2020.08.16
上坂真人 vol.2
日本は「見る」アートが多い
先週の放送でお話があったように、雑誌の営業としてキャリアを積んできた上坂さんが、次に携わるようになったのが“アート”の世界。ここ10年ほどに渡り、世界のアート事情を知っていく中で、日本と世界のアートに対する姿勢の違いが明確になっていったと言います。
その違いは「統計にも表れている」とのことで、GDPの世界シェアが7%弱と言われている日本ですが、アートマーケットでのシェアは1%未満。この数字からも、日本ではアートが身近な存在とは言い難いことが見て取れます。一方で、世界の美術館の動員を見てみると、国立新美術館・東京国立博物館などが上位に入っているので「見るのは大好き」という面はあるのだとか。
アートを“見るのに買わない”。この状況を引き起こしている要因としては、税金や部屋数といったこともあるようですが、それ以上に「アートの楽しさを教えてこなかった」という文化の面での課題が大きいのではないかと上坂さん。アートを見て楽しむだけではなくて、アートがあることで“空間が素敵になり、豊かな気持ちになれる”ことを伝えていく必要があると感じているご様子です。
アートの話が普通に飛び交う社会へ
「何をもって“アート”と呼ぶかバラバラ」ということで、ビジネス面では共通の基盤が作りにくい一方で、上記のよう“見る文化”はあるので、“アートを飾る楽しさ”を伝えていけば広がる可能性が高いと感じているという上坂さん。もっと手軽にアートを購入できるような仕組みを作っていきたいと考えているようです。
セミナーや個人向けのキュレーションを通じて、アートの選び方や個人に合ったものを提案していく仕組みや、身近に感じてもらうためのニュースを配信していくなど、新しいプロジェクトを立ち上げるために奔走しているということ。
「会話の中で普通にアートの話が出てくるようにしたい」というのが、上坂さんの今の目標。時間はかかるかもしれませんが、変わっていく確信があるという上坂さんとIMAプロジェクトの今後にこれからも注目です。
山崎晴太郎とコラボレーションするとしたら?
「色んなところで“アートって楽しいな”と思えるポイントを作って欲しい」と考えている上坂さんは、不動産屋さんには“天高4mでギャラリーを作って”、出版関係や記者の方には“アートを購入している有名人を使って、購入する素敵さを伝えて”といった話をしているのだとか。
そんな中、山崎晴太郎に望むのは「アートの楽しさを色んなところで話して欲しい」ということ。具体的なコラボレーションのアイデアは出ませんでしたが、今回とは逆の形で上坂さんが関わるメディアで、山崎がアートに囲まれる楽しさを語る日がやってくるかもしれません。
文化を伝える架空の百貨店のバイヤーをするとしたら?
ゲストの方に最後に伺っている恒例の質問への上坂さんの答えは「革命家」。社会を変えようと壮大なことを考えて、そのために地道な努力をしている人は、自ら発信する暇もないはずなので、そういった人を自分で探し出してきて、紹介するような場所を作りたいということでした。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。次回は、Muse up代表でLAとニューヨークを拠点にアーティストのマネジメントをされている古波蔵麻椰さんに、Black Lives Matterについて、現地での動きを伺います。
今週の選曲
●上坂真人さんのセレクト
What A Wonderful World / What A Wonderful Life / バリー・マニロウ&ルイ・アームストロング
●山崎晴太郎のセレクト
For Now I Am Winter -Nils Frahm Rework / Ólafur Arnalds, Arnór Dan