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2021.09.12

山崎 晴太郎

9月12日の文化百貨店は、山﨑晴太郎が色んなテーマに沿ってお送りするソロ回。今回は、新しいもの好きなだけではなく、身体性を感じられる“昔からのもの”も大事にしている山崎が選ぶ「アナログの美学」をお送りしました。

自分のライフスタイルに合った、ちょうど良いアナログ

今回は、厳密な意味での“アナログ”ではなく、山崎が「アナログ感がある」と思うものについてお話していきます。ちなみに、山崎の言うアナログ感のあるものとは、“同じような中でも1つ1つが微妙に異なり、個性のあるもの”だと言います。

【山崎】「アナログの美学」というテーマで、すぐに思いついたのがコーヒーでした。僕は、コーヒーがすごく好きなんですよ。 “丁寧に暮らす”という言葉が出て来た辺りから、「ちょっとめんどくさい方が、オシャレなんじゃないか?」みたいなブームになっていると思うんですけど、それに倣って、僕も「丁寧に暮らして、オシャレになろう!」と、手で挽くミルと先の細いケトルを買ってみました。

それで、土日は豆を挽いて、豊かな時間を過ごそうかなと思ってやってみたんです。だけど、平日もコーヒーを飲みたいし、飲む量も多いので、気が付けば簡単に淹れたコーヒーばかりを飲んでいたんですよ。そこで、買ったのが電動ミル。これが、僕のコーヒースタイルには、抜群に合いましたね。

電動ミルで豆を挽いて、それをペーパーに入れて、ハンドドリップでコーヒーを淹れているんですけど、同じ豆を挽いてドリップしても、味が変わるんですよ。そういったムラのある所が、アナログ的な魅力として感じている部分ですね。最近は、ライフスタイルに合う、ちょうど良い豊かさやアナログ感が、自分にマッチしているのかなと思っています。

EVと向き合って初めて見えた、自動車の本質的な魅力

EV(電気自動車)の車止め型充電ブロックの仕事をしている山崎。最近は、自動車の持つアナログ感について考える時間も多いようです。

【山崎】今、僕の中でのホットトピックが車なんです。EVに関する仕事をやり始めているので、体験主義者としては「EVに乗らねばならない」と思っているんですが、これまでの車みたいにグっと来るポイントが、まだ見当たらないんですよ……。EVを否定する気は、まったく無いんですけど。

僕が乗っているのがジャガーのXJSというクーペで、鼻の長い車なんですけど、すごく美しいんですよ。という具合に、古い車の造形がすごく好きで、これまでもどちらかというとデザインを基準に選んでいたと自分では思っていたんですよ。

でも、いざこの車からEVに乗り換えると考えた時に、ピンと来ない理由は“トルク”なんですよ。これまでは、「エンジンが良いんですよ」なんて言われも、「僕はデザイン派なので」という感じだったんですけど、EVに試乗してみてもエンジンの鼓動が感じられないんですよね。“人馬一体”という言葉がありますけど、エンジン駆動の車は、そこにハマるなと思うんですよ。馬と人間の体温が一体になって、移動を楽しむというか。

これが、車の本質なのかは分からないけど、それに近い部分が、ようやく分かった気がしました。だからこそ、EVを買うか悩んでいる状態です。きっと、EVを買うでしょうし、買わなければならないとも思っているんですけど、その後にもう1度ガソリン車に戻ってくる可能性もあるなと思っています。

万年筆の練習から生まれたデザイン

タイポグラフィーが得意な影響もあるのか、数年ごとに“文字を書く”ことがマイブームになるという山崎。最近は、カリグラフィーを始めたようです。

【山崎】字を書くという事が結構好きで、ボールペン字みたいなのをやったり、2年ほど前からは通信教育で習字を習い直したりしています。そんな中で、この半年ぐらいやっているのが、カリグラフィーなんです。カリグラフィーって、万年筆をボトルのインクにつけて、筆勢を出しながらアルファベットを書いていくものなんですけど、万年筆の1つぐらい人生の中で使えるようになりたいなと思って、やり始めました。

やってみると、線というものがすごく面白いんですよ。自分の体調や、ちょっとした傾きで1つの線が「すごく良いデザインになったな」とか、「この線を入れたら、すごく良いものがつくれそうだな」というような事が結構あって、延々と書いたりしています。それで、僕のやっている仕事の面白い所は、こういった事が繋がっていくんですよ。

以前にも紹介しましたが、去年の夏頃から、レストランのひらまつが運営するホテルのブランディングやプロデュースをやっているんですけど、軽井沢の御代田に造ったホテルのサイン計画の中に、カリグラフィーの要素を入れたんですよ。と言うのも、ひらまつの料理の試食した時に、お皿にソースが線状に描かれている感じが、僕の中でカリグラフィーとシンクロしたんですね。それで、カリグラフィーで料理のソースを表現できると思って、それをサイン計画に組み込みました。

こういった経緯もあって、このサインは個人的にすごくいい出来になっていると思っています。ホテルに行った人が、インスタに写真をアップしてくれたりもしているので、ぜひ見てみてください。

普段は、モンブランの万年筆の中をジェットストリームにカスタムしたものを使っていて、それが使いやすいと思っているんですけど、最終的には万年筆で、お礼状や挨拶なんかをサラッと手書きできる大人になって行きたいもんですね。

といった所で、今週の『文化百貨店』は閉店となります。次回は、盆栽作家の濱本祐介さんをお迎えして、盆栽の嗜み方をお伺いします。

今週の選曲

山崎晴太郎セレクト
Limbic / Stefano Guzzetti

Because This Must Be / Nils Frahm

Remembrance / Wataru Sato

Foundations / Mikael Land

recollection 或る風景の記憶 / NU/NC

Spotifyでアーカイブをポッドキャスト配信中

株式会社セイタロウデザイン代表・番組パーソナリティ

山崎 晴太郎

82年生まれ。横浜出身。立教大学卒。PRエージェンシーを経て2008年独立。株式会社セイタロウデザインを設立。企業のデザインブランディングやプロモーション設計を中心に、グラフィック、WEB・空間・プロダクトと多様なチャネルのアートディレクションおよびデザインワークを幅広く手がける。2012年よりラジオパーソナリティーとしての活動を開始。FRANZ AWARD、グッドデザイン賞特別審査員、法務省のロゴデザインコンペ選定委員や国土交通省の有識者会議にも参加。株式会社JMC取締役兼務CDO、一般社団法人琉球びんがた普及伝承コンソーシアム理事。東京2020組織委員会、スポーツプレゼンテーション・クリエイティブアドバイザー。

82年生まれ。横浜出身。立教大学卒。PRエージェンシーを経て2008年独立。株式会社セイタロウデザインを設立。企業のデザインブランディングやプロモーション設計を中心に、グラフィック、WEB・空間・プロダクトと多様なチャネルのアートディレクションおよびデザインワークを幅広く手がける。2012年よりラジオパーソナリティーとしての活動を開始。FRANZ AWARD、グッドデザイン賞特別審査員、法務省のロゴデザインコンペ選定委員や国土交通省の有識者会議にも参加。株式会社JMC取締役兼務CDO、一般社団法人琉球びんがた普及伝承コンソーシアム理事。東京2020組織委員会、スポーツプレゼンテーション・クリエイティブアドバイザー。

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©seitaro design,inc.

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