2020.03.01
北川力 vol.1
水を扱おうを思ったきっかけ
「世界中のどこにでも行ける仕事がしたい」と思っていたという北川さん。10代の悩んでいた頃に知ったのが、日本の上下水道を世界に売り込んでいくという動きでした。その当時、北川さんがお世話になっていた先生が水の研究をされていた事もあり、水だったら世界のどこでも必要だし、地球が地球である理由だと考え、のめり込んでいったそうです。
しかし、水の研修を始めて行った所、日本の上下水道は高度成長期にばらまきで作られたため、現在は財政を圧迫する要因の1つになっているという事に気づいたのだと言います。そこで、“水を個人の所有にしていく”という発想を広げていき、WOTA BOXのベースとなる研究に入っていたようです。
水を取り巻く問題
日本では上下水道が財政破綻の原因になりかねない場所がありますが、世界的に見ても水は行政が担っている面が大きいようです。有名IT企業の拠点として有名なカリフォルニアのシリコンバレーでは、家賃が高騰している理由の1つとして、水の確保が難しいということがあるそうです。そのため、バークレーやスタンフォードでは、再生水や水の再利用についての研究に力を入れていると北川さんは言います。
また、シンガポールでは国が再生水に取り組んでいるそうで、マリーナベイサンズの周辺は、再生した水を溜めている池となっていて、その水を再度浄化して、生活用水として利用しています。
こんな風に各地で、水に関する問題が山積しているのですが、そのほとんどが行政主導。自らの手で水の確保や、浄化をしようとするイノベーションが北川さんが考えていることだと言います。
WOTA BOXとは
北川さんがCEOを務めるWOTA株式会社が販売しているプロダクトがWOTA BOX。2m×2mほどのシャワーブースのようなテントと、浄化装置がセットになったもの。シャワーで使用した水を、再生可能な部分とその他に分類。再生可能な部分を浄化して、またシャワーで使用できるというプロダクトです。
これまでだと、管理や制御の部分で人がずっと立ち会っていないといけなかったそうですが、センサーの低価格やデータ解析の進歩で、装置だけで十分に機能するようになったのだと言います。
現在は災害現場で重宝されているWOTA BOXですが、元々の発想は“遊び”だったそうです。砂漠でキャンプをするというイベントを知った北川さんが、「そこで水を使い続けられたら面白い」と思ったのがきっかけ。そこから、地道に研究開発をしていく中で、災害時に役立つと思い、避難所などに特化した形で出来上がったのがWOTA BOX。
気になる方は、WOTA株式会社のWebサイトからプロダクトの詳細をご覧ください。
“水を個人でコントロールできるようにする”という、社会の当たり前を覆す発想でWOTA BOXを生み出した北川さん。来週は、今後展開していきたいと考えているアイデアや、現在進行中の施策などを伺っていきます。
今週の選曲
北川力さんのリクエスト
きれいな水 / YO-KING
山﨑晴太郎セレクト
e / Sylvain Chauveau