2017.10.01
富井 雄太郎 vol.1
millegraphを作ったきっかけ
元々は、老舗の建築専門出版社・新建築社で務めていた富井さん。新建築社の編集部で、月刊誌のほか単行本のいくつかで編集を担当し、5年後に独立。辞めてから関心を持ったことを学んでいったそうです。独立した当時は電子書籍に興味があったようですが、当時の時世などを考慮して、紙の出版をするようになったそうです。とは言え、当時手にしたiPhoneから受けた富井さんの衝撃は相当だったようです。ちなみに、山崎には馴染みがなかった“1人だけの出版社”ですが、新聞や雑誌などでも取り上げられていて、増えているようです。大手の出版社ではできないことをやるために独立する人や、ライフワークとして本と向き合いたい方など理由は様々ですが、現代の働き方の1つとして広がりつつあるようです。
企画が決まるまで
「衝撃から企画が始まる」と富井さん。人だけではなくモノや景色への衝撃や驚きに出会った所からmillegraphで出版する本の企画は動き出すそうです。そこから、写真家やデザイナー、印刷所などとのやり取りを経て、進めていくのだとか。millegraphらしさというのは特に考えていないと富井さんは言いますが、“面白いこと”“意義が感じられること”に意識を置いていて、色んな本があって良いと思いながら企画の選別をされているようです。本によって読者層を絞ることはしないようですが、強いて言えば、飾りたくなるような本が多いmillegraphらしさが、そこに出てきてるのかもしれません。
出版物のプロセス
millegraphは富井さんだけでやっているので、企画・撮影への同行・文章チェック・赤入れ・印刷所とのやりとりなどなど、ありとあらゆる事に関わることになります。複数の企画を同時に進めながら、複数の役割を果たすので、スケジュール管理が難しそうですが、実際は「待っている時間」も多いのだとか。撮影の時期、デザイナーに仕様を考えてもらう時間、束見本を待っている時間など、待っている時間に自分の頭を切り替えたり、方向性を改めて考えたりすることが重要だと思っているということです。
モノ選びのポイント
やはり本はよく買うという富井さん。それ以外だと透明なグラスをよく買うのだとか。同じグラスを揃えるのではなく、1つずつ買って色んな形のモノが並んでいるのが好きなのだそうです。食器やカトラリーも1セットだけ買うことが多いそうで、使う時に組み合わせも楽しむ方が面白いと思っているようです。日頃から、組み合わせを考える所が、編集のお仕事にもつながっているのかもしれません。
10月5日~8日天王洲アイル寺田倉庫で行われるTOKYO ART BOOK FAIR2017にmillegraphが参加。国内外の出版社やアーティスト約350組が参加するアジア最大のブックフェスティバルです。
「TOKYO ART BOOK FAIR2017」Webサイト http://tokyoartbookfair.com/
といった所で、本日も閉店のお時間となりました。来週も株式会社ミルグラフ(millegraph)代表の富井雄太郎さんに、本づくりについてのお話しをお伺いします。