2019.09.08
橋爪 勇介 vol.1
美術手帖とは
少し版型が小さいのが特徴の雑誌『美術手帖』。1948年に創刊された、老舗美術誌です。そのWeb版として2017年に登場したのが、橋爪さんが副編集長を務めているWeb版『美術手帖』。
同じ『美術手帖』という名前ですが、編集部は分かれていて、それぞれに役割があるそうです。誌面は2か月に1回の発行のため、タイムリーな話題を扱いづらいという側面があるので、時間に左右されない話題を掲載していると言います。一方のWebは、速報性を活かして、今起きていることをどんどんアップしていて、2つの軸で現代アートの情報を発信しているのが『美術手帖』のようです。
Web版『美術手帖』での仕事
発売周期に合わせて校了がやってくる雑誌とは違い、特に校了日がないWebメディアは、「いわば毎日が校了」だと橋爪さんは言います。会社員なので、週末は休むとは言いますが、休みの日でも記事はアップされるようにスタンバイをし、不測の事態があれば、すぐに動けるような体制を整えているようです。
現在、8人ほどの体制で運営しているというWeb版『編集手帳』。その中で副編集長の橋爪さんは、記事の執筆やディレクションだけではなく、“開発”にも携わっていらっしゃいます。Webを取り巻くトレンドに合わせて、UXやUIについて開発チームと打ち合わせ、より使いやすいサイトにすべく、コンテンツ以外の部分にも深く関わっているそうです。
編集者とSNS
SNSから情報を得ることも多いという橋爪さん。オンの時間は、ほぼSNSの画面を開いているそうです。そんなSNSですが編集者個人が、発信していくことがネットメディアとして重要だと考えていると橋爪さんは言います。
Web版『美術手帖』の編集者としてSNSで発信していくことで、個人のファンが付きサイトの信頼性が高まると同時に、見られている意識が高まり責任感も増していくと考えているようです。Web版『美術手帖』の編集部としても、より個々の名前が立って行くような環境していきたいと話してくださいました。
現代美術の本質
『美術手帖』は現代美術に特化した媒体ということで、創刊当時からのDNAはWeb版にも受け継がれています。そんな『美術手帖』の読者でもあった橋爪さんは、今を生きているアーティストが好きだと言います。その理由は、現代美術は社会情勢と密接に繋がっていることにあるようです。
今、何が起こっていて、どんな問題があるのかという事に対応していくジャーナリズムと近い部分で、作品を作り上げていくアーティストに興味があり、そういった作家に注目しているそうです。
と、Web版『美術手帖』のアウトラインを伺った所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週はアートを取り巻く環境などについてお聞きしていきます。
今週の選曲
橋爪さんのリクエスト
GOLD / Delilah Montagu
山崎晴太郎セレクト
Primary Pluck / Clark