2018.04.08
村上 塁 vol.2
最近の靴事情
靴の世界ではデザインだけでなく、製造法も変わってきているようです。昔は手縫いや釘とハンマーを使って留めていた靴がほとんどだったそうですが、最近では化学反応で留めている靴も珍しくないのだとか。 さらに、修理を前提としていない靴も多く、1つのソールのように見えて、パズルのようにパーツを組み合わせているものもあって、修理が一筋縄ではいかずお断りする場合もあると村上さんは言います。 かつてはある程度、工程通りにやれば直せる靴ばかりだったようですが、現在は工程自体を探りながら自分の技術をぶつけていくという流れのようで、ミステリーを解くような思考が求められているということです。
ハドソン靴店のオールソール
伝統的な紳士靴はオールソールをして長く履けると言いますが、村上さんによると“オールソール”と一言で言っても千差万別なのだそうです。お肉の産地やランクと同じようにレザーソールの品質も様々。ハドソン靴店では、質の良いソールを使ったオールソールを行っていると言います。 また、グッドイヤー製法の靴などはオールソールの時にコルクが取れますが、コルクも全部入れ替えるなど、オールソールしたその後を見越したケアをするのがハドソン靴店のオールソール。お気に入りの靴をオールソールするタイミングだと言う方は、ぜひ村上さんに相談してみてください。
http://www.hudsonkutsuten.com/
普段のケアの仕方
靴にはクリームを入れることが大事だと考えていたという村上さん。クリームの大切さは変わらないようですが、それ以上に日常的にやった方が良いケアがブラッシングだと言います。 ハドソン靴店を始めてから、クリームでのケアはほとんどしていないけど、履いた後のブラッシングを欠かさないというお客さんが何人かいらしたそうです。半信半疑で、その靴を見たところ、とてもコンディションが良かったのだとか。 靴を脱いだ時のブラッシングなら時間もかからないので、クリーナーで磨いたり、クリームを入れたりするのはちょっと煩わしいと思う方は、一日の汚れ落としだけを続けてみてください。
今後の目標
村上さんは、現在の店舗近くのマンションの一室をリノベーションして、作った靴を売るお店を始める予定だと言います。その靴は、ちょっと特殊なもので、ツイードランなどクラシカルな服装で自転車を楽しむ人たちに向けたサイクルシューズなのだそうです。 メーカーがやるにはニッチで、ビスポーク職人がやるにはカジュアルだと感じた村上さんがお客さんの依頼でスタートさせる新たな試み。パターンオーダーのような形になるということですので、自転車に乗る時の靴に悩んでいる方は、動向をチェックしてください。
文化百貨店で扱いたいもの
番組恒例の文化百貨店でバイヤーとして扱うとしたらという質問に、手仕事の職人が使う道具を並べたいという村上さん。今、職人に注目が集まっているものの、職人を支えてくれる道具を作る業界が危機的な状況だそうで、“職人を支える職人”に注目してもらえる場を作りたいと話してくださいました。 1人でやるよりも仲間を集めて行きたいという村上さんの誇り高い姿勢を感じ、自分の大事な靴を預けてみたいと思った山崎でした。 といった所で今夜の文化百貨店も閉店となりました。
次回は人力ミニマル楽団・東京塩麹の額田大志さんをお迎えします。