2017.10.29
山田 悠介 vol.1
香雅堂について
京都で江戸時代から200年以上続くお香屋さんがルーツで、東京の麻布十番にある香雅堂は山田さんのお父様が開いたお店。線香・匂い袋・防虫香といった“和の香り”の雑貨や、香道で使われる香木や香道具など、香りにまつわる様々なモノを扱っています。1階がお店、2階には和室スペースがあり、2階では香道やお茶のお稽古のほか、香道について浅く広く体験してもらうイベント、香木の炊き方のワークショップ、マニアが集まって香木を嗜む会などを実施し、香りについて興味のある方が広く楽しめるお店となっています。
山田さんによると香道では、長くお稽古される方が多いのが特徴で、山田さんが生まれる前からお稽古に通われていて、赤ちゃんの時に抱っこしてくださった方も未だに通っていたりするそうです。一方で、麻布十番という立地の良さから、香道という言葉を知ったばかりの方や外国人の方も、よく訪れると言います。
香りの世界に入ったきっかけ
元々はIT系の企業に勤めていた山田さん。前職を退職した際に「やる事がなかった」という事で、学生時代にアルバイトもしていたご実家の稼業を少し手伝い始めたのだとか。ご両親の働きぶりを改めて間近で見ているうちに、ITを活かすことができるだろという事と、お香について知る事が楽しくなって、本格的に従事するようになったようです。
香りを聞くという意味
香道では「香りを聞く」という言い方をするそうですが、諸説ある中で山田さんが最もしっくりくる説についても教えてくださいました。香木は非常に繊細な香りなので、香道ではお湯呑のような器に鼻を近づけて香りを嗜みます。その繊細の香りを嗅ぐ行為が、香木が囁いている声に耳を傾けているようなので「聞く」という表現を使い“聞香”と呼ばれるようになった、というものです。この趣のある説に山田さんは共感されているご様子でした。
そんな香りを“聞く”際に用いられる香木ですが、和の香りの文化の中では“白檀”“黄熟香”“沈香”の3種類だけが、香木と呼ばれていて香道では特に沈香が重要視されているそうです。香木は人工的に作れるものではないので、使えば使うほど無くなっていくもの。ですので、来歴がはっきりしていて、香りが良いものは本当に大事にされていると言います。人工的に作れないと書きましたが、沈香については人工的な物も出てくるようになっているようですが、香道で愉しむような質の良いモノではなく「全く別物」と山田さんは捉えているとのこと。
モノを選ぶ時の判断軸は?
美しいモノと作り手の顔が見えるモノに惹かれるという山田さん。最近購入したというお茶で使用する、お水差し、お茶碗といった道具は、知り合いの繋がりのある作家さんのモノだと言います。購入する事が、縁になるし想いが込められているモノは欲しくなってしまうのだとか。
そんな所で、良い香りに包まれていた今回の文化百貨店も閉店のお時間となりました。来週も引き続き、香雅堂店主の山田悠介さんに香りの世界についてお伺いします。スタジオが良い香りに包まれていた理由も明らかに!?11月5日の放送もお楽しみに。