2019.02.03
加藤 訓子 vol.1
パーカッションとの出会い
お姉さんの影響で2~3歳の頃からピアノを習っていたという加藤さん。真面目に取り組んでいたものの、手が小さいため弾けない曲があるなど悩んでいたそうです。そんな思いを抱えていた中学生の時に出会ったのがマリンバ。手が小さくても全身を駆使すれば音色を奏でられるマリンバに、すぐに魅了されたようです。
すぐにマリンバを習い始めた加藤さん。その先生が世界的なマリンバ奏者の安倍圭子さんの教え子だったということから自然と音大に進学し、加藤さん自身も安倍さんの指導を受けるという流れになったと言います。
巨匠の作品をアレンジするということ
音大の研究科に籍を残しながらヨーロッパに渡り、色々なプレーヤーや音楽家から刺激を受けながら研鑽していった加藤さん。近年では、巨匠と呼ばれる人たちの作品をアレンジし、加藤訓子流に発信しています。
なかなか思う通りにいく事は少ないそうですが、演奏中に時折「一筋の光が見えて、音が解き放たれる」感覚に陥ることがあるようです。そういった瞬間に、作品に出会えた喜びを感じるのだとか。
演奏する楽曲は、基本的に自分の好きで選んでいる加藤さん。やりたいもの、好きなもの、自分を活かせるものが今の加藤さんが演奏している楽曲なのだとか。次に演奏するものが決まっている状態ではないようですが、1つを突き詰めてやっていると、その次にやるべき事が出てくるようで、1つ1つを積み上げて現在に至っているそうです。
次に演奏する楽曲を思いつくキャパシティを広げながら、日々、表現と技術を磨いているというご様子です。
加藤訓子のプレイスタイル
誰かに憧れたという事が全くないという加藤さんですが、海外の方からは「日本らしい」という事を言われることもあるようです。欧米の人にはない、瞬発力や集中力が発揮されているようで「どうやって訓練するんだ?」という風に聞かれることもあるのだとか。また、リズムの取り方も独特のようで、無国籍でジャンルレスな雰囲気もあると言われるようです。
そんな加藤さんは35歳を過ぎたあたりから、音楽と身体性の関係に気づき始めたと言います。若い頃はガムシャラに叩いていたようですが、繊細な動で音を奏でるには自分のカラダの芯の部分が重要であることや、微細に動かすにはカラダ全体が重要であると感じているそうです。
そういった事から、カラダを見直した結果、若い頃に比べて疲れ方がマシになり、演奏の幅も広がってきたと話してくださいました。
ついコレクションしてしまうもの
現在は、モノに対する執着心がなくなってきたという加藤さんですが、以前は世界の行く先々で打楽器を買っていたそうです。「飾っておくだけでは楽器がかわいそう」との理由で、最近はあまり購入されていないようですが、世界中に面白い打楽器があると言います。
おもちゃみたいなモノや竹や木のモノは、どの国にもあるそうですが、太鼓は国によって違っていて面白いのだとか。特にブラジルは、色々あるようで、かなりの量を買ってしまったということでした。
同じようで違うというのは、文化を見比べてみるのに良いアイテムかもしれません。
ライブ情報
2月15日にかなっくホールで、加藤さんの『ドラミング』というライブが行われます。山崎が拝見したサントリーホールをはじめ、世界中で行われた公演が横浜にやってきます。チケットは各プレイガイドで発売中ですが、TPAM会員の方にはライブ当日に行われるゲネプロを観られる特典もあるそうです。
詳しくは、こちらのサイトからご確認ください。
https://www.tpam.or.jp/program/2019/?program=drumming-solo
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週は加藤訓子さんに、現代音楽の巨匠、スティーブ・ライヒの話などをたっぷり伺います。
今週の選曲
加藤訓子さんのセレクト
Electric Counterpoint (performanced by Pat Metheny)
Electric Counterpoint (performanced by Kuniko Kato)
コーティングしていない細工をしたドラム缶を集めてライブパフォーマンスを披露するスチールドラムWORKSというのに夢中になっていた時に、演奏してみたいと思い作曲家のスティーブ・ライヒの連絡をして実現した作品。
第1楽章がスチールパン、第2楽章がビブラフォン、第3楽章がマリンバと打楽器が移り変わっていく作品。