2020.08.30
古波蔵麻椰 vol.2
アメリカの広告業界における多様化
現在、アーティストマネジメントという立場で、主にキャスティングをされているマヤさん。いわゆるアーティストだけではなく、パフォーマーやヘアメイク、俳優など様々なジャンルの人材をマネジメントされています。マネジメントを手掛けている中で、「求められる人材に多様性が出てきた」とマヤさんは感じているようで、アメリカではLGBTやプラスサイズモデルの需要が高まってきているようです。
また、起用される人材の多様性だけではなく、表現の幅も広がっているようで、カミソリの広告で髭の生えた女性を起用し「剃るも剃らないもあなた次第」というメッセージを発信しているようなものもあるのだとか。
そして、様々な状況にある消費者へ寄り添うような広告もアメリカではよく見かけるとマヤさんは言います。街中でドラッグや避妊といった社会問題に対して手を差し伸べるようなポスターが、当たり前のように貼り出されているようです。一方で、日本は自殺の割合が世界一にも関わらず、手を差し伸べるような広告を見かけることが少ないのは、問題ではないかと話してくれました。
アメリカと日本との架け橋へ
マネジメント以外にも、日本の大学や企業に向けたワークショップやセミナーの提供や、海外研修プログラムを企画しているマヤさん。その内容は、エンタメ、IT、デザイン、ゲームに精通しているアメリカ在住のアーティストや企業家と創造性を育てるようものなのだとか。
こういった研修を企画する際に、よく求められるトピックは、“最先端テクノロジー”や“スタートアップ”。また、Eスポーツについても、最近は人気だと言います。
アメリカをベースにしながら、日本の企業や大学ともやり取りをしているマヤさん。その中で、「新しいモノ好きで、大胆」なアメリカと、「保守的で、建設的な会議が少ない」日本という印象があるようです。その大きな理由は、学校での教育の違いが起因ではないかとマヤさんは考えているようです。
そのような印象のある日本人たちに対して、海外で働くにあたってのマヤさんからのアドバイスは、「自己PR力と柔軟性」。そのためには、【セルフワーク】が大事だといいます。自身と向き合い、得意・不得意を見極め、最終的にどのような仕事をしたいのかという明確なビジョンを持つことが大切とのことです。
今後の目標
アーティストのマネジメントや、日本とアメリカを繋ぐ活動されているマヤさんの今後の目標は、「アーティストや女性が、意思やアイデンティティ・政治的意向を表現できるコミュニティ作りに貢献していくこと」。
コロナウイルスが終息した際には、ライブイベントや、ファッションやライフスタイルブランドを通して、アーティストたちの為にメッセージを伝え続けたいということでした。
文化を伝える架空百貨店でバイヤーをするなら?
番組で毎回ゲストに伺っている“文化百貨店でバイヤーをするとしたら?”という質問に対してのマヤさんの回答は、「日本で暮らすマイノリティのアーティストに特化したアートやプロダクトの展示」。
日本ではメインで扱われることが少ない、政治や社会意向を表現している作品にスポットを当て、そういう活動をしているアーティストが輝いて表現ができる場所の提供のお手伝いがしたいとのことでした。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週は、山﨑晴太郎がテーマに沿った音楽をセレクトして、ゆったりとお送りします。
今週の選曲
古波蔵麻椰さんのセレクト
September in the Rain/ The Birdland Bigband
山﨑晴太郎セレクト
Green Glass of Tunnel/múm