2019.01.20
丸山 ゴンザレス vol.1
旅への目覚め
ゴンザレスさんと言えば、世界各地の危険地帯や裏社会への“冒険”とも言うべき取材のイメージがありますが、幼い頃から冒険心溢れる子供だったようです。高校1年の頃から、青春18きっぷで国内を旅するようになると、大学生の頃には海外へ飛び出すようになります。
猿岩石のヒッチハイク旅ブームが巻き起こっていたという時代に、初めてアジアを訪れることにした若き日のゴンザレスさん。1泊150円のドミトリーで、同じようにアジア旅に来ていた人たちから、色んな情報を仕入れ、その場所に行くということを繰り返し、2か月ほども滞在していたと言います。
『インディー・ジョーンズ』や『MASTERキートン』からの影響もあって考古学の研究者への道を志し、真面目に学んでいたというゴンザレスさんですが、自分の中の冒険心に嘘が着けなくなり、博士課程前期を修了した段階で、学問を修了。丸山ゴンザレスに至るまでの雌伏の時代がやってきます。
出版業界にたどり着くまで
博士課程前期を修了していたものの、就職氷河期の真っ只中。見かねた先生の紹介で肉体労働に勤しんでいたゴンザレスさん。当時の就職先のすぐ近くにあった出版社に、大学時代の友人が務めていたことから、お酒を酌み交わすようになります。
酒場で学生時代のアジア放浪旅の話をしていて、その場所にやってきた編集長の「面白いから、書けば?」というリップサービスを鵜吞みにして書き上げたのが最初の著書となる『アジア『罰当たり』旅行』。文字の組み方なども自己流で勉強して書き上げ、出版業界との接点を持つようになります。
そのデビュー作が発売になる頃、勤めていた会社が倒産。これを機に一念発起して、出版業界に転職を果たしたゴンザレスさん。自身が書いていた時に生みの苦しみを味わったと同時に編集者という職種を知り「書くより書かせる方が楽じゃん」と編集者への転身を図ったのだとか。
編集者となったゴンザレスさんが手がけていたというのは、現在の姿からは想像もつかないビジネス書や日本語の本。これは、自らに欠けていると感じていたビジネスの部分と本を書いた事で感じた日本語の難しさを働きながら学べると考え、意図的にそういった本を出している出版社を狙ったのだそうです。
近著『GONZALES IN NEW YORK』
そんな流れで出版業界に身を置くようになったゴンザレスさんの最新の著書が『GONZALES IN NEW YORK』。日本人が立っていても埋もれてしまうニューヨークという街に自分が行っていたという記録を付けたいという思いから書き上げた1冊だと言います。
今、なぜニューヨークなのか?ちょっと疑問に思うかもしれませんが、それには世界中を旅しているゴンザレスさんならではの出来事が起因しているそうです。アジアの各国などでは、さらっと渡航の準備が終わるようですが、ニューヨークに行く際には準備の量が多くなるのだとか。
取材で街を訪れるだけにも関わらず、明文化されていないドレスコードを気にしてきちんとした服装を用意したり、物価の高さを意識して生活費の準備をしたり、世界の中でも“身構えて”訪れる最高峰の街がニューヨークだと感じているそうです。
そんな思いから書き上げた『GONZALES IN NEW YORK』は、ゴンザレスさんが見かけたニューヨークのよもやま話を集めたもの。これからニューヨークに行く人が想像を膨らませるのにも、ニューヨークを知っている人が記憶を呼び起こす助けにもなるようにしたと言います。ニューヨークの現在がわかる一冊になっているようなので、気になる方はぜひご覧ください。
http://www.eastpress.co.jp/jn/detail/?id=kgo7924288818
ついコレクションしてしまうモノ
保管スペースの問題から、色々なコレクションを諦めたというゴンザレスさんがずっと集めているモノが“ギザ十”。考古学者を目指していたゴンザレスさんらしさを感じさせるアイテムですが、バックボーンやサイドストーリーが生まれやすいモノがお好きということでした。
といった所で今週の文化百貨店は閉店となります。次回は、ゴンザレスさんの代名詞とも言える世界の危険地帯での取材についてお伺いしていきます。
今週の選曲
ゴンザレスさんのリクエスト
ベッドサイドミュージック / フレンズ
山崎晴太郎セレクト
Pines / Jamison Isaak