2020.06.07
太刀川英輔 vol.1
NOSIGNERというネーミング
お父さまが建築家だったという影響もあり、建築家を目指していたという太刀川さん。しかし、建築が好き過ぎるあまり「どこまでが建築なのか?」を突き詰めていく中で、建築の責任領域の広さを実感。すぐに良い建築を作れる気がしなくなり、小さな所から始めようと家具のデザインや、元々興味のあったグラフィックのデザインに足を踏み出していきます。
こういった理由から、デザインの業界に入った太刀川さんですが、そんな中、壁や床、ガラスを始め「視界に入ってくるものは、ほとんどがデザインなのに、誰が作ったのかわからないモノが多い」と感じていたと言います。そこで、覆面活動を始めようと思い名乗ったのが、現在の事務所の屋号になっているNO SIGNに由来する“NOSINER”という名前。【見えるものより、見えない関係を作る】、【名乗るよりは名乗らない】という意思表明を込めたネーミングで、活動をスタートさせていきます。
新型コロナ対策Webサイト『PANDAID』
NOSIGNERが中心となり、約300名のボランティアによって共同編集されているのが『PANDAID』というWebサイト。感染症自体についてや、予防・対策といった基本的なことから、助成金の申請やSTAY HOMEを実践していくための情報などを発信しています。
“世界で1番わかりやすいコロナ対策のWebサイト”という志の下、現在6か国語に対応しているPANDAID。世界中から、注目を集めたのがA4サイズのクリアファイルを使って30秒で作れるというフェイスシールドの開発。
3Dプリンタ用のデータや、眼鏡を挿し込むデザインなど、不足するフェイスシールドを補うために世界中からアイデアが出されていましたが、3Dプリンタの無い病院や自分の眼鏡をさらしたく無いという人のために太刀川さんが考えたのが、A4のクリアファイルを活用すること。手軽ながらも実用に耐えうるということで、北里病院では1万枚ほどを院内で使用しているというほか、世界中の医療機関で利用されていると言います。
非常事態宣言が解除されたとは言え、まだまだ予断を許さない状況には変わりがない新型コロナウイルスの問題。何か知りたいと思った際には、PANDAIDを覗いてみてください。
PANDAID:https://www.pandaid.jp/TOP
LIFECOINステッカー
PANDIADの活動の一環として、クラウドファンディングで資金を集めている最中なのが“ソーシャルディスタンスを楽しもう”というコンセプトのLIFECOINステッカー。直径30cmほどのマリオに出てくるコインのようなデザインが施されたステッカーですが、踏むと「♪チャリン」と音が鳴るというガジェットです。
制約のある生活は気が重くなり、子供たちに守ってもらうのも大変だろうという事で、「つい守りたくなるソーシャルディスタンス」という視点で生み出したものだと言います。
このLIFECOINステッカーのクラウドファンディングは、6月30日の午後11時まで受け付け中。支援すると、実物のリターンもあるので気になった方は、下記のリンクをご覧ください。
https://readyfor.jp/projects/lifecoin
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週は、太刀川さんが提唱する“進化思考”など、アイデアの源泉に繋がる話を伺っていきます。
今週の選曲
太刀川英輔さんのリクエスト
Wandering / Yosi Horikawa
山崎晴太郎セレクト
Angelus Novus / ハチスノイト