2018.11.18
JOTARO SAITO vol.2
東京コレクションへの出展
テキスタイルとしてはユニセックスで、仕立てによって男物と女物に分かれるというJOTARO SAITOの着物は和装でありながら、東京コレクションでコレクションを発表し続けています。何年続けていても、洋服ブランドばかりの中で理解を得られないこともあるようで、何度も苦い経験をしたようです。
それでもコレクションで発表を続けているのには、着物が現代生活から乖離していく中、「日常で、もう少し和を愉しもう」というメッセージを発信したいという思いがあるからだと斉藤さんは言います。
洋服だと春夏と秋冬のコレクションになりますが、着物の場合は秋冬がメインとなるので東京コレクションでの発表は3月に行われる秋冬コレクションのみ。その他には、着物業界のイベントでミニコレクションを行って、新作のPRをしているそうです。
LADY GAGAから受けた影響
LADY GAGAが2016年にリリースしたアルバムのキャンペーンで来日した際に関係者からプレゼントされた着物を制作したのが斉藤さん。共同記者会見の終わり際に、着物をプレゼントされたGAGAが感激のあまり号泣したことが話題になりました。
涙を流すGAGAの姿を見た斉藤さんは「日本のアーティストや女優に着物を渡して、ここまで喜んでもらえるのだろうか?」と自答。着物は海外の人から見ると特別なアイコンになっていることに気づいたと言います。
後日、GAGAがその着物をTV番組で着用する際に、一式を揃えて着付けもした斉藤さん。その際のGAGAからのオファーは「トラディショナルに着たい」だったのだとか。世界のファッショリーダーをもってしても着崩さずに着たいと思わせる着物について考えていると、日本人のルーツとしての文化的側面の重要さを痛感。自身の手掛けているシゴトの重要さを再認識したのだそうです。
GINZA SIXにあるフラッグシップショップ
2017年にGINZA SIXにオープンしたフラッグシップショップはJOTARO SAITOブランドや斉藤さんの工房でつくられたモノが一堂に会する日本でただ1つのお店。着物のお店と言うと敷居が高く感じられるかもしれませんが、カフェを併設しているので、気軽に寄りやすいというお店です。
着物を着て銀座に出かけたついでに寄るもよし、銀ぶらのついでに休憩するもよしというショップです。そんなショップの名物となっているのが、アイスキャンディー!斉藤さん自身がお好きということもあるようですが、染屋さんらしく色にこだわったアイスキャンディーの数々を味わう事ができるということ。
着物を見るだけではない、着物で楽しむことができるJOTARO SAITOのフラッグシップショップ。お近くを訪れた際には、ぜひ覗いてみてください。
https://ginza6.tokyo/shops/1151
文化百貨店で扱いたいモノ
番組恒例の“文化を扱う架空の百貨店でバイヤーとして扱うとしたら?”という質問に、ブレずに「もちろん着物」とお答えくださった斉藤さん。頭の先からつま先までをトータルで提案して、ツールとしての着物を提案したいと話してくださいました。
非日常の衣装となってしまった着物を日常に取り戻したいという思いと、新しい時代の美意識や価値観づくりに伝統を踏まえながら関わっていきたいというキモノ業界のイノベーター斉藤上太郎さんでした。
といった所で今回の文化百貨店は閉店。次回は、メキシコのモンテレイ大学から東俊一郎さんをお迎えして建築のお話しを伺っていきます。
今週のセレクト
斉藤上太郎さんのリクエスト
約束の橋 / 佐野元春
山崎晴太郎セレクト
アルネ / haruka nakamura