなことを言い出す。
山崎
上座、下座みたいな話ですよね。
長崎
海外の人間がそこを笑ってるんだけどね。そのDRIES VAN NOTENって、最大のマーケットはアメリカなんです。アメリカのプレスチームは『VOGUE』でもなんでもなくて、『ニューヨークタイムズ』のファッション班が一番フロントにダーッと座るんですよ。何でかっていうと、彼らボロカスに書くから。つまんないって途中で帰っちゃうんだよ。それでも、出稿関係とかそういうのは絶対に崩れないっていう。そういうのが、ジャーナリズムであったり、メディアだったり、その批評だったりっていう関係性がちゃんとできあがってる。成熟してますよね。日本はそこんとこが言えないので、言えるメディアをやりたいなと思って『TOKYOWISE』っていうのを立ち上げました。
山崎
スポンサー関係もそうですもんね。
長崎
そのスポンサーっていうか、『TOKYOWISE』をバックアップしていただいてるのがスターバックスさんなんですね。スターバックスで良かったなと思うのが、彼らは競合がないんですよ。そこがバックアップに付いていただいてるので、何でも書けるっていう。ありがたい。
山崎
それではですね、みなさんから質問を募集しようかと思うんですけど。何かご質問ある方いらっしゃいますか?
参加者
今、長崎さんがはまっているものはなんですか?
山崎
全然今日のくだり関係ない(笑)
参加者
いや、ちょっとまじめな話だったから、1回ブレークダウンしてもらおうかなと思って(笑)
長崎
この間ニューヨークに行ったときにRIMOWAのポリカーボネイトのやつ持ったら、あまりに使い勝手がいいんです。それで、RIMOWAいいなと思って、この前原宿に見に行った。そしたら12万円くらいして、「ネットだったら安いだろう」って思ったら、2、3万円ぐらいのから7万円ぐらいまで、同じやつの値段がすごい幅がある。大概のものはどっかの商社がぼってんのか関税の問題なのか、すごい値段の違うものが多くって。それって一体、本当のとこどうなんだろうなっていろんなものを比較しだして。
参加者
それが、面白い?
長崎
面白いんですよ。だって、CDだと1280円から2600円も違うじゃん、同じものが。「それって何」って思わない?つい最近だって、スタンスミスっていうadidasの靴が限定復刻って言われて1万4000円ぐらいしてさ。「買わなきゃっ」ていって慌てて買ったら、その1カ月後にABCストアが8000円で出してて「あれ、何だこれ」って。「こっちのが真っ白できれいじゃん」みたいな。adidasのオリジナルのほうがなんかくすんでるなと思って。本当の値段と、自分が持ってるスタンスミスってものを履くことの価値と、払う値段との対価との関係っていうのが、あまりにバラバラなので。
山崎
なるほど。
長崎
その価格の意味って何だろうって。そういう値段のカラクリって実は流通の問題とかあるんだけど、そこがネット上で明らかになっちゃうんですよ。それにね、すごく興味がある。値段って面白いですよ。だから、ハマってるものと言ったら、値段。
山崎
すごい面白かった。いい質問でしたね。ということで、このあとですね、23時まではご歓談の時間になります。長崎さんも多分いていただけるんですかね?
長崎
うん。
山崎
という感じなので、もし長崎さんにご質問がある方とかアピールしたい方とかね、ぜひぜひ気さくに声をかけてください。ということで、長崎さんありがとうございました。
TOPへ

GUESTSGUESTS 一覧を見るMORE