2019.11.24
松田 理奈 vol.1
遅咲きのバイオリニスト
松田さんによるとバイオリニストは、天才少女・天才少年が現れやすいと言います。その理由はピアノなどと違って、子供の体型に合わせたスケールの楽器があるので、その時々のベストが出やすいからだと言います。
幼稚園にも通わずに、10時間以上も練習をし続けて成長していくバイオリニストが多い中、松田さんは水泳を始めとしたスポーツやソルフェージュやピアノなど、様々な習い事をしていたので、バイオリンに全てを捧げるようになったのは小学4年生の頃から。周りと比べるとスタートが遅いため自身を「技術の貯金が無い」と分析しているそうです。
バイオリンから離れた時期
スタートは遅かったものの、東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校に入学された松田さん。高校2年の時に、大人に混じって日本音楽コンクールで3位という成績を残します。ご本人としては、納得できる成績だったものの、家族からのプレッシャーなどに耐え兼ね、バイオリンから離れるという決断を選んだそうです。
バイオリンから離れて3か月。先生たちの尽力もあって、学校に復帰してバイオリンを再開したものの、1年ほどは自分の手が思うように動かないという時期だったと言います。
そこから、自身が好きだったというドイツの作曲家の影響から、ニュルンベルク音楽大学へ進み、首席で卒業。バイオリンが生まれ、研究している楽曲を育んだヨーロッパの地で、バイオリニストとしての才能を一気に伸ばしていきます。
演奏する時に意識していること
ソリストとしてステージに立つ機会も多い松田さん。演奏の際には、平面の楽譜を立体的に捉えて表現していくことを意識していると言います。
白黒で書かれている楽譜から、色彩や景色、ステージによっては舞台の配置をイメージ。その日によって変化はあるものの、感じたものをオープンかつ素直にという事を考えて演奏しているそうです。
なるべく心をざわつかせないように過ごして、ステージに備えていると、数年に1度、無心で演奏できる日が出てくるのだとか。そんな時は、ステージに上がって、気づいたら終演の拍手を浴びているのだそうです。
松田理奈バイオリンリサイタル2019
12月17日に東京の紀尾井ホールで、『松田理奈バイオリンリサイタル2019』が開催されます。その内容についても、伺いました。
当日に演奏が予定されているラヴェルの楽曲は、10年前に松田さんが今回も共演するピアニストの清水和音さんと、同じ紀尾井ホールでライブレコーディングした曲。基本的に過去の音源を聞かないという松田さんですが、清水さんとお会いした際に、改めて聞いてみたところ、ポジティブな発見があったようです。
様々な経験から変化が出てきた捉え方や、「こう弾きたい」という想いを、10年経った今、改めて表現をするというプログラムとのことで、公演の後半に用意されています。
その他には、松田さんがライフワークとして演奏されているモーツァルト、30代半ばになった今魅力に気づきだしたブラームスの『ヴァイオリンソナタ』も演奏されます。
クラシックと聞くと少し難しい印象があるかもしれませんが、ラヴェルの曲にはジャズのルーツとも言えるような楽章があったりと、知らない方でも楽しめる選曲になっているようです。
素晴らしい音響のホールと、世界的なピアニスト・清水和音さんの演奏を、人一倍楽しむという松田さんの演奏をぜひ、ライブでお楽しみください。
http://linamatsuda.com/?p=1629
といった所、今週の文化百貨店は閉店となります。来週は、松田さんが現在使用されている楽器のお話しなどを伺っていきます。
今週の選曲
松田理奈さんのリクエスト
Der Schneemann: Serenade (Arr. for Violin and Piano by Erich Wolfgang Korngold) / Daniel Gaede
山﨑晴太郎セレクト
Stumble / Kraak & Smaak, Parcles