2021.10.17
ウラン vol.1
10月17日の文化百貨店のゲストは、株式会社nauraの代表取締役社長のウランさん。モンゴルから来日し、延べ10年に渡り日本を拠点に活動されているウランさんに、オーダースーツとカフェという2つの事業と、モンゴルと日本への想いをお聞きしました。
モンゴル語と文法が似ているので日本語は覚えやすい
【山崎】モンゴルの方とお話をするのは、初めてなので色々教えていただきたいと思います。モンゴルのご出身で、高校生の時に初めて来日されたんですか?
【ウラン】そうです。留学生として、日本に来ました。
【山崎】その時は、「日本に来たい!」と強く思っていたんですか?
【ウラン】モンゴルは親日関係にあるので、小学校から日本語を教える学校もあるんですね。私は、たまたまそういう学校に入っていたので、小学校の時から日本語を勉強していました。だから、子供の時から日本の文化や言葉に触れてきたんですね。
【山崎】そうなんですね。モンゴルでは、みなさん小学生から日本語の教育を受けるんですか?
【ウラン】みんなでは無いんですよ。私の場合は親の思いがあったんですかね。私立の学校に通っていたんですけど、当時は「外国語を覚えて欲しい」というブームだったらしいんです。
【山崎】高校生の時に来日して、その後大学生の時にもう一度来日されたんですよね?
【ウラン】言葉を覚えていた事もあるんですけど、私はずっと日本が好きだったんですよ。
【山崎】モンゴルと日本で、似ている点ってありますか?
【ウラン】言葉は似ていますね。文法が似ているので、覚えやすい言語の1つですね。
【山崎】英語を覚えるより、日本語の方が覚えやすいんですか?
【ウラン】もし、漢字が無かったらもう少し簡単だったと思います(笑)
ほんのりモンゴルを感じられるCafe de naura
【山崎】ウランさんが去年オープンされたのが、今日お邪魔している東京築地にあるCafe de naura。このお店は、どういったコンセプトなんですか?
【ウラン】昼間はカフェなんですけど、夜は私の大好きなワインのバーになります。カフェのコンセプトは、「女性オーナーならではの、オーガニックやヘルシー」です。夜にはワインに合うモンゴル料理を出しているのが、面白い所だと思います。あと、お店の内装には、全くモンゴル感が無いんですけど、スタッフが全員モンゴル出身の女性だったりするので、「入ってみたら、そこにモンゴルがありました!」みたいな感じにしています。
【山崎】メニューを見ていて気になっていたんですけど、ボーズ、ルーワンサラダ、ホーシュールというのがモンゴル料理なんですよね?写真から想像すると、ボーズは小籠包みたいな感じですかね?
【ウラン】小籠包に似ているけど、肉々しさがちょっと違います。ルーワンサラダは、にんにくの味がしっかりした人参のサラダで、ホーシュールは、揚げ餃子というと一番分かりやすいと思います。
【山崎】揚げ餃子や小籠包に近いということは、モンゴル料理って中華料理に似ているんですかね?
【ウラン】ホーシュールの場合は、ピロシキの薄いバージョンだったりします。モンゴルを地図で見ると、ロシアと中国の間にあるので、その文化の真ん中だと思います。
【山崎】日本でモンゴル料理を食べられる所は少ないと思うので、ハマるとこのカフェに集まってくるようになるんじゃないですか?
【ウラン】ハマってほしいですね(笑)
【山崎】ちなみに、Cafe de nauraで出しているもの以外で、「モンゴル料理といえば、これだ!」というものはありますか?
【ウラン】多分、日本の方がビックリするのが、ミルクティーの中に餃子が入っている料理。二日酔いに効くので、良いですよ(笑)
【山崎】機能的な話になっちゃった(笑) そのミルクティーは、甘いんですか?
【ウラン】塩味なんです。モンゴル料理は塩味がベースなので、ミルクティーも塩を入れるんですね。日本の方は、「ティーなのにスープの味がする」とよく言われます。
【山崎】みそ汁やお吸い物みたいな味になるという事なんですね。国ごとの食って、面白いですね。
女性ならではの繊細さと気づきで提案するオーダースーツ
【山崎】今回、収録しているCafe du nauraの2階は、1組のお客さん専用の空間になっているんですよね。
【ウラン】そうです。
【山崎】夜は、カフェのVIPルームのように使われていますが、日中はオーダースーツテーラーnaura ginzaとして営業をされていると。スーツ事業を展開するまでには、ウィメンズのドレス等を作っていたそうですが、ずっとファッションに興味があったんですか?
【ウラン】洋服は、小さい時からずっと好きでしたね。でも、それをお仕事にするという発想が無かったんですよね。その頃は、大学を卒業してOLになるという考え方が当たり前だったんですけど、それが「何か違うな」と感じて、日本の学校でファッションを勉強して、仕事にしている感じです。
【山崎】日本とモンゴルをファッション面から見て、どう感じますか?
【ウラン】モンゴルでは、ファッション好きな男性があまり居ないんですよ。女性の場合は、ボディーラインを出すセクシー系の服が良いとされています。日本の若い女性は、流行に敏感な所がモンゴルと違う所だと思います。
【山崎】ファッションだけではなくて、モンゴルでは流行りみたいなものは無いんですか?
【ウラン】あまり無いかな……。「人と被るのが嫌だ」という人が多いですね。
【山崎】そうなんですね。日本では、自分だけ特別になるのが嫌だから、周りと合わせる事が多いのかなと思います。ウィメンズのドレスを作っていて、そこからメンズのスーツのテイラーに変更したきっかけは、何だったんですか?
【ウラン】オーダースーツやオーダーメイドは、ただ作って売るだけの作業ではなくて、お客さんと色々な会話をして完成させていきます。「その人のパーソナルコーディネーター」になるというのが、自分に合っていると感じているのと、女性目線で作る男性の服は、また違うのではないのかなとも思いました。
【山崎】女性ならではの目線で、意識している事はありますか?
【ウラン】パターンやディテールの細かさ、美しさにこだわりはありますね。
【山崎】ウィメンズとメンズでは、作り方が違いますよね?
【ウラン】勉強し直しましたね。将来は、モンゴルにnaura ginzaを持っていきたいと考えているんです。
【山崎】オーダースーツは流行りものというよりは、1人1人に対して作っていくものだから、モンゴルの人にも受け入れられるだろうという事ですよね?
【ウラン】そうですね。
今のモンゴル文化を紹介していきたい
Girlfriend / The Wasabies
※番組内では日本語バージョンをお送りしました
【山崎】ウランさんが選んだ、The Wasabiesの『Girlfriend』を聴いていただきました。The Wasabiesはモンゴルのアーティストですが、彼女たちの日本でのプロモーションもウランさんがお手伝いされていくんですか?
【ウラン】そうですね。これから、やっていきます。彼女たちはモンゴルでは有名なグループなんですけど、日本ではモンゴルと言えば、お相撲とか遊牧民族のイメージしか無いと思うので、今のモンゴルの文化を紹介していきたいと考えています。
【山崎】確かに、モンゴルの最先端のカルチャーに触れる機会が全く無いので、こういったアーティストを話題にすると、少しイメージが変わりますよね。
【ウラン】モンゴル人と会う機会も無いですよね。
【山崎】しっかり話すのは、ウランさんが初めてだと思います。今の曲を聴いた感じだと、日本語バージョンを作ったりしていて、K-POPっぽい印象もあるんですが、韓国からの影響も強いんですか?
【ウラン】大陸だからか分からないですけど、アメリカ文化の影響が強いんですよ。ファッションもなんですけど、アメリカからの影響が、結構あると思いますね。
【山崎】 今日はウランさんを通じて、モンゴルを勉強している感じですよね。なかなか、モンゴルの事を直接聞くことが無いから新鮮でした。1人を知ることで、その国との距離感が一気に近づくような気がしますよね。僕のモンゴルのイメージはウランさんになった感じです。今回のゲストは、株式会社naura代表取締役社長のウランさんでした。
といった所で、今週の文化百貨店は閉店となります。来週も引き続き、Cafe de nauraにお邪魔をして、人気メニューを試食させていただきます。そして、後半は雑誌『UOMO』の人気企画、試着フェスに山崎が参加した時の様子をお送りします。
今週の選曲
山崎晴太郎セレクト
Motes / Neil Cowley & Ben Lukas Boysen