2020.02.02
田中 杏子 vol.1
ファッションへの目覚め
お父さまはアパレル関係の貿易の仕事、お母さまはアメリカの『VOGUE』を所持されるなので、ファッションと近い環境で育った田中さん。幼い頃から、服装と気分の関係に気づいていたようです。
好きな柄や色、形の服を着ている時は「今日は色んな人に会いたい」と思うのに対して、気に入らない服を着ている時は「今日は誰にも会いたくない…」。そんな想いを5歳までには感じていたという田中さんは、小学生の時にはスカートを自作するようになります。
そんな幼少期を経て、高校を卒業にあたりファッションを生業にすることを決意。学校の先生やお父さまのアドバイスもあり、イタリアへ留学する道を選んだそうです。
イタリアでの勉強
ファッションの勉強のためにイタリアに渡った田中さん。デザインと洋服をつくる2つの学校で、洋服づくりを学んでいきます。しかし、デザインの課題を提出する中、才能のある人たちとの差を痛感。そこで、中学時代に見ていた雑誌のクレジットで見かけた“スタイリスト”として、自分の好きな服をスタイリングしていく仕事を選択していきます。
学校を卒業後もイタリアに残り、仕事先を探している中、あるスタイリスト事務所で「入っても良いけど、お金はない」と言われた田中さん。お金よりもキャリアをスタートさせたいと思い、その事務所でアシスタントとして働きだし、ファッション業界に入っていきます。
スタイリストから編集者へ
イタリアでのアシスタント経験の後に帰国した田中さんは、日本でもスタイリストとして活動していきます。しかし、イタリアでは“ファッションエディター”として、編集者としての一面を持ちビジュアルを作っていくというのがスタイリストの役割だったのに対し、日本ではモノ集めがほとんどという環境の違いに戸惑いがあったそうです。
そんな中『ELLE』から声がかかり、スタイリングだけではなく編集の部分にも関わるようになります。その後、『VOGUE NIPPON』(現『VOGUE JAPAN』)の立ち上げにあたり、編集者として参加。編集スキルを磨いていくフェーズに入っていったそうです。
『Numero TOKYO』の創刊
上記のようにキャリアを積んでいった田中さんの次の行先が、現在も務める『Numero TOKYO』の編集長。元々、本国フランス版の愛読者だったという田中さん。日本版の創刊にあたり「変な事になって欲しくない」という想いから、引き受けたそうです。
フランス発祥の『Numero』ですが、本国のコンテンツは使わずにオリジナルコンテンツで誌面とWebを構成していると言います。それには「オリジナルコンテンツを作らないとインターナショナルマガジンの戦う舞台に立てない」という『VOGUE』時代の経験が影響しているようです。
そのため『Numero TOKYO』では、特集とマッチする場合に本国の記事を借りたり、インタビューのブッキングをお願いしたりという部分でだけ、本国と連携をしているのだとか。
『Numero TOKYO』1月28日発売号
1月28日に放送になった『Numero TOKYO』の最新号のテーマは“いい服、いいこと、いい暮らし。”ファッション業界ではステラ・マッカートニーが率先して提案してきたエシカル・サスティナブルという概念が、業界全体に浸透してきた今だからこそ「私たちに出来ることは何だろう?」と真剣に取り組んだという特集です。
片付けのスペシャリストである“こんまり”こと近藤麻理恵さんとローラさんの対談など、地球への影響を最小限に食い止めるために何ができるのかを考えさせられる1冊となっています。
誌面については、こちらのリンクから詳細をご覧ください。
https://numero.jp/magazine134/?slide01
また、今回の特集とリンクして、表参道ヒルズのPASS THE BATONで「Numéro TOKYO × PASS THE BATON『いい服、いいこと、いい暮らし』」というイベントを開催中。田中さんを始め、『Numero TOKYO』の関係者が参加し、愛用品とストーリーを展示販売しています。
アイテムが引き継がれていくという部分だけではなく、売り上げの一部がエシカル協会に寄付されるというイベントです。お時間のある方は、ぜひ表参道で田中さんの愛用品とそれにまつわるストーリーをご覧ください。
詳しくは、こちらから
https://www.pass-the-baton.com/news/11326/
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週も引き続き、田中さんにご登場いただき『Numero TOKYO』の編集部の様子などを伺っていきます。
今週の選曲
田中杏子さんのリクエスト
Keep On Movin’ / Soul Ⅱ Soul
山﨑晴太郎セレクト
Hold Your Breath Still / Gavin Luke, Dominique Gilbert