2020.09.27
内田英治 vol.1
映画監督 内田英治への道のり
ブラジルのリオデジャネイロ州で生まれ、幼少期を過ごした内田さん。中学校に入る前に日本に移り住み、学生生活を送ります。
子供の頃から映画好きで、憧れの北野武監督の現場スタッフに入りたくて応募したもののテレビ番組の『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』のADに採用されるという経験をしながら、映画への熱い思いを抑えきれない内田さんは、1年弱でADを辞め、脚本の勉強をするためにシナリオセンターに通うようになります。そこでは、週刊プレイボーイの副編集長との出会いがあり、週刊プレイボーイの記者として、文字を書くことを生業にしていきます。
記事を書いているうちに文章力が鍛えられていくのを実感する中で、映画への想いが再燃し脚本を書き始められた内田さん。記者としての仕事の傍ら、書き溜めたものを色々な賞に応募をするようになっていったと言います。そんな生活をする中で、ドラマに脚本が採用されるようになり、2年ほど記者と脚本家という2つの仕事を並行していた後に、一念発起して映像業界に転身。2004年の『GACHAPON!』で監督デビューを果たします。
様々なプラットフォーム
AD、記者、脚本家を経て映画監督となった内田さん。映画、TVドラマのみならず、最近は話題になったNetflixのオリジナルドラマ『全裸監督』なども手掛けていらっしゃいます。
海外のプラットフォームでの制作ということで、日本の映画界やTV業界と違うようなイメージがありますが、制作しているのは日本のドラマや映画を手掛けているスタッフたちなので、「何も変わらない」と言います。
ただし、コンテンツをコントロールしている本国のスタッフたちのリサーチ能力は凄いと感じられているそうで、内田監督自身も「情報を仕入れていないと、自分の好きな映画も撮れなくなる」という意識をもって、新しいものをキャッチアップしているようです
最新作『ミッドナイトスワン』
今回、内田さん自身がオリジナル脚本を執筆、監督された映画『ミッドナイトスワン』が先日9月25日(金)に公開されました。
ストーリーは、草彅剛さん演じるトランスジェンダーのショーダンサー凪沙が、新宿の歌舞伎町にひっそり住んでいるところにネグレクトをされた、服部樹咲さん演じる親戚の中学生・一果を預かるところから始まります。
制作に至るまで
10年前に、バレエを見る機会があり、アジア人が踊るバレエに魅了された内田さん。調べてみると日本は、バレエ人口が世界一だったのだとか。そこから、バレエを題材にした脚本を執筆したそうです。また、それとは別に、トランスジェンダーをテーマにした脚本があり、2つの題材を合わせて、今回の『ミッドナイトスワン』のストーリーが出来上がったそうです。
テーマ的に、低予算の自主映画ではないと実現が難しいだろうと感じていたようですが、草彅剛さんの出演が決まった辺りから好転し、豪華なキャストが集結。幅広い人に見てもらえると思ったと同時に、草彅さんご本人が脚本を読み出演を決断してくれたことで、「ものすごく良いものをつくるぞ!」というモチベーションにもなったと言います。
もう1人の主演
『ミッドナイトスワン』の特徴的な部分の1つが、ヒロイン・服部樹咲さんが演技未経験で本作がデビューでもあること。この映画を制作するにあたって、内田監督は見所であるバレエのシーンを代役ではなく、実際にバレエを踊ることが出来る人を起用することにこだわりがあったと言い、1000人規模のオーディションを実施し、即決されたのが服部樹咲さん。
演技経験の無い分、リハーサルを入念に行い本番でどんどん変化していく服部さんと、その変化を受けて対応していくベテランの草彅さんとのコラボレーションが、作品をどんどん良い方向に導いていったようです。
当番組MCの山﨑も「めちゃめちゃ良い」と絶賛の映画『ミッドナイトスワン』は、現在公開中です。来週も内田監督に作品のお話をたっぷり伺いますが、映画を見て文化百貨店を聞いていただくと、より楽しめる部分がありますので、お時間のある方は、ぜひ作品をご覧になって、来週の放送をお楽しみください。
https://midnightswan-movie.com/
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週も内田英治監督をお迎えして、映画『ミッドナイトスワン』についてたっぷりお伺いします。
今週の選曲
内田英治さんセレクト
Copacabana/ Barry Manilow
山崎晴太郎セレクト
Dorothy/ Polo& Pan