2018.09.30
遠藤 謙 vol.1
義足エンジニアになるまで
大学時代から二足歩行ロボットを研究していた遠藤さん。そんな中、高校時代の後輩が骨肉腫になったことから、自分の研究してきたものが活かせるのではないかと義足に興味を持つようになったと言います。
こういった背景がある遠藤さんは、ある学会でマサチューセッツ工科大学の先生と出会いロボットの義足を作っていることを知り「MITに入りたい」とわずか3か月の準備期間で、アプリケーションを通過し、渡米してロボットの義足の研究をスタートさせます。
MITの博士課程修了後、就職先を探していた遠藤さん。
ロボット義足
競技用義足
途上国向けの安価な義足
この3つをやれる所を探していた所、ソニーコンピュータサイエンス研究所の北野社長に声をかけてもらい、日本に帰国。義足エンジニアとしての本格的に歩み出したそうです。
株式会社Xiborg
遠藤さんは、ソニーコンピュータサイエンス研究所に籍を置きながら、株式会社Xiborgの代表取締役社長としての顔も持ちます。Xiborgは、元陸上選手の為末大さんと株式会社RDSの杉原行里さんと3人で立ち上げたという会社。
義足のアスリートがどんどんタイムを伸ばしていく中で、健常者を超える義足のアスリートを自分たちで手掛けたいという“やりたい事をやれる箱”を実践する場として、起業したと言います。
Xiborgの現在のメインとなる事業は、アスリートの脚を速くすること。日々のトレーニングを見ながら、それに対して適切な義足をチューニングしたり、効果的な使い方のレクチャーなどが中心のようです。
競技用義足の現状
Xiborgで主に手掛けているパラ陸上短距離のT64クラスで使われている義足は、ほぼある1社の独占状態だと言います。同じモデルの義足をアスリートが自身の体重に応じて、硬さを選んで使っているというのが、競技用義足の現状。
この状態について遠藤さんは「本当は1人1人にもっとフィットする義足があるのに、みんな我慢して使っているじゃないか」と考えているようで、もっとアスリートが自分の走りに合った製品を選択できるようになることで、さらなるパフォーマンスアップに繋がるはずだと言います。
そんな想いの中で競技用義足を手掛けている遠藤さん。ロジカルな部分とフィーリングの部分を連動させることで、より選手にマッチした義足なるのではないかと試行錯誤を繰り返しているようです。どれだけ数値が理にかなっていても、選手の感覚とズレがあれば、その原因を探り微妙な調節を繰り返して、数値としても選手の感覚としても良い義足になるようにチューンアップし続けているということでした。
つい買ってしまうモノ
番組でいつもゲストの方に伺っているモノ選びに関する質問。遠藤さんは無類の文房具好きで、特にボールペンに目がないのだとか。ボールペン売り場で、試し書きをして書き心地が良いものをついつい買ってしまうと言います。
そんな遠藤さんですが、安定して気に入っているというのは、ぺんてるのエナージェル。なんだかんだ言いながら、そこに落ち着くという遠藤さんでした。
といった所で、今回の文化百貨店も閉店です。来週も遠藤さんに、競技用義足を中心にお話しを伺っていきます。
今週の選曲
遠藤謙さんのリクエスト
世界が終わるまでは… / WANDS
山崎晴太郎セレクト
Rise / Igor Khabarov