2019.03.10
山口 壮大 vol.2
日本を表現する
「自分の人生だからこそ出来る表現をちゃんと残したい」と語る山口さん。“日本”という部分が大きなテーマとなっていると言います。
洋服と和服、どちらにも深く関わっている山口さんには「洋服は肉で着る、和服は骨で支える」という感覚があるのだとか。肩と腰で支えるからこそ、カラダと布の間に空間が生まれ、そこの見え方までを設計するのが日本のファッションの考え方だと感じているそうです。この感覚をファッションに持ち込んで、海外で表現すると面白いのではと考えてるのだとか。
SILKからCILKへ
そんな山口さんが現在携わっているのが、シルク=絹に関するプロジェクト。明治時代に日本の輸出を支えていたのが絹織物。新潟の上の方には養蚕農家が多く、下っていくにつれ織屋が増え、最終的には横浜港から輸出されていたそうで、横浜の名産品のスカーフはその名残だと言います。
かつてはスタンダードだった絹ですが、現在では高価で特別な繊維となってしまっています。そんなスペシャルなSILKを、カジュアルなCILKに変えていこうという動きに山口さんが参画。志を同じくするいくつかの企業と一緒に運営し、今年のSSから販売されます。
International Gallery BEAMS、Super A Marketという感度の高いセレクトショップで取り扱われるということです。現代のシルクに興味のある方は、ぜひ下記のサイトからご覧になってください。
ファッションの概念を変えていきたい
その他には、新海誠さんの展覧会のデザインも手掛けている山口さん。アニメの世界にもファッションが宿るのではないかと考え、身体的な感覚を持ちながら展示をデザインしていったと言います。
“ファッションの概念をどんどん広げていきたい”というのが、山口さんのベースにあるということで、こういった異ジャンルとの結びつきも、その中の1つのようです。
まだ公に出来ないプロジェクトも含めて、「カッコイイ」「美しい」「カワイイ」だけではない、ファッションの次のステージを拓いていきたいと話してくださいました。
注目のブランド
山口さんにご無理を言って、注目されているブランドについても伺いました。収録の直前にアトリエを訪れていたという京都のミタン。5年ほどシーズンを重ねているブランドということですが、モノをほとんど変えずに素材や染め方を変えたりしながら新作を発表しているといいます。
和の要素も取り入れているようで、褞袍なのにキレイで何とも言えない良さが伝わってくるようなアイテムが並んでいるのだとか。そんなブレない姿勢に共感しながら、アトリエ兼自宅から日常や生活の中からの美しさも透けて見えてきて、作り手の真摯さも伝わってきたと言います。
山口さんのミキリハッシンでも次のシーズンから取り扱う予定ということですが、気になる方は、こちらのサイトをご覧ください。
文化百貨店で扱いたいモノ
番組恒例“文化を扱う架空の百貨店で一角を与えられたら?”という質問には、「熱いモノ」と即答。先週の最後の質問“ついコレクションしてしまうモノ”と同じく、作り手のマインドや魂が注入されているモノをきちんと伝えるということをやってみたいという山口さんでした。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週はギタリスト・音楽プロデューサーの田中義人さんをお迎えします。
今週の選曲
山口壮大さんのリクエスト
Tokyo Story / 坂本龍一
山崎晴太郎セレクト
Weightless Memories / Ulrich Schnauss