2020.03.29
上野留美 vol.2
現在のフィガロジャポン編集部
紙面担当、Web担当を含めて20人弱が在籍しているというフィガロジャポンの編集部。“自分たちで何でもやる”という伝統があるそうで、相対的に人数が多いのだとか。30代のスタッフが中心で、女性誌のため多くは女性のようですが、常に男性のスタッフも何人か在籍しているそうです。
そして、上野さんは近年の業界の流れとも言える、紙版とWeb版の使い分けについても、色々と試行錯誤をされているようです。
例えば、ビジュアルを本誌優先で見せるために、紙面にファッションストーリーを掲載して、デザイナーのインタビューはWebにアップ。タレントさんのインタビュー記事を紙面に出しながら、掲載しきれなかった部分をWebになど、メディアの性格を見分けながら、読者にマッチする出し方を探していらっしゃいます。
フィガロジャポンの作り方
フィガロジャポンには毎回、特集記事がありますが、これは上野さんが編集部員にお題を出すことからスタートします。そのお題に合わせて、ファッションや食、美容といった各担当分野の人たちが当てはまるネタや、以前の同じような特集の際に出た課題を出し合って、担当分けをすると言います。
そんな流れで決まった特集の担当者と上野さんがブレスト。その後、リサーチをしてプレゼンをするというのが、フィガロジャポンの特集の作り方。こういったやり取りを、発売の2~3か月前から進めているそうです。
こうした担当決めを2号分一度に実施しているそうで、片方のチームでは6月売り、もう一方は7月売りと2号が同時に進んでいるそうです。その傍らで、各担当者は連載記事の仕事もしているので、常に複数のことを同時に進めていける力が必要な現場かもしれません。
編集部員に必要な力
たくさんの人と出会い、たくさんのモノに触れる必要がある編集者。そのために必要な力を上野さんに伺うと“コミュニケーション能力”と“柔軟性”だと言います。
色んな事に興味を持って調べたり聞いたりできるということだけではなく、予定通りに進まないことも珍しくないので、その場その場で対応をして、ベストなページ作りに持って行くことも重要だと上野さん。
雑誌づくりだけではなく、どんな職種にも通じる能力が、編集をやっていく上で重要だと話してくださいました。
パリと東京の違い
パリと東京を繋ぐフィガロジャパンということで、パリと東京の違いについても、上野さんに聞いてみました。
共通しているのは“伝統を大事にしているところ”ということですが、その使い方が違うように上野さんは感じていらっしゃるようです。東京は伝統を重んじながらも、新しいモノをミックスしていく柔軟性や土壌がある一方で、パリの方が伝統をそのまま継承していくようなイメージがあるのだとか。
また、パリを含めたフランスでは恰好で人を判断するような気質が強いとも感じているようで、ブランド品に関しても「自分が似合う大人にならないと持たない」という傾向があり10代でブランド品のバッグを持っているようなことも少ないと言います。
どちらが良いとか悪いではなく、こういった違いを感じることで、自分たちの国や都市の良い所に目をやるきっかけになっていきそうですね。
文化百貨店で扱いたいもの
毎回、ゲストの方に最後にお伺いしている“文化を扱う架空の百貨店でバイヤーをするなら?”という質問に、「マンスリーか隔週で、テーマを変えていくポップアップショップ」と上野さん。
ファッション×花、ファッション×スイーツ、ファッション×お酒といったフィガロっぽいお店をはじめ、上野さんご自身が好きだという相撲やお笑いも交えて、“欲張り”な女性の気持ちに応える一角を作りたいと話してくださいました。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。フィガロジャポンのベースになっている“ロマンティックさ”を大事にしながら、日本の女性に心豊かな生活を送っていってもらいたいという上野さんでした。
来週、4月5日は山崎晴太郎が1人で、ゲーム音楽についてお送りします。
今週の選曲
上野留美さんのリクエスト
Always On My Mind / Pet Shop Boys
山崎晴太郎セレクト
A Rainy Afternoon / Igor Longhi