2018.07.29
燃え殻 vol.2
『ボクたちはみんな大人になれなかった』を書いたきっかけ
Twitterで多くのフォロワーを獲得している燃え殻さんなので、Twitterがきっかけで連載や小説に繋がったと想像してしましますが、きっかけは元小説家の樋口毅宏さんなのだそうです。
三軒茶屋で一緒に飲んでいた時に、酔っ払った樋口さんから「小説を書け」「書かなければ絶交」と言われ渋々承諾すると、その場にcakesの編集者を樋口さんが呼びつけ、編集さんとメールでの文通が始まります。
樋口さんに戦々恐々としている燃え殻さんと編集者の2人。 “一般的にはカワイイ方じゃない人だけど、自分がすごい好きだった人に思いっきり振られた”という燃え殻さんのエピソードに対して、編集者からの質問に答えてるというやり取りを数カ月行ってネタが貯まった所で連載がスタートしたと言います。
cakes『ボクたちはみんな大人になれなかった』
https://cakes.mu/series/3635
書くということ
連載当時は、本業の合間にアイデアを考えながら締め切り直前に追われて書いていた燃え殻さん。“読んでいて気持ちいい”という部分を意識して書いていたそうで、読み返してリズムが悪いと感じたら、物語と関係がないようなことでもリズムが良かったら入れてみて、気持ち良さを重視しているようです。
自身の思い出から書き上げられた『ボクたちはみんな大人になれなかった』。燃え殻さん自身、過去のことをすごく覚えているという所と過去を加工していると言います。だからこそ、未来は変えられないけど“過去は変えられる”とも感じているようで、まだ未来を書こうという境地に到達していないとも話してくださいました。
書き終えてみて思ったこと
振られた女性への思いを「成仏させましょう」と編集者に言われ始まった連載でしたが、実際はカサブタを剥がされ逆に血が噴き出しているような状態になったという燃え殻さん。しかし、小説を書いて、その思いが成仏したと感じたのだとか。
小説化が決まった時に、燃え殻さんは「自分より長生きするものを書きたい」と考えていたそうです。書き終わってみて、納得できるものができたという思いが強かったことが、気持ちを成仏させるきっかけとなったようです。
新潮社『ボクたちはみんな大人になれなかった』
http://www.shinchosha.co.jp/book/351011/
文化百貨店で扱うとしたら
番組恒例の“文化を伝える架空の百貨店でバイヤーとして扱うとしたら?”という質問を最後に燃え殻さんにお聞きしました。
学生時代からラジオが好きだったという燃え殻さんは、お気に入りの番組をカセットテープに録り貯めて、今も数百本持っていると言います。昔の番組を今、ウォークマンで聞くのが嬉しいのだとか。
そんな体験から、過去のラジオ番組だけでなく無くなってしまった音源を聞けるような場所があれば良いのになと話してくださいました。
といった所で、今夜も閉店のお時間となりました。一見、脱力しているようでも観察力の鋭い燃え殻さんの視点に、共感と刺激を覚えた2週間でした。次回は、ボーカルデュオHoney L DaysからKYOHEIさんをお迎えしてお送りします。
本日の選曲
燃え殻さんのリクエスト
Lie Lie Lie / Bonnie Pink
山崎晴太郎セレクト
Ritual Song / Rival Consoles