2020.03.15
NU/NC
ユニットを組むまで
NU/NCとは、スペイン語で“今”を表すnuncの間にスラッシュを入れた造語。キャリアの違う2人の今を分け合うというような意味が込められていると言います。
結成のきっかけは、ちょうど1年ほど前。2019年3月17日と24日に放送になった文化百貨店に田中さんがゲストとして登場してくださったことでした。その時のオンエアーを聞いていた田中さんは、山﨑が番組中に選んだ曲にハマったそうで、そこから頻繁に連絡を取り合うようになっていきます。
そこから、音楽や美的感覚についてメッセージをやり取りする中で、自然派性的に始まったのがNU/NCの活動のようです。
田中さんがゲスト出演した回のトークの内容や選曲は、こちらをご覧ください。
2019年3月17日放送分ブログ
http://culture-dept.com/radio/blog/radio_blog_ja-3308/
2019年3月24日放送分ブログ
http://culture-dept.com/radio/blog/radio_blog_ja-3332/
楽曲の制作過程
頻繁にメッセージをやり取りするようになった2人。楽曲の制作にあたっては、山﨑が図形譜を描くところから始まったそうです。音楽の再現性を届ける“五線譜”に対して、感情の伝達手段としての楽譜が“図形譜”。
山﨑が描いた図形譜を見て、田中さんが音楽のスケッチを描き、それに対して山﨑がフィールドレコーディングした音素材を合わせて行く。そんな往復書簡のような形で、『RECOLLECTION/或る風景の記憶』は作られていったようです。
NU/NCとしての音楽を語る上で大事にしているというのが“意思”。ナチュラルサウンドになり過ぎず、かつ意思が雄弁でもあり過ぎない。そのバランス感覚が、NU/NCとしての表現の妙だと2人は言い「歌詞は無いけれども、概念としての詩を込めた」という楽曲です。まだ、聞いていないという方は、デジタル配信または7インチのアナログ盤でチェックをしてみてください。
NU/NCオフィシャルサイト
https://nu-nc.com/
今後、挑戦していきたいこと
1stシングルをリリースしたばかりのNU/NCに、今考えていることを聞いてみました。2人に共通していることは、楽曲をつくり貯めていくことと長く活動をしていくこと。田中さんは、「年齢と共にキャッチすることが変わってきて反映される音も変わってくるので、自分たちが時代をどう感じているかを表現していきたい」と言います。
山﨑は、田中さんの言葉に同意しながらも「フィジカルを拡張して、音楽に触れるインターフェースを変えていきたい」と話します。例えば美術館に1枚の絵と音楽だけをセットして、そこの環境音が変化していくような形で、“環境音”という余白の部分を含めてNU/NCの音楽を体感できる場所を作ってみたいとのこと。
まだ、シングルを1曲リリースしただけのNU/NCですが、これからの活動へのモチベーションも十分にあるようです。サウンドとアートという異業種のクリエイターによるユニットの今後の動向は、文化百貨店でも随時ご紹介していきますので、引き続きご注目ください。
といった所で、今回に文化百貨店は閉店となります。次回は、雑誌『フィガロジャポン』編集長の上野留美さんをお迎えします。
今週の選曲
RECOLLECTION/或る風景の記憶 / NU/NC
I Loves Your Porgy / Keith Jarrett