2018.10.14
高橋 祥子 vol.1
生命科学を学ぶ
ご親族に医師が多かったことから、医療分野に興味があったという高橋さん。病気やケガになった人を治療するよりも、原因や予防の方に強く惹かれて、生命科学の分野へ道を歩み出そうと決意。その中でも根本となる遺伝子について幅広く研究ができるということで、農学部へ進学されます。
そして、自身が行ってきた生命科学の研究を通して、ヒトや社会が抱える問題の解決に繋げたいとの思いから、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程在学中にジーンクエストを起業。現在に至ります。
DNAの配列は99.9%同じで、その中の0.1%によって個性や体質の違いが出てくるようです。違いを調べることで、例えばお酒が飲めるか飲めないかという事がわかり、そこによって食道がんのリスクもわかってくると高橋さんは言います。
ジーンクエストの事業
大学院在籍時に高橋さんが立ち上げたジーンクエストは、遺伝子(gene)と探求する(quest)を組み合わせた造語。まだ判明していない事も多い遺伝子の研究自体を推進していくという思いが込められた社名だと言います。
インターネットで注文すると送られてくるキットを用いて、唾液を採取して返送。約1か月で、自分の遺伝子に関する情報がインターネット上のマイページで確認できるというのが、ジーンクエストが行っている個人向けのサービスです。
ジェネラルなキットでは現在、300以上の項目に関する情報が確認できるそうですが、常にアップデートを行っているとのこと。一度、登録をすれば新しい項目についての情報も見ることができると言います。
他に、アルコールに関する遺伝子チェックや、尿内の成分から塩分採取量や酸化ストレスの度合いをチェックできるサービスも提供中。
病気や体質は、「遺伝要因と環境要因の両方からの影響がある」と高橋さん。自分自身が、どういった部分にストレスが現れやすかったり、どういった病気になりやすいかという事が気になる方は、ぜひ一度、お試しください。
遺伝子についての理解を広める
2003年にヒトゲノムが解読され、遺伝子研究が本格的になったため、それ以前の教科書には掲載されておらず、まだまだ日本できちんと理解している人は少ないと高橋さんは感じている様子です。
遺伝子の研究を推進して、正しい使い方を広めていくことで、ヒトや社会が抱えている問題の解決に繋げていきたいというのが高橋さんの目標。例えば、医師の経験値だけに頼っている診察に科学的なアプローチを持ち込み、症状や治療の状態を可視化することが出来ればと話してくださいました。
ついコレクションしてしまうモノ
番組恒例の「つい買ってしまうモノ」という質問でしたが、高橋さんはモノへのこだわりがほとんどないご様子。その代わりと言っては何ですが、体験への投資に興味があるようです。
最近だと、表参道のお茶屋さんで体験したお茶のコースが最高の体験だった言います。1杯ごとに丁寧に淹れてくれるお茶の香りや味の違いを愉しみ、たっぷりインスピレーションを受けたのだとか。そういった体験が、研究者・経営者として活動している高橋さんに、刺激を与えてくれているようです。
といった所で、今回の文化百貨店も閉店となりました。次回も高橋さんに遺伝子の世界について、色々と伺っていきます。
今週の選曲
高橋祥子さんのリクエスト
人生は夢だらけ / 椎名林檎
山崎晴太郎セレクト
Resistance / Brandon Coleman