2019.07.14
山下 有佳子 vol.1
THE CLUBに関わるまで
アート業界では異色のキャリアを持つ山下さん。大学の法学部を出て、ロンドンのSotheby’s Institute of ArtでArt Business修士課程を修了した後に、サザビーズに就職するという経歴をお持ちです。
大学時代に“アーティストを支援する仕事に就きたい”と思ったものの、日本にはアートとビジネスを体系だてて学べる場所がないと感じて選んだのがSotheby’s Institute of Art。ここでは、“アートスクール×MBA÷2”といった実践的な内容を学んだそうです。
その後、就職する際に、アートに関わるビジネスに就きたいという思いはあるものの、具体的にどの分野を専門にしたいのか模索していたという山下さん。オークション会社なら、現代アートからワインや宝石など至る分野を扱っているので、ここで自分の専門分野とするものを選ぼうと、サザビーズに入ったと言います。
ちなみに、1日で500億円もの売り上げがたつこともあるというオークション会場。閉ざされた空間かと思いきや、割と気軽に観覧が出来るそうです。始まる前には、オークションにかけられるモノが展示されているので、有名絵画を目の前で見ることができるチャンスもあるのだとか。一部の人気オークションは、事前申し込みが必要ということですが、あの世界観を味わってみたい方は、ぜひ見学してみてください。
マネージングディレクターを務めるTHE CLUB
サザビーズを経た山下さんがマネージングディレクターを務めるTHE CLUBは2017年にGINZA SIX6階にオープンしたアートギャラリー。扉があるので、少し入りづらい印象を持たれる方もいるようですが、誰でも訪れることができる場所です。
ただのギャラリーというだけではなく、アートを通じて色んな人が集まるコミュニティをつくりたいという思いで“CLUB”という名前が付いたこの場所では、色々なイベントも行っています。
最近では、イギリス人アーティストの個展がスタートするタイミングに合わせて行われたのが、イングリッシュ・ブレイクファーストを味わうイベント。ギャラリーの内のアートに囲まれながら、シャンパンとイングリッシュ・ブレイクファーストを食べて交流を図るというもの。
このイベントは、お世話になっているお客様を中心にしたものだったようですが、展示だけではなく、ギャラリーに人が集まる仕掛を色々考え、実践していらっしゃるようです。
THE CLUBの伝えたいこと
THE CLUBを運営していくにあたって、「なるべく日本で見る機会が少ないプログラムや作家を紹介する」と山下さんは考えていらっしゃいます。現在、展覧会をしているニコラス・ハットフルは35歳とまだまだキャリアとしては若手になる作家さん。一方で、こういった作家や作品に出会ってもらうために名前の知れたアーティストなどの個展や企画展が必要だとも考えているようです。実際に、今年の3月には大物アーティストであるデイビッド・ホックニーの展覧会を実施。
若手を見てもらうための大物を、大物を見たお客さんに新しいモノを。こういったMIX感を意識しながら、展覧会を組まれていると話してくださいました。
THE CLUBで現在実施中の展示や過去の展示などは、こちらからご覧ください。
http://theclub.tokyo/
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。次回も山下さんに、アートのお話しをたっぷり伺っていきます。
今週紹介したイベント
ジュリアン・オピー展
https://www.operacity.jp/ag/exh223/
今週の選曲
山下さんのリクエスト
Dancing in the Moonlight / Toploader
山崎晴太郎セレクト
Twist / Thom Yorke