2020.03.08
北川力 vol.2
食×水のプロジェクト
金沢出身の北川さんは、地元金沢の関係者との縁も多く、この3月から本格的に拠点を東京から金沢に移したのだと言います。そんな中、拠点を移す前から、金沢で取り組んでいるというのが“食×水”に関するプロジェクトです。
Netflixの番組などにも登場されている銭屋の日本料理人・高木さんとの話している中で、「海外に呼ばれると出汁が取れないから、金沢から水を運んでいる」と聞いた北川さん。それならば、理想の水を再現できたら面白いんじゃないかと装置の開発に動き出します。
水を操る神様から“プロテウス”と名付けられた装置は、水の硬度やpHを変えられるというもの。料理人だけではなく、バーテンダーや菓子職人などの水の重要性を感じている食関係者と意見交換をしながら、アップデートを続けていると言います。
「食は文化」だと感じているという北川さん。プロテウスのプロジェクトについては、科学的な知識は必要最低限にして、料理人の感性に呼応する水を生み出していきたいと考えているということです。
水とアートの関係性
色々なジャンルで活動されている方と、水に関する話をする機会が多いご様子の北川さん。書道家の方と話した際には「日本とヨーロッパで墨の出方が違う」という意見が出てきたそうです。
基本的に、日本の水はミネラル分が少ない軟水、ヨーロッパはミネラルが多い硬水。この辺りが、墨の出方に影響しているのではないかと言います。また、ヨーロッパのアート業界で油絵が中心となっているのも、硬水だったため水彩画などでは繊細な色が出なかったからではないかという美術関係者もいるのだとか。
この話には、水墨画を描いているMCの山﨑も興味津々。北川さんと共に、何か新しいことにチャレンジしていくかもしれません。
金沢への想い
「田舎が苦手で東京に憧れた典型的なタイプ」だと、若い頃の自分を振り返る北川さん。そこから、地元を離れ東京にいたからこそ見えるようになった部分が多くあったようです。現在の金沢は、クリエイターの活動が盛んかつ、東京よりも距離感が近いので、そこだから出来る事の可能性が広がるように思ったと言います。そんな想いが、拠点を移す事を後押ししたようです。
本格的なプロジェクトは、これから始動していくようですが、自身の出身校である高専の1~2年生や金沢美大の学生を集めて、金沢だからこそ出来ることを繋げて、新しいことを実現させていくような活動をはじめていらっしゃいます。
アカデミックな部分もありながら「楽しいからやる」という“遊び心”を忘れていない北川さんとあって、知的好奇心が強くて“やんちゃしたい”という若者が集まってきているのだとか。これからの金沢、日本を担うようなイノベーションが、北川さんを中心とした金沢の集まりから生まれるかもしれません。
文化百貨店で扱いたいモノ
“文化を伝える架空の百貨店でバイヤーとして扱うとしたら?”という番組最後の質問への北川さんの答えは「水質×絵みたいなモノ」。例えば、水の性質の違いで、水墨画がこんなに変わってくるというような、違いを体感できるモノを並べたいということでした。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週は、MC山崎晴太郎とギタリスト田中義人さんのサウンド&アート・ユニットNU/NC特集をお送りします。
今週の選曲
北川力さんのリクエスト
1001のバイオリン / THE BLUE HEARTS
山﨑晴太郎セレクト
Withered / アルファ・ミスト