2018.04.22
額田大志 vol.2
演劇との出会い
先週も話題に出ましたが、額田さんが在籍された東京藝術大学環境音楽科の授業で舞台についても学ぶことがあったそうです。最初は舞台音楽などをやっていたようですが、演出家・劇作家の平田オリザさんの講義を聞いて、演出に興味を持ちだしたと言います。その時に平田さんから学んだ演出方法が、演奏と通じるものを感じ、本格的に演出を手掛けるようになりました。
音楽的な演劇
額田さんが主宰するヌトミックのキャッチフレーズは「音楽的な演劇」。ミニマルミュージックの手法を取り入れたり、ストーリーからではなく作曲のように構造から組み立てていくという所から、“音楽的な演劇”だと認識しているそうです。 また、ストーリーがあり、正解がある作品ではないので、自分で正解を探して行けるマインドを持つアーティスト気質の演者と一緒にやるようにしているのだとか。 そして、額田さんはあまり演出をせず俳優に任せることも多いとも言います。アーティスト的な俳優のスキルを引き出して、それを作品に配置していくのが額田さんの演出スタイルのようです。
作品の作り方
自身の作品について、ストーリーがあまり無い分、ゴールは明確にしてから作ると額田さんは言います。最初に脚本のようなものを作り、そこから皆で演出や上演方法を探りながら作り上げていくそうです。 もちろんセリフも出てくるのですが、額田さんはイメージを大切にしているので、意味よりも音として重要に捉えているのだとか。間や発話の仕方で状況を作り出すように、セリフを配置しているような感覚なのだとか。
卒業制作『それからの街』
第16回AAF戯曲賞大賞を受賞した『それからの街』は、卒業制作として制作された作品。作曲専攻だった額田さんが「せっかく舞台もやっているんだから」と卒業制作を作る際に、自分の軸になっている音楽と舞台を合わせてみようと思った所が、きっかけだったのだとか。 同じ音を繰り返しながらも変化していくというミニマルミュージックの手法を取り入れ、ある街で起きたことをゆっくりと展開していったという『それからの街』。セリフを繰り返したり、重ねたり、ずらしたりという要素が入っていて、音楽的な手法を用いてお客さんに伝えることを意識した作品だと言います。気になる方は、こちらの映像をご覧ください。
現在は、芸術やアートに興味がありそうな人たちにリーチをして、横の文化を繋ぐような形で、ヌトミックの公演を来る人を増やしていきたいと考えているという額田さん。直近は東京塩麹での音楽活動が控えているため、ヌトミックでの活動は秋になるようです。 10月に横浜のSTスポット、11月に愛知県芸術劇場の2都市ツアーが決定しているということですので、音楽的な演劇をぜひ生で体験してみてください。
文化百貨店で扱うとしたら
番組で毎回ゲストの方にお聞きしている「文化百貨店のバイヤーとして、扱うとしたら?」という質問には、色んなパフォーマンスを並べて紹介したいというご回答。 音楽も演劇も主軸となっているのはライブ体験で、ライブパフォーマンスに力を入れているという額田さん。そのマインドを、恒例の質問でも示してくださいました。 そんな額田さんのライブパフォーマンスを直近で体験できるのが4月30日。新木場のStudio Coastで開催されるTOKYO INSTRUMENTAL FESTIVALに東京塩麹が出演します。額田さんが生み出した踊れるミニマルミュージックを生で体験してみてください。
と言った所で、今夜の文化百貨店も閉店のお時間となりました。次回はパラスポーツジャーナリストでフリーアナウンサーの本山友理さんをお迎えします。