2018.09.16
蜂谷宗苾 vol.1
香道とは
長く続いているにも関わらず、ピンとこない方も多いかもしれない香道。東南アジアで採れる天然の香木1つ1つの香りを鑑賞するというもの。蜂谷さん曰く「香りを聞いて、自分自身に取り入れ、自分のステージを上げて行くのが最終目標」という香りによって自然と一体化して、自分自身を見つめなおすようなもののようです。
香木は、日本で採れずまた栽培が難しいため、1g数万円もする高価なもの。お弟子さんが増えると香木の消費量も増えるため、江戸時代から大きな増減なく今まで来ているといいます。
数万円もする貴重な香りをきちんと堪能するには、火加減が最も重要だと蜂谷さん。最高の火加減で、心を込めてお点前をする事で、その香木本来の香りを引き出すことができるので、そのために何十年と作法を繰り返し学んでいくようです。
香道のルーツ
志野流香道のはじまりは、足利義政の頃だと言いますが、そのルーツは人類が火を手にした時代だと蜂谷さんは言います。煙が天に昇る様子から儀式的な意味合いを持つようになり、各宗教でお香や香りが取り入れられ、その文化が中国から日本に伝わり、独自の愉しみ方として香道になっていったそうです。
そういった香りについての流れの中から誕生した志野流香道。初代のお家元は足利義政に仕えていたとあって、作法は武家的な要素を持っているようです。精神修練の要素が強いそうですが、500年に渡り美と品を追求し続け、今に至るそうです。
作法は畳が一目でもずれると指導されようで、「志野流の先生になるのは本当に大変」だと蜂谷さんは仰っていました。
家元を継承するということ
500年、21代に渡り続いてきた道を継ぐということについて「プレッシャーはない」と蜂谷さん。その一方で、どんな手を使ってでも途中で終わらせないという使命を感じているのだとか。ご自身の親御さんや、祖父、その前の世代が嗅いだ香りや見てきたモノがDNAにインプットされていると感じているようで、その流れを絶やさない事が1つの大きなシゴトのようです。
「どんな家元になるかは自分次第だけれども、後世の人に『21代目は面白かったよね』と言われたい」
21代目を継ぐ人間としての決意をこのように話してくださった蜂谷さん。最近は海外でも香道を嗜みたいという方が増えているそうですが、自然との繋がりを感じることが出来る香道に人種や年齢は関係ないという思いが強くなっているご様子。世界を股にかけた21代目として語り継がれる日が近いかもしれません。
ついコレクションしてしまうモノ
番組恒例のこの質問に「イタリア製の革靴」だと蜂谷さん。佇まいの美しさに見ているだけで幸せになるという事で、海外に行った際にはつい靴を買ってしまうと言います。
革靴の凛とした美しさは、志野流香道の緊張感のある美と共通点があるのかもしれませんね。
といった所で、今回の文化百貨店も閉店のお時間となりました。来週も蜂谷さんに香道の世界をたっぷりお話しいただきます。
今週の選曲
蜂谷さんのリクエスト
Go West / Pet Shop Boys
山崎晴太郎セレクト
unfold / Ólafur Arnalds, SOHN