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2019.02.10

加藤 訓子 vol.2

バッハを演奏する
加藤さんが2017年にリリースされたのが『BACH』。バイオリンやピアノなどのクラシック奏者が「いつかはバッハを!」という大作曲家ですが、加藤さんご自身はパーカッショニストということもあって、そこまで思い入れがなかったのだとか。バッハを演奏することになったのは、場所との出会いがきっかけだと言います。
この前の作品の縁でエストニアのヤンニ教会で演奏する機会があった加藤さん。一般的な教会と違い、サイドがレンガ造りで木製の平らな天井というヤンニ教会は「もの凄く、幸せな響き」がしたそうです。
その熱い思いを、すぐに関係者に伝え、レコーディングを確約。準備期間中に、どんな曲を演奏しようかと考えている時に「バッハしかない」との思いを抱き、それまでレパートリーにはなかったバッハを演奏することを決めたのだそうです。

幸せな響きが詰まったこの作品は、こちらからチェックをしてみてください。
https://www.linnrecords.com/recording-js-bach-solo-works-marimba

ダンスとのコラボレーション
昨年の2月には、『dope』という作品でダンサーの平山素子さんとコラボレーションを果たした加藤さん。この作品は、愛知芸術文化センターのコラボレーション事業の一環で実現したと言います。
普段行っているミュージシャンとのコラボとは様子が違いますが、パーカッションを演奏するには加藤さん自身のカラダ全体を動かしているので、ダンサーとも違和感がなく自然と絡み合う感じで演奏されたのだとか。
この公演では、ドーピングから取られた『dope』というタイトルだけが始めに決まっており、それに合わせて選曲をする中で加藤さんが選んだのが巨匠スティーブ・ライヒの『Druming』という大作。世界中のパーカッショニストにとって、必ず通ると言われている現代音楽のスタンダード。元々は、12人のパーカッショニストのアンサンブルですが、加藤さん1人の演奏で再現されました。

この『dope』の公演で演奏された楽曲を音源化したのが加藤さんの最新作『Druming』。この作品を再現するライブが2月15日に、かなっくホールで行われます。このライブは、Counterpoint方式で演奏され、加藤さんの演奏で録音された11パートと当日の加藤さんの生演奏が絡み合うというもの。気になる方は、こちらのサイトから公演情報をご確認ください。

https://www.tpam.or.jp/program/2019/?program=drumming-solo

現代音楽の巨匠スティーブ・ライヒ
先ほどご紹介をした『Druming』を手掛けた、スティーブ・ライヒ。クラシックや現代音楽家だけではなく、ロックやポップス、テクノなどあらゆるジャンルに影響を与えている大家ですが、加藤さんによると巨匠とは思えないほどに気さくな人なのだとか。御年80歳を過ぎた現在でもデニムにキャップという姿で精力的に活動をされていると言います。
しかし、普段は気さくなライヒさんですが、ご自身の作品へのこだわりは凄まじいものがあるようです。公演前のサウンドチェックでは、ミキサーのフェーダーに細かく注文をつけるようですが、そのままでは埒が明かないことも。。。そんな時には、実際に音響を整えているエンジニアさんのミキサーの横に、何も繋がっていないライヒさん用のミキサーを置いてお茶を濁すようなこともあったそうです。
レコーディングについても同様で、加藤さんがデモ音源を送った際には、「この小節のあの音が聞こえない」など、事細かいアドバイスを返信してきたといいます。
かなり細かいオーダーがあるとのことですが、そこをクリアしないと舞台も音源も仕上がらないので、ライヒさんの作品に携わるには覚悟とエネルギーが必要だと話してくださいました。
とは言え、唯一無二のライヒさんの作品を演奏するのは他では味わえない感覚になるようで、「曼荼羅や万華鏡の中に自分が住んでいて、360°の大きな空に包まれている。そこがいつの間にか色が変わっていって、音が常に充満していて気持ちがいい」と加藤さん。ライヒさんの世界を演奏家として体感すると、その懐の大きさの虜になるようです。

文化百貨店で扱いたいもの
番組恒例の最後の質問。“文化を扱う架空の百貨店でバイヤーだったら?”という問いに対して、加藤さんの答えは「現実的に、できるかわからないけど、音の標本」。声や鼓動といった自分自身の持っている音や、コミュニケーションツールとしての音、天と通じる手段として考えられた音など、不思議な世界観を持ちながらも人間が存在している以上なくなる事がない“音”を集めて展示してみたいと話してくださいました。

といった所で、今回の文化百貨店は閉店となります。次回は、『月刊 商店建築』編集長の塩田健一さんをお迎えしてお送りします。

今週の選曲
加藤訓子さんのリクエスト
Druming / 加藤訓子

山崎晴太郎セレクト
Stille / System

パーカッショニスト

加藤訓子

愛知県豊橋市出身のパーカッショニスト。時習館高等学校を経て、桐朋学園大学研究科修了後に渡欧。
蘭・ロッテルダム音楽院を首席で卒業。サイトウキネンオーケストラ、アンサンブル・イクトゥスなどへ参加後、
ソロ活動を開始。2011年にスティーヴ・ライヒの代表作を打楽器へ編曲したソロ作『kuniko plays reich』が話題を呼び、サントリー芸術財団より第十二回佐治敬三賞を受賞。2013年の『カントゥス』がMPCJ音楽賞最優秀録音賞を受賞。若手プロ育成を目的に
アーティストインキュベーション・プロジェクトinc.を始動させる。2018年にダンスプロジェクト“DOPE”を始動。
同年に『ドラミング』を発表。第73回文化庁芸術祭優秀賞他受賞歴多数。英国スコットランドの高音質で知られる世界的レーベル「LINN」からCDを出す唯一の日本人アーティスト。パール楽器・アダムス社(蘭)グローバルエンドーサー。

愛知県豊橋市出身のパーカッショニスト。時習館高等学校を経て、桐朋学園大学研究科修了後に渡欧。
蘭・ロッテルダム音楽院を首席で卒業。サイトウキネンオーケストラ、アンサンブル・イクトゥスなどへ参加後、
ソロ活動を開始。2011年にスティーヴ・ライヒの代表作を打楽器へ編曲したソロ作『kuniko plays reich』が話題を呼び、サントリー芸術財団より第十二回佐治敬三賞を受賞。2013年の『カントゥス』がMPCJ音楽賞最優秀録音賞を受賞。若手プロ育成を目的に
アーティストインキュベーション・プロジェクトinc.を始動させる。2018年にダンスプロジェクト“DOPE”を始動。
同年に『ドラミング』を発表。第73回文化庁芸術祭優秀賞他受賞歴多数。英国スコットランドの高音質で知られる世界的レーベル「LINN」からCDを出す唯一の日本人アーティスト。パール楽器・アダムス社(蘭)グローバルエンドーサー。

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3月27日の文化百貨店のゲストは先週に引き続き、俳人・俳句雑誌『鷹』編集長の高柳克弘さん。今回は、近著『究極の俳句』と高柳さんご自身の俳句感について伺います。また、5年間に渡る文化百貨店を通じて、MCの山崎晴太郎が感じてきた事についてもお話します。

2022.03.20 高柳 克弘 vol.1

3月20日の文化百貨店にお越しくださったのは、俳人・俳句雑誌『鷹』編集長の高柳克弘さん。番組MCの山崎晴太郎が、かねてから興味を持っていた俳句の世界について、2週に渡って伺います。

2022.03.13 まつゆう* vol.2

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2022.02.27 こくぼ ひろし vol.2

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2022.02.13 シマダ カツヨシ vol.2

2月13日の文化百貨店のゲストは、先週に引き続き、アクセサリー主治医・鍛造作家・コンセプトデザイナーとして活動されているシマダカツヨシさん。今週は、シマダさんがどんな変遷を経て、現在のような考え方にたどり着いたのかをお聞きします。

2022.02.06 シマダ カツヨシ vol.1

2月6日の文化百貨店のゲストは、アクセサリー主治医・鍛造作家・コンセプトデザイナーという立場から、装身具のサイズ感による悩みを解消するための活動などをされているシマダカツヨシさん。今週は、その活動について伺っていきます。

2022.01.30 大島 新 vol.2

1月最後の放送となった30日の文化百貨店。ゲストは、先週に引き続きドキュメンタリー監督の大島新さん。今週は、ドキュメンタリーのつくり方からお聞きしていきます。

©seitaro design,inc.

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