2019.01.13
杉原 行里 vol.2
株式会社RDSとは
元々はお父様が立ち上げ、お母さまが代表を務めた後、杉原さんが継いだ株式会社RDSは、ものづくり全般を自社で完結するという会社。デザイン、設計、解析、風洞実験、クレイモデル、カーボンファイバー、3Dプリンター、軸加工、塗装など、その範囲は多岐にわたります。
モータースポーツや宇宙工学、ロボットといった分野の先行開発に携わることが多く、なかなか外に依頼を出せないことから、自社ですべてを賄うような体制になっていったと言います。
ものづくりの分野では、これまでは自社で完結するという企業は少なかったようですが、3Dプリンターの普及で設備投資を抑えられるようになったことで、RDSのように様々な工程を引き受けることができる企業が増えて行っているようです。
境界線を消すモビリティWF01
様々なプロジェクトに参画しているRDSであり杉原さんですが、現在、最も楽しんでいるのがWF01というモビリティのプロジェクトだと言います。
Wはウィルチェアー(車いす)、Fはフォーミュラという意味で、個人所有を目的としたモビリティ。一般的な車いすは、“車いすを使わざるをえない人”のためのプロダクトですが、WF01は、車いすが必要な人だけではなく、普段は必要ない人も楽しめるモビリティなのだとか。車いすが普段の生活の中で必要か否かを問わず利用できるプロダクトにすることで、境界線が見えなくなるモビリティを目指しているとのこと。
また、個人所有を目的としているので、カスタマイズができるのも特徴。他の人とは違う、自分だけのモビリティに出来るそうです。
新時代のモビリティ、WF01についてはこちらをご覧ください。
http://hero-x.jp/article/5833/
東京2020に向けたプロジェクト
先ほどご紹介したWF01は、RDSがプロジェクトリーディングしているパラリンピアンのギア開発で培った技術が反映されていると言います。
対象となっているパラリンピアンの名前は伊藤智也選手。北京パラリンピックで金メダルを取った車いすレーサーで御年55歳。ロンドンパラの後に現役を退いていましたが、東京で開催されるとあって現役復帰。57歳で迎える東京パラリンピックで再び金メダル獲得を目指しています。
スポーツ選手にとって55歳という年齢は、かなり高齢に思えますが「現在のパラリンピックは身体とギアの融合だと思う」と杉原さん。選手が最大限のパフォーマンスを発揮できるギアがあれば年齢の影響を最小限に抑えられるのだとか。
世界トップレベルの技術を誇る伊藤選手の、ギアを開発し母国開催のパラリンピックでの金メダル獲得をサポートするのもRDSのミッションの1つだと話してくださいました。
東京2020とは?
東京2020は、2025年に迎える超高齢化社会に向けた技術の見本市のような側面もあると感じている様子の杉原さん。F1で開発された技術がインフラに用いられているように、パラリンピックで披露された技術が、実社会に活用されていくのを想像してみるのも面白いのではないかと言います。
また、東京2020はホスト国として、海外から見た日本を意識すべきだとも感じているご様子。日本のテクノロジーのすごさや、街の清潔感、日本人の人柄を可視化して、海外に発信するチャンスなので、改めて「おもてなし」という言葉がキーワードになるのではないかという事でした。
この辺りは、8年に渡ってイギリス留学をされていた方ならではの国際的な感覚かもしれませんね。
文化百貨店で扱いたいモノ
番組恒例の“文化を扱う架空の百貨店でバイヤーとして一角を与えられたら?”という質問に対して、杉原さんのお答えは「ペン」。
白い紙に何かを書き始める時のワクワク感が大好きだという杉原さん。自分のアイデアや未来を拡張してくれるペンを扱う一角をやってみたいとのことでした。
といった所で今回の文化百貨店は閉店となります。次回は、ジャーナリストの丸山ゴンザレスさんをお迎えしてお送りします。
今週の選曲
杉原さんのリクエスト
Just Friends(Sunny) / Musiq
山崎晴太郎セレクト
Some / Nils Frahm