2019.12.15
神鳥 明創 vol.1
仏師と仏像の歴史
仏師とは、仏像をつくったり修復したり、仏像に関わる職業の人全般を指す言葉。古来は、仏像づくりの集団がいて、そこの長が“仏師”と呼ばれていたそうですが、時代と共に変化をして、仏像に携わる人を表すようになったのだそうです。
仏像は元々、お釈迦様を模したもので、お釈迦様の死後500年ほど経ってから誕生。その後、中央アジア、中国、朝鮮を経て、飛鳥時代に日本にたどり着きます。伝来したものだったため、中国や朝鮮から職人が移り住み、技術が広まり、日本で独自の仏像と仏師の文化が成り立っていっただと言います。
地域や時代による仏像の違い
仏像には4つのグループがあり、悟りを開いた如来、悟りを開いたものの現世にとどまっている菩薩、密教から派生をした如来の変化した形を言われる明王、守り神である天部に分けられます。
これらの仏像は、日本だけではなく、アジアを中心とした多くの国や地域でつくられているため、地域ごとの特徴があると神鳥さんは言います。例えば、インドなどではヒンズー教の影響があり、その形が残っていたり、吉祥天は中国の女性の着物を纏っているなど、辿って来た歴史によって、独自の進化や解釈が入っているようです。
また、多くの仏像を見てきた神鳥さんによると、施主の抱く願いのようなものが入っていると感じているようで、その時代時代の想いがスパイスとなり、時代や地域の仏像が成り立っていると考えているご様子です。
また、神鳥さんは、仏師は“職人”だとも言います。願いや想いを込めて、仕上げるものの、それによって願いが叶うわけではなく、心の拠り所になる作品をつくるのが、仏師の務めだという思いで彫られているようです。
大仏づくり
仏像の中でも特に大がかりな作業が必要となるのが、鎌倉や奈良にあるような大仏。神鳥さんは、前の師匠である松本明慶さんの下での修行時代に、鎌倉の大弁才天づくりに参加されています。
小さな仏像だと、手に乗せて全体像を把握できますが、大仏の場合はそうはいきません。1/10ぐらいの模型のようなものを作成し、サイズ感を確認し、それをサイズアップさせて本像を作っていくと言います。
その時も、高い所にあるものは小さく見えてしまうので、小さなサイズよりも頭部を大きくしたり調整をしていくそうです。それでも、実際に仕上げに入るとイメージとズレがある場合があるので、さらに掘り直して完成させるのだとか。東大寺にある仁王像も、彫り直して仕上げているそうです。
サイズがある分、大仕事になるようで、神鳥さんが関わった大弁才天は10年の歳月をかけて完成させた代物だということでした。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週も、仏像の世界について、神鳥さんに伺っていきます。
今週の選曲
神鳥明創さんのリクエスト
Respect / RHYMESTER feat.ラッパ我リア
山﨑晴太郎セレクト
Dime Head / Clever Austin