2020.09.20
來住尚彦 vol.2
アートフェア東京とは
來住さんがエグゼクティブプロデューサーを務めるアートフェア東京ですが、毎年3月に開催される、国内最大級のアート見本市。このアートフェアでは、およそ3000点もの作品が展示・販売されます。世界的に有名なピカソ、シャガールの作品はもちろんの事、ジャコメッティの10億円もする有名な作品から、現代美術家の草間彌生さんや村上隆さんの作品、そして縄文土器のようなものまで幅広く並んでいると言います。
そのため、「きっと好きな作品に出会える」と來住さん。カップルや友人と一緒に参加しても、しばらくすると個人行動で、自分好みの作品探しに行く参加者も多いのだとか。それぞれが、自分で見てきた好きな作品のことを後で、話し合うのもアートフェア東京の楽しみ方のようです。
アート初心者でよく分からないという人に対して、水先案内人のようにあれこれ教えてくれるのがギャラリストの存在。ギャラリーが中心となるアートフェアというイベントだからこそ、気になった作品のことはもちろん、アートシーンについての解説や購入の際のアドバイスももらえるので、これからアートを楽しみたいという方も安心して参加できるイベントになっていると言います。
今年は残念ながら、自粛・中止となってしまったアートフェア東京ですが、來住さんから「来年の3月はやる!」と力強い言葉が出ました。今後の動向については、オフィシャルサイトでご確認ください。
https://artfairtokyo.com/
オンラインでバーチャル展示会”AFT Art Hunting”の効果
アートフェア東京を中止すると決めた際、來住さんの頭に最初によぎったのは、アートフェア東京2020への出展に向けて、毎日頑張って作っていた作家たちと、彼らの作品。それら作品を展示しなければならないという責任感と、イベント中止を告げた時のスタッフの涙を見て、オンラインでの催し”AFT Art Hunting” の開催を決断されました。
AFT Art Hunting とは、ウェブサイトに上にアートフェア東京で展示されるはずだった作品を掲載し、販売するというオンラインサービス。期間中に、アクセスが延べ52万件にも及び、約8000万円ものアート作品を売り上げたと言います。オンライン開催が功を奏したのか、台湾などの海外からの反響もあった他、意外なことに約800万円から900万円台という高価な作品を、実物を手にすることなく、購入されたお客様がいらっしゃったそうです。
残念ながら、こちらのウェブサイトでの販売は、終了してしまいましたが、出展作品は公開されています。どんな作品が販売されていたのか気になる方は、こちらをご覧ください。
https://art-scenes.net/ja/aft-art-hunting/galleries
アートという言語の無限の可能性
アートはまだまだ敷居の高いものという風に見られがちですが、アートが無い生活は無いと來住さんは信じていると言います。その理由の1つが、「アートはコミュニケーションツール」という考え。
先述のようにアートフェア東京では、同伴者と別行動をして見回る人が多いようですが、育ってきた環境の違う人たちがそれぞれの観点でアートを楽しみ、合流した際に作品に対しての意見交換をして、アートを通してのコミュニケーションを取っている光景を見ると、微笑ましく思われるそうです。
海外の方と話す際に、現地の言葉が分からなくても、アートを媒介として作品について語ることで、コミュニケーションが広がってきた経験も、アートはコミュニケーションツールという考えに至った要因でもあるようです。
そして、來住さん自身がアートと隣り合わせで働く現在、そういう場を提供できるようにする事に対しても責任があると感じているということでした。
山崎晴太郎とコラボレーションするとしたら?
アートフェア東京は、アート作品の展示のみでなく、World Art Tokyo と呼ばれる大使館とのコラボレーションやFuture Artists Tokyoという学生の方々とのコラボレーション企画を通して社会や世界にアートで貢献をしています。
そんな中、山崎とのコラボレーションを「真面目に考えます」と來住さん。来年のアートフェア東京に向けて、何かがスタートするかもしれません。コラボが決まった際には、動向も合わせて番組内で報告をしていきますので、お楽しみに!
そして、番組で最後にお聞きしている“文化を扱う架空の百貨店でバイヤーをするとしたら?”という質問に対して、「まず、周りを見る所から始めるので、他に何があるか質問しなければ……」と來住さん。これには、「入り口はみんな違う顔にしているけれども、出口ではみんなを同じ顔にしたい」という來住さんの制作モットーが影響しているようで、周りを見てそれと線になるものを作ってきた経験から、自分が第一歩を踏み出すことに戸惑いがあるのだとか。
そのため、自身がバイヤーを務める企画については「次回までには、考えてきます」と來住さん。山﨑とのコラボ企画と共に、お答えをいただけることを楽しみにしています。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。次回は、最新作『ミッドナイトスワン』が話題の映画監督・内田英治さんをお迎えします。
今週の選曲
來住尚彦さんセレクト
千歳月/Scene of Heaven
來住さんが手がけた1曲。
山崎晴太郎セレクト
The sun shall not smite thee/ Cyrillus Kreek, Vox Clamantis, Jaan-Eik Tulve