2019.03.31
勝田 規央 vol.1
中国に渡ったきっかけ
京都の大学院を出た勝田さんは、東京に行きたいアトリエがあり空き採用を待つ生活を送っていたそうです。採用を待ちながら模型制作をしている中で、「若手の建築家がもがいている所で乗り越える姿を見たい」と方針転換。そんな時に、先に中国に渡っていた先輩から声が掛かり、1週間後には中国に居を構えたと言います。
そんな流れで2006年に中国に渡った勝田さん。4年ぐらいで独立したいという考えと、2008年の北京五輪、2010年の上海万博を見届けたいという思いから、4年間の修行と考えていたようですが行ってみると「面白い」と感じ、中国でのお仕事が13年目に突入。2016年にはSTUDIO+0601という事務所を共同設立されています。
北京をベースにした理由
中国にも大都市が多い中、現在は北京に拠点を構えている勝田さん。その理由は、文化的な面が北京には、まだまだ残っているからなのだとか。同じく大都市の上海は、もっとビジネスライクな街のようで、上海に住むのならば東京の方が良いと感じたことも、北京を選んでいる理由のようです。
一昔前の中国の建築というと“空いている場所があるから、取り敢えず建てる”という面が大きかったようですが、ここ数年で“良いモノを作る”という方向に変わってきていると勝田さんは言います。技術力の面では、日本の方が高いようですが、日本で普通に建てられているレベルのようなものを作ろうという意識が強くなっているようです。
中国の就労事情
広い国土と多い人口を持つ中国のお国柄なのか、個人の主張をはっきりと述べ自己プレゼン能力が高いと勝田さんは感じている様子です。日本では頻繁に転職する事を良しとしない風潮がまだまだ残っていますが、中国では2年も同じ企業で勤めていると長いキャリアとして扱われるのだとか。
中国での転職は自分のグレードを上げる要素なため、1年で転職していくことも珍しくないと言います。
今、注目の建築家
金赤を使ったデザインというステレオタイプ的な中国なデザインは、若手を中心に減りつつあると勝田さんは感じているのだとか。日本では“わびさび”に象徴されるミニマリズムに傾注していくようなデザイナーや建築家が多いですが、中国ではミニマリズムよりもダイナミックで力強さが特徴的な人が多いと言います。
そんな中国のシーンで勝田さんが注目しているというのが、OPEN Architectureを主宰する李虎さん。中国各地に面白い建築を次々とつくっている建築家。中国の今の建築事情が気になる方は、ぜひチェックをしてみてください。
OPEN Architecture
http://www.openarch.com/#firstPage
モノ選びの判断基準
番組恒例の“つい買ってしまうモノ”という質問に、「器などの小物」と回答された勝田さん。有田焼をモダンに表現したような伝統的なモノの中に、最新の技術が詰まっているようなアイテムに魅かれるのだそうです。
そういったモノを見かけると、日本・中国問わず、つい手が伸びてしまうという勝田さんでした。
といった所で、今回の文化百貨店は閉店となります。次回も勝田さんに中国の最新事情を中心にお伺いしていきます。
今週の選曲
勝田さんのリクエスト
Revolution 1993 / Jamiroquai
山崎晴太郎セレクト
To Believe /The Cinematic Orchestra、Moses Sumney