2019.10.13
NAOTO vol.1
バイオリンとの出会い
お母さまが音大の声楽科出身で、自宅でピアノを教えていたというNAOTOさん。お母さまの同窓生のお子さんの発表会に連れて行かれて、お兄さんたちが持っていたバイオリンケースに一目ぼれ。バイオリンそのものではなく、ケースに魅かれたことから、バイオリニストとしての道を歩み出すことになったそうです。
ライトな想いからスタートしたNAOTOさんのバイオリン人生ですが、同時に、ハードな練習がもれなく付いてきたのだとか。「若い頃には二度と戻りたくない」と語るほどの厳しい練習とハードルをくぐり抜けて、現在のNAOTOさんが出来上がったようです。
ポップスとの出会い
バイオリンを習う傍らで、幼少期にはテレビ番組を通じてJ-POPに常に触れていたNAOTOさん。幼い頃から、クラシックとポップスの両方を聞いていた経験が、今の幅広い活動にも繋がっているようですが、特に衝撃的だったというのがマイケル・ジャクソン。
16分音符の裏で歌い続けるという難易度の高い事をキープし続けている姿に、即座に魅了されたそうです。そこから、ダンスミュージックというジャンルの素養も入って来たようです。
クラシック音楽とは
NAOTOさんによると、クラシック音楽が神へ向けて作られていたのは、バッハやヘンデルぐらいまで。モーツァルトの時代には、お金持ちの貴族や王様が作曲家を囲い込むようになり、それに違和感を覚えたベートーヴェンは大衆に向けて音楽を作るようになったと言います。さらに、ショパンやチャイコフスキーになると、書いた曲を自ら演奏するという演出を加えるようになったという歴史があるそうです。
端的に言うと、その当時の“ポップス”の変遷が、今の時代から見れば“クラシック”なのだとか。そこに産業革命が起こり、電気によって音楽を聞かせることが出来る環境や人数が増えたことが、“クラシック”の時代と、今の大きな違いだと言います。
また、電気によって、ジャンルや楽器が広がっていく中、1600年代後半から形が変わっていないのがバイオリン。この楽器がポップスに付いていくためには、演奏者が演奏法やジャンルの表現を進化に合わせていく事が必要だとも話してくださいました。
音楽監督というシゴト
大泉洋さんや安田顕さんなどが所属している劇団TEAM NACKSの音楽監督を10年以上担当しているNAOTOさん。“音楽監督”という役割には、色んなタイプの人がいるようですが、NAOTOさんは、「音楽に対して全部の責任を持つ」というポリシーで携わっているそうです。
曲を書く必要がある時には作曲をし、本番のための音響チェックやバランスチェック、さらに人選に至るまで、舞台に関する音の部分はすべて関わるようにしているようです。
そのため、演出家とは、かなりキツイやり取りになることもあるとも言います。まずは、劇伴に対するイメージを形容詞で羅列してもらう所からスタートし、そこからデモを出すという作業を進めていくそうです。こうやって、イメージを共有していくにつれ、お互いの距離感が縮まっていき、良い音楽が出来ていくのだとか。
ちなみに、作曲をしている時のNAOTOさんは、「アイデアが降ってくるということは無い」と言います。街で流れている音楽や、気になった音楽を聴いた時の感情を、常に自己分析しているので、“どの音楽を聴いた時に、そう思ったのか”という所から、自分の引き出しを探り、形にしていくのが、NAOTOさんのスタイルだということでした。
といった所で、今回の文化百貨店は閉店となります。次回は、NAOTOさんが愛してやまないカレーの話題をたっぷりお聞きしていきます。
今週の選曲
NAOTOさんセレクト
PARAMUSHIR / NAOTO
山﨑晴太郎セレクト
Dew and Spiderwebs / Hauschka