2020.06.14
太刀川英輔 vol.2
PANDAIDのきっかけになった出来事
NOSIGNERが中心となって、“世界で1番わかりやすい新型コロナ対策のWebサイト”を目指して、多くのボランティアと共に編集されているPANDAID。この活動の原点となるのが、2011年の東日本大震災の時に太刀川さんが立ち上げたOLIVEというサイトでの経験だと言います。
OLIVEは、被災地ですぐに役立つ情報を速やかに共有するというWebサイト。PANDAIDと同じように多くの登録ボランティアと共に編集をしていました。その活動が広がり、『東京防災』という冊子を作るようになったり、国内で過去最大規模の防災計画に繋がっていき防災文化の醸成に役立てたという経験が、今回のコロナ禍でも「やれることをやる」という行動になっていったようです。
PANAIDについては、前回のブログをご覧ください。
https://culture-dept.com/blog/radio_blog_ja-4042/
デザインやアイデアのヒントを見出す“進化思考”
良いモノを作るには、見えない構造があって才能だけでは無いと考えているという太刀川さん。大学院の頃から、創造性にまつわる研究をしてきたようですが、その中で“生物の進化”に似ていると感じているのだとか。
例えば、新しいカメラをつくると仮定した場合。解剖的に考えると、カメラを分解してそれぞれの機能を全部書き出していく。そうすると、レンズという光を集める装置やセンサーという光を受け取る装置という具合に、“カメラ”から解放されていきます。その関係性を読み取ることで、“カメラに求められ続けてきたもの”が分かりやすくなり、アイデアのきっかけになっていくと言います。
また、カメラの歴史を家系図みたいなものにしていくと、何を重視してカメラが進化してきたのかが分かりやすいとも言います。
上記は、正攻法での進化を考えるヒントですが、“ぶっ飛んだアイデア”にもパターンがあるのだとか。例えば、DNAに起きるエラーのようなものからインスピレーションを受けると、二眼レフのようなものになったり、遺伝子が追加されるとカメラと何かを合体させたものになったり、擬態からヒントを得ると“カメラに見えない形”になったり、あるいは環境が変わって繁茂する外来種のように水平転用することで、市場が広がったりという可能性を持っているようです。
闇雲にアイデアを考えるのではなく、生物の進化の過程に置き換えて考えるという“進化思考”。こういった考え方をまとめた書籍を現在、執筆中ということ。今年中には出版したいということなので、もうしばらくお待ちください。
山崎晴太郎とコラボするなら?
同じような立ち位置で活動している太刀川さんと、番組MCの山崎晴太郎。2人でコラボレーションするなら「ダブルCD」だと太刀川さん。CDとはプロジェクトのクリエイティブのトップを担うクリエイティブディレクターのことで、多くの場合1人だけがアサインされます。
それを領域を区分しながら、2人で進めていこうというのが“ダブルCD”。山崎は経験したことがありませんが、太刀川さん曰く「相手は選ぶけど、楽」なのだとか。共感値が高いと感じ合っている2人なら、問題なく進められるかもしれません。実現した暁には、番組で報告していきます。
文化百貨店で扱いたいもの
文化を伝える架空の百貨店で、太刀川さんがバイヤーをするならやってみたいというのは、その文化の当事者として体験できることがセットになった商品。
例えば、タクトが販売されていて、それを買うとオーケストラを前にして指揮ができるとか、商品を作った人の弟子になって工房に入ることが出来るといったもの。
様々な文化が難しい局面を迎える中、未来につないでいくためにも、体験できるのが良いのではないかと話してくださいました。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。次回は、シンガーのSalyuさんをお迎えしてお送りします。
今週の選曲
太刀川英輔さんのリクエスト
Samurai / Djavan
山崎晴太郎セレクト
Remembrance / Balmorhea