2020.11.29
飛内将大 vol.1
曲づくりを続ける要因になった友人の言葉
幼いころからエレクトーンを習っていた飛内さん。小学校6年生のころに、録音やリズムの打ち込み機能がついたエレクトーンが家に来たことが、作曲をするようになったきっかけなのだとか。
恥ずかしくて、自分のつくった曲を人に聞かせる機会がなかったようですが、中学2年の時に一緒にバンドをしていたメンバーに自作の曲を聞かせたところ「いけるじゃん!オリコン1位だ」と良い反応をもらったことで、“感想をもらえる喜び”を感じ、創作活動に力が入っていったようです。
上京して音大で学んでいる最中に、地元・青森の知人のボーカリストが、青森時代に一緒につくったデモを知らないうちにオーディションに応募。その音源がグランプリを獲得したことから、飛内さんは早くも19歳で作曲家デビューを果たします。
とはいえ、すぐに順風満帆とはいかず、大学卒業の際に「自分が好きだと思える人が所属している事務所デモを送ろう」と思いコンタクトを取ったのが、現在の所属事務所。そこから、今に活躍に繋がっていくそうです。
音づくりに迷いはない
高校生のころから1日でアルバム1枚分の作曲をするという遊びをしていたという飛内さん。この遊びが活きて、音づくりの際に迷いがないそうで、結構多作なようです。2年前に数えたところ、9500曲以上(!!)のストックがあったそうで、「今は10000曲ぐらいあるかもしれない」と言います。
ストックは事務所に預けているそうで、マネージャーさんなどが合いそうな曲をコンペに提出していたりするようです。そのため、かなり前につくった曲が採用されるケースもあるそうで、最近も8年程前につくった曲が採用され、アレンジをし直したのだとか。
とはいえ、コンペの際にストック曲ばかりを提出するわけではなく、お題に合わせてつくることもあるようです。仕事を始めたころは、そのお題の内容を“かみ砕いて理解したものを音にする”というのが苦手だったそうですが、数を重ねるうちに、今では「こういうことをやりたいのかな」という意図を読み取って、形にすることができるようになってきたのだとか。
心にくる音か否か
ギターや鍵盤をはじめ、マルチプレイヤーとして多くの楽器を演奏する飛内さんですが、ドラムの音源などは、アプリやソフトでクオリティの高い音を鳴らせるようになってきていて、「どのスタジオでマイクを立てて録るよりもいい環境」なのだとか。
とは言え、「ドラムのグルーヴを知った上で、プログラミングをすると、かなり人間味を出せる」とのことで、自分でドラムを叩いて響きやノリを研究していると言います。
“良い音”に人の温度や熱量を注ぎ込むことを意識されているような印象の飛内さんですが、楽器の一般的な質にはこだわりが無いのだとか。立派なオールドのシンセサイザーを買わなくても、リサイクルショップで100円で売っているようなおもちゃのキーボードのほうが泣けるような音を出したりすることがあると言います。
人それぞれ感性は違うので、その琴線に触れるような音を出せるかどうかというのを軸にして、音色を選んでいるそうで、音の選び方は”心にくるかどうか”という面だと話してくださいました。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週も引き続き、飛内将大さんをゲストにお迎えし、CMなどの音楽作りについてお伺いします。
今週の選曲
飛内将大さんのリクエスト
SPARK-AGAIN/Aimer
※飛内さんが作曲、玉井健二さんと共に編曲を手がけた、アニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』のオープニング主題歌
山崎晴太郎セレクト
Sun Kissed/ Bryony Jarman-Pinto