2018.10.21
高橋祥子 vol.2
遺伝子から見えてくるもの
遺伝子の配列は一生変わらないと言われていると高橋さん。アルコールへの耐性は遺伝子用意が大きいので、お酒に強くなっても遺伝子が変わったわけではないのだとか。アルコールを分解する酵素の働きがよくなったりして、アルコールへの耐性が上がっているだけで、潜在的な弱さは変わっていないので、徐々に強くなった人は飲み過ぎないように気をつけた方が良いようです。
また、遺伝子から見える面白い特徴に“睡眠”があると高橋さんは言います。全員が朝型が良いというわけではなくて、夜型タイプの人も存在しているそうです。
ストレス耐性についても遺伝の影響もあるそうなのですが、こういった多様性がヒトが種として繁栄してきた要因だと高橋さんは考えているようです。
・楽観的なヒトばかりでもだめ
・同じ時間に全員が眠っていたら危険
補完し合いながら繁栄してきた種の歴史が、遺伝子には詰まっているようです。
遺伝子研究のリスク
遺伝子についての研究がどんどん進んでいる一方で、まだまだ一般の人が遺伝子について理解できていないという現状もあります。実際に他の新しいテクノロジーと同じく、メリットだけではなく新しいリスクもあると高橋さんは感じているようです。とは言え、ヒトゲノムの解読が2003年に終わっているので、すでに懸念事項は出尽くしているとも言います。
・遺伝子情報の管理
・遺伝子による差別
・遺伝子情報を本人が知った時のメンタルケア
この3つが、遺伝子が広がっていった時の大きなリスクとなる部分のようです。こういった部分について、遺伝子に馴染みのない人が普段から少しずつ会話をすることで可能性とリスクの両方を理解できるのではないかと高橋さんは考えている様子でした。
遺伝子から見えてくること
近い将来ではありませんが、遺伝子についての研究が進んでいくと「全部の病気に勝てる可能性がある」のだとか。さらに、遺伝子を見るだけで大まかな人種のような部分まで見えてくると言います。
そんな遺伝子を毎日見続けて、研究している高橋さんが、気づいたことは「多様性のあり方」。1つとして同じモノがない遺伝子ですが、ほとんどの部分は同じなのに一部の場所がそれぞれ違っていると言います。この違っている部分がある事が多様性となり、多様性を保つことによってヒトは種として繁栄してきたと高橋さん。
まったく違うモノが存在しているのではなく、同じモノを持っている中で部分部分が違うことが“多様性の本質”という所に、遺伝子を見ていて気づいたという高橋さんでした。
文化百貨店で扱いたいモノ
番組恒例、“文化を扱う架空の百貨店でバイヤーになったら?”という質問にも「遺伝子を扱いたい」と高橋さん。こういう遺伝子を持っている人なら、どんな人生になるのかというモデルを展示するようなスペースを作りたいと話してくださいました。
2週に渡って高橋さんに遺伝子について教えていただいた文化百貨店もこの辺りで閉店。次回は雑誌『CREA』編集長の有馬大地さんをお迎えしてお送りします。
今週の選曲
高橋祥子さんのリクエスト
ありあまる富 / 椎名林檎
山崎晴太郎セレクト
aqua / 坂本龍一