2018.10.07
遠藤 謙 vol.2
Xiborgでの開発作業
遠藤さんが代表を務めるXiborgのポリシーはExtreme human centered engineering。ユーザーが使いやすいモノをつくる“ユーザー中心”でありながら、極限の戦いをするアスリート仕様のモノを作ることで、その技術やノウハウを一般ユーザーに還元していくようなやり方だと言います。
その拠点となっているのが、新豊洲Brilliaランニングスタジアム内にあるXiborgのラボ。通常は、競技場とラボが離れているので、不測の事態が起きた時に効率が悪くなることがあったようですが、トラックとラボが併設していることで、効果的な施設になったのだとか。
ラボのオープンから2年ほどが経ちますが、「しょっちゅうではないけど、面白い案件が来る」(遠藤さん)ということなので、面白いアイテムがXiborgラボから誕生してくるかもしれません。
Xiborgのラボがある新豊洲Brilliaランニングスタジアムは、どなたでも利用可能なので、興味のある方はウェア持参で訪れてみてください。
http://running-stadium.tokyo/
Xiborgのメンバー
遠藤さん、元陸上選手の為末大さん、株式会社RDSの杉原行里さんで立ち上げたXiborgは現在、エンジニア2名・コーチ1名・その他1名という4人プラス学生のアルバイトで製品を生み出しているそうです。
「手を動かす人が一番偉い」と考えているという遠藤さん。東京工業大学のロボット技術研究会というサークルの技術力に感銘を受け、彼らと一緒にシゴトがしたいとサークルに声をかけ興味を持った学生がXiborgを手伝ってくれていると言います。
そんなメンバーで生み出した競技用義足を国内外のアスリートが使用。「義足のアスリートが100mで健常者を上回る」ことを目標に日々、開発を続けているようです。
競技用義足の現在地
パラアスリートの競技能力と向上と、義足の性能のアップによって、健常者との差がどんどん縮まっていると報道されることもありますが、「実際は、まだまだ勝てていない部分も多い」と遠藤さんは話します。
Xiborgがメインで取り組んでいる陸上男子100mだと、世界記録の差は約1秒。リオのパラリンピックでオリンピックのメダルラインに届いた男子走り幅跳びでも世界記録とは50cmほどの差があるというのが現状です。
そんな中で、より良い義足を開発していくのですが現在は、
・動力の使用禁止
・電気やセンサーの使用禁止
・脚の長さと同じにする
といった部分をクリアできれば、細かい仕様についてのルールはないようです。そのルールの中で1つの完成形が、現在の板バネ式の競技用義足ということでした。
パラリンピックがもたらすもの
2020年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されうことで、障がいのある人と社会の距離が縮まっていると感じる一方で、広がりも感じるというのが遠藤さんが肌で感じている意識なのだとか。
メディアでパラアスリートの露出が増えて身近に感じてもらえるようになればなるほど、その他の障がいのある人との乖離が出てくると感じているようです。パラアスリートが身近になればなるほど、例えば“義足である事を隠したい人”のような一般的な障がいのある人と社会の距離は離れていくような気がすると話してくださいました。
文化百貨店で扱いたいモノ
番組恒例の“文化を扱う架空の百貨店でバイヤーになったら?”という質問にもお答えいただきました。
福祉機器は「身体能力を変えることで、何かができるようにすること」だと思っているという遠藤さん。人間のカラダの動きを変えることができる経験を販売するスペースにしたいと言います。
義足や車いすだけでなく、足が速くなりたい人にはぴったりな靴やトレーニングを提供しり、歩くのが難しくなってきた高齢者には歩行を手助けするモノを提供したり、何かができるようになる体験ができるスペースにしたいという遠藤さんでした。
といった所で今回の文化百貨店も閉店となりました。次回は、株式会社ジーンクエストの高橋祥子さんをお迎えして遺伝子の世界についてお伺いします。
今週の選曲
遠藤さんのリクエスト
涙 / ケツメイシ
山崎晴太郎セレクト
Winter Morning / Woodkid, Nils Frahm