2019.06.30
高橋 久美子 vol.1
シゴトへの意識
チャットモンチーのドラマー・作詞家を経て、2012年より作家・作詞家として活動されている高橋さん。依頼が来たら、「とりあえずやってみる」という好奇心やスタンスと、クオリティが相まって、最近では、絵本の翻訳やミュージシャンとの詩の朗読×音楽というセッション、人形浄瑠璃の脚本執筆、ラジオのパーソナリティと本当に多方面で活動されています。
幅広い活動で休む時間も無さそうな高橋さんですが、これまで「シゴトと思った事が1度も無い」のだとか。幼少期にはピアノ、その後は吹奏楽部、軽音楽部と音楽に関わってきたこともあって、ものづくりそのものが好きだからこそ続いていると言います。
作詞する時の思い
原田知世さんや布袋寅泰さん、前川清さんなど様々なアーティストに歌詞を提供している高橋さんですが、アーティスト自身や担当ディレクターの“想定内”を飛び越えたことを書きたいと考えているそうです。
最近手掛けたという私立恵比寿中学の『青い青い星の名前』も、そんな想いが強く込められた1曲。20歳を超えた彼女たちだからこそ、地球環境や世界平和の事を唄っても良いのではないかと思い、書かれた歌詞だと言います。
この曲の完成後にディレクター経由でメンバーが「私たちも変わらなきゃと思った」という言葉を聞いた高橋さん。歌い手本人にきちんと歌詞が刺さるかは、曲の生き死に関わるので、想いを理解してもらえて素直にうれしかったようです。
作業をするシチュエーション
人が寝静まった夜中が作業に集中しやすいという高橋さん。作詞の場合、3日間ほど集中してガーっと入り込むことも少なくないようです。ようやく完成したと思って、シャワーを浴びている最中に、「私が考えていた事はコレや!」とアイデアが閃くこともあるようです。
また、高橋さんはご自身で割と煮詰まるタイプだと思っているようです。そんな時は、電車に乗って、色んな人を観察することで、結びつきを再確認するそうです。
まずは籠って、自分の心臓の音を聞きながら生み出し、その後、人と接点を持つことでカラフルにしていくのが高橋さんの仕上げ方の1つのパターンのようです。
ちなみに作詞の場合も、物語を書いているのでAメロ部分から書いていくという高橋さんですが、苦手なのはタイトルを付けること。仕上がってからタイトルを付けるということですが、「そんなにコンセプチュアルに行くかいな!」と思いながら絞り出しているのだとか。
捨てられない物展
高橋さんのイベント『捨てられない物展』が経堂のギャラリー芝生で6月29日から7月8日まで開催されています。高橋さんの“決断の歴史”の一端を伺うことができる企画なので、ぜひ遊びに行ってみてください。
「捨てられない物展」
https://shiba-fu.com/exh/suterarenaimono/
また、イベントにちなんで書かれたエッセイ『捨てられない物』にもご注目。原稿を書いていく中で、“自分が何を捨てて、何を捨てずに生きてきたかという事が今の自分がここに居る意味なんだろうな”という事が見えてきた、と熱く語ってくださいました。
そんな中、エッセイ集『捨てられない物』は芝生通販より販売が開始されました。イベントに行きたくてもどうしてもご都合がつかない方は、エッセイ集からその片鱗を味わってみては?!
※全国流通はなく、芝生通販でしか取り扱っておりませんので、ご注意ください!
https://shop.shiba-fu.com/products/list?category_id=14
といった所で今週の文化百貨店は閉店となります。来週も高橋さんをお迎えして、ポエムの方の「詩」のお話を中心にお伺いしていきます。
今週紹介したイベント
ヴェネツィア・ビエンナーレ
https://www.labiennale.org/it
*イタリア語サイト。英語表記への切り替え可能
今週の選曲
高橋さんのリクエスト
青い青い星の名前 / 私立恵比寿中学
山崎晴太郎セレクト