2020.10.25
篠原ともえ vol.1
篠原さんにとっての出役とつくり手
幼い頃からバレエを習っていた篠原さんは、芸能界に憧れる子供だったと言います。それと同時に、お母さまやおばあ様の影響で、裁縫が身近だったようで、中学生の頃には雑誌に掲載されているパターンを真似て洋服をつくっていたそうです。そして、わら半紙の裏などに自分がデビューしたら着たい服をデザインしていたとのだとか。
そんな幼少期を送っていた篠原さんは、16歳の時に歌手として芸能界デビュー。「せっかく夢がかなってテレビに出ているんだったら、カラフルにしちゃおう!」と思いたったことが、シノラーファッションが生まれた大きなきっかけになっていたのだそうです。
芸能界で多忙な日々を過ごす傍ら、服飾デザインを学んでいた篠原さんは、デビュー後から衣装デザインを手掛けるようになり、松任谷由実さんのステージ衣装に携わったことから、ファッション業界でも注目を浴びる存在になっていきます。
一見、タレントと裏方という全然違う分野のように思いますが、篠原さんが子供の頃の出演したバレエの発表会では、舞台の横に衣装を直す部屋があったそうで、衣装を眺めながら「こんな華やかな世界があるのか」と感じていたそうです。
そんな幼少期を送っていた影響からか「私の中では、つくる事も出る事も同じエンターテインメント」ということで、人を喜ばせて楽しませるという部分で、どちらもずっと続けていきたいとことなのだそうです。
篠原さんのインスピレーション源
10代や20代の頃には、好きな色は「虹色です!」と答えていたという篠原さん。クリエイティブな活動をされていく中で、自然の持つ色や、強さの表現をどのように自身の作品で表現できるのかを考えるようになり、自然に嫉妬心を持ち、突き詰めて作品を手がけていらっしゃるようで、「自然に勝るインスピレーションはない」と感じているそうです。
花や空など、ありのままの自然が美しく感じられることが多いようで、そこから作品づくりの中で勇気を貰えることもあると言います。
また、服をつくっている時に絵のアイデアが出てきたり、絵を描いていたら服をつくりたくなったりという事も多いようで、つくる事やエンターテインメントは隣同士なんだと日々感じていらっしゃるようです。
『SHIKAKU – シカクい生地と絵から生まれた服たち – 』
今年7月1日に、デビュー25周年を迎えられた篠原さん。ご主人であるアートディレクターの池澤樹さんに、「今まで誰もした事がないことをしたほうがいい」というアドバイスを受けた、自身のルーツを見つめ直して企画されたのが、『SHIKAKU – シカクい生地と絵から生まれた服たち – 』という作品展。
服をつくる際、袖などはカーブになるため、余剰生地がどうしても出てしまうようですが、「余剰生地を作らずにドレスを作る」というテーマで創作した6体を展示されていましたが、その発想のきっかけは着物にあったのだとか。
おばあ様が着物の針子さんだったということで、着物が身近だったという篠原さん。着物自体が、基本的に四角い生地を余すことなく利用し、美しいシルエットを生み出していること。そして、余剰が出た際には、着物の制作に携わった人の名前を筆で書いて、購入者に生地をプレゼントすることがあるという物語に感動したと言います。
そこで徹底的に余剰生地を生み出さないためには、どうしたら良いかを考えていく中で、衣装の生地を提供している『小川峰』という生地ブランドに話を持ちかけたところ、「大量の余剰生地が出ているので一緒にやりたい」と協力してもらえることになり、共に環境に優しい服づくりを目指していったそうです。
展覧会自体は終了していますが、篠原さんのサイトで展示されたドレスの写真を見ることができますので、ぜひこちらのページをご覧ください。
https://www.tomoeshinohara.net/works/1288/
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週も引き続き、篠原ともえさんをゲストにお迎えして、デザイナーとしての活動内容などを詳しくお伺いします。
今週の選曲
篠原ともえさんセレクト
I Know Alone / Haim
山崎晴太郎セレクト
Tell Me(Feat. Saoirse Ronan) / Johnny Jewel