2019.07.28
安藤 貴之 vol.1
『Pen』に込めた想い
1996年に創刊された『Pen』。Windows95が発売された直後で、デジタル化が一気に進んでいくというタイミングで誕生しました。そんな時代に発売された雑誌のタイトルが『Pen』という事で、違和感を持たれるかもしれませんが、デジタル化が進むからこそ、ペンで書くような手書きが醸し出すヒューマニズムを大事にしたいというメッセージを込めたタイトルなのだそうです。
そんな想いで創刊された『Pen』が変わらずに持ち続けている特徴が、“タイムリー”かつ“タイムレス”。現在のトレンドや、これから巻き起こるトレンドといった、読者が知りたいタイムリーな情報を扱うと同時に、一過性ではないこれからも生き続けるタイムレスなコンテンツを発信することを意識していると言います。
インターネットやSNSといった、速報性の高いメディアがあるだけに、タイムレスという価値を以前よりも重要視しているのが、現在の『Pen』のようです。
印象に残る特集
20年以上に渡る歴史の中で、様々な特集を組んできた『Pen』。安藤さんにとっても思い出深い特集がいくつかあるようですが、中でも印象に残っているというのが2012年に出したエルサレムの特集号。
その前年にイスラムを特集した号を発売した直後、駐日イスラエル大使館から連絡があり、会うことになります。パレスチナ問題の事が頭をよぎり、緊張していたという安藤さんですが、実際に大使館の人と会うと「このイスラム特集は素晴らしい!」とべた褒めされたのだとか。それをきっかけに大使館の方から「うちの国にも来てみないか?」という事を言われ、実現したのが、エルサレムの特集号だったのだと言います。
センシティブな話題のように思えますが、日本では神道や仏教、ヨーロッパではキリスト教という風に宗教や信仰が文化を創ってきた中心だったので、きちんと捉えなおしたいと考えていたタイミングだったので、色んなモノがうまく噛み合って出来た特集だったようです。
8月1日発売の最新号
8月1日に発売になる『Pen』は“ルイ・ヴィトン特集”。ストリートカルチャーのヒーロー、ヴァージル・アブローと手を組み、一層の注目を浴びるルイ・ヴィトンの神髄に迫ったという1冊になっているようです。
中でも、安藤さんが特に気に入っているというのが、ヴァージル・アブローの独占インタビュー。世界中のメディアが、こぞって取材オファーを出している、ファッション業界で最注目のデザイナーが、ルイ・ヴィトンとどういう事でタッグを組むことになったのかなど、本心を語っているということです。
目印は、ヴァージル自身が登場している表紙。かなり反響が高い1冊になりそうですので、見かけた方は、ぜひすぐにご購入ください。
https://www.pen-online.jp/magazine/pen/479-louisvuitton/
といった所、今週の文化百貨店は閉店となります。次回も安藤編集長をお迎えして、雑誌のつくり方を伺っていきます。
今週の選曲
安藤さんのリクエスト
You Are So Beautiful / Joe Cocker
山崎晴太郎セレクト
they sink (TOKiMONSTA remix) / Olafur Arnalds