2019.12.22
神鳥 明創 vol.2
仏師に必要な道具
京都の長岡京市に工房を構えている神鳥さん。仏像制作と言うと、ノミでカンカン削っていくイメージですが、大がかりな工具も必要だと言います。“木出し”という木を削りだすところから、作業が始まるので、チェーンソーやバンドソー、プレナーという電気カンナなど、大工さんが使うような道具も備えています。
その後、ノミと木づちを使った“粗彫り”、大まかに形を決める“中彫り(小作り)”を経て、最後に彫刻刀を使って仕上げに入るそうです。彫刻刀は、基本的には学校で使ったようなモノと同じということですが、神鳥さんの工房には数百本ものサイズや形の違う彫刻刀があるのだとか。それを使い分け、仏像を完成させていらっしゃいます。
作業中に考えていること
宗教の色が濃く感じられる仏像のため、制作過程に儀式のようなイメージも付きまといますが「自分は職人」だと神鳥さん。施主さんの想いを感じながらも、あくまでも頭の中のイメージを再現して、よりよく完成させることに注力していると言います。
30年近い修練を経て、培ってきた技術のすべてを注ぎ込んでいるので、仏像の持つ宗教的な意味合いと同時に、美術品としての顔を感じてもらいたいとも話します。
そのためか、有名な仏師さんの作品は、オークションなどでも価値が高く、美術品のマーケットで流通しているそうです。
仕上がりを初めて見たお客さんに、100以上の喜びを感じてもらえる自信の下、仏像づくりに励んでいるようです。
仏像のオーダー方法
仏師さんのお客さんは、お寺だけでなく、仏壇店などの仏像を扱っている所が多いようですが、個人での注文も可能なのだそうです。
個人でオーダーされる方とのやり取りで多いのは、“どんな願いがあるのか?”という事だと言います。ものすごい数の仏様がいるので、その想いに当てはまる仏様がいるのだそうです。
その想いを体現する仏様を提案し、それに表情などのニュアンスをヒアリングして、オーダー仏像の制作に入っていくということでした。
ちなみに、山﨑がオーダーするなら“芸術の道を究めたい”という想いを込めた仏像。それには、伎芸天というぴったりな女性の仏様がいらっしゃるようです。
今後の目標
師匠に「お金を貯めておけ」と言われたことが印象に残っているという神鳥さん。その理由は、独立後、数年は食べていける状態にしておくことで、その間に作品づくりをして自身を研鑽する必要があるからだと言います。
そのため、今は焦らずにゆっくりと色んなモノを作って、多くの人に見てもらうことをしていきたいという神鳥さん。仏像によって、病気が治るわけではないけれど、気持ちや想いの拠り所になっていきたいと話してくださいました。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。次回は、モデル・女優の三戸なつめさんをお迎えします。
今週の選曲
神鳥明創さんのリクエスト
米 / MOROHA
山﨑晴太郎セレクト
cellophane / FKAツイッグス