2019.08.04
安藤 貴之 vol.2
編集部の構成と特集の決め方
安藤さんを含め、19名が在籍しているという『Pen』の編集部。長く在籍している方から2年目という若手まで、20代~60代の個性的な面々で『Pen』を生み出していると言います。基本的には、オンライン(Web)チームと本誌チームに担当が分かれているそうですが、場面場面で頻繁に役割を入れ替えながら、編集作業をされているそうです。
月刊誌の場合は月に1回、週刊誌の場合は週に1回、企画会議を行うことが多いようですが、隔週発行の『Pen』の場合は意外と少なく、年に3~4回。1つの特集に半年かかったりすることも珍しくないので、早めに決めてじっくりと1本1本を作っていくというスタイルのようです。
ニーズに合った特集を組んでいるのかと思いきや、マーケティングについては、それほど本格的にはやっていないとも言います。自分たちが「面白い」「これを今、出すべきだ」と思う歓声を優先して、特集を決めるのが『Pen』の編集部のようです。
特集の進め方
特集によってやり方は様々とのことですが、2~3名の編集者が1つの特集の担当につく場合が多いようです。決まった特集に対してリサーチをして、ネタを持ち寄って、構成を決めていくというのが、基本的なやり方だと言います。
情報集めの際に重要になるというのが、人。特集するものに対して、詳しい方やセンスのいい人に当たっていくと、その人づてに新しい情報が飛び込んできたりすることも多いのだとか。あとは、違う分野の人による、ちょっと違う切り口を取り上げることで、雑誌や特集への奥行を出しりという効果もあるようです。
安藤さんのスタイルと出来る編集者
創刊時から『Pen』に携わり、現在は編集長を務めている安藤さんは“最初と最後をしっかり見る”という所に強くこだわっているご様子です。特集のテーマをしっかりと決めたら、あとは編集者の力量とセンスに委ねる。あとは、雑誌は発行したら後戻りが出来ないので、校了の部分に全身全霊を傾けるというのが、安藤さんの編集長としてのスタイルだと言います。
テーマをどれだけ面白く出来るかは編集者の力量という安藤さんが感じる、仕事の出来る編集者についても伺ってみました。人を通じて色んなネタを仕入れてくることが出来て、そこからクオリティの高い取捨選択がさらに出来るのが、仕事の出来る編集者の共通点なのだとか。
「真剣に情報を集め、真剣に捨てる」 これが、編集作業のポイントだということでした。
文化百貨店で扱いたいもの
文化を扱う架空の百貨店でバイヤーをするとしたら?という質問に、安藤さんは「ポトフ屋さん」と回答。フランスの伝統的な家庭料理であるポトフですが、数日かけて肉と野菜を煮込むということで、どんどん家庭に登場しなくなっているのだそうです。さらに、家庭料理なのでレストランで振舞われることも少なく、昔ながらの調理法でつくられたポトフは絶滅危惧種なのだとか。
その事を書物から知った安藤さんは、「ポトフは俺が継承する」と使命感を持ったそうです。『Pen』の特集が先か、文化百貨店が出来るのが先か。どちらでポトフを扱うのが先になるでしょうか?
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。また来週8月11日にお待ちしています。
今週の選曲
安藤さんのリクエスト
Cocaine / J.J Cale
山崎晴太郎セレクト
Tuxedo Way / Tuxedo