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2021.12.26

山崎 晴太郎

2021年最後の放送となる12月26日の文化百貨店は、ゲストをお招きしてのトークは一休み。山崎晴太郎が、文化百貨店的な視点で1年を振り返ります。

【山崎】12月26日ということで、今年も残すところ5日となりました。個人的にも色々と動きがあった1年でしたね。

アート活動の方で今年から彫刻を発表し始めて、プロダクトというか立体的な作品を出していたら、想像していたよりも上手く行ったんですよ。これまでの作品で入選というのはあったんですけど、彫刻の方では世界2位で賞金を頂いたりして、動き始めた実感がありました。

年末に近い所だと、11月にセイタロウデザインの事務所を代官山に移転しました。独立して14年……。14年という数字を口に出すと、結構走ってきたなという想いもあるんですけど、事務所と僕のアトリエをくっつけたので、今まで最も広いぐらいの場所になりました。今は、コロナでリモートに移行していく人もいますけど、デザインやコミュニケーションは肌感覚や空気感を共有しながらつくりたいと思っているので、仕切り直したという感じです。

僕個人には、こんな事があったりしましたが、皆さんはどんな1年だったでしょうか?今日は、2021年を文化百貨店的に振り返っていきます。

「アスリートが最も輝く場所に」 TOKYO2020の表彰式づくり

【山崎】ずっと関わっていたけども、ラジオでなかなかシェアが出来なかったのが、東京オリンピック・パラリンピックです。僕は大会を主催する「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」に所属をしていました。

TOKYO2020関連では、色んなクリエイターが出てきたので誰がどんな関わり方をしているのか分かり辛いかったかもしれませんね。よく名前が挙がっていた人たちは、組織委員会の発注に対してコンペに応募をして、案件を獲得してクリエイティブをつくったデザイナーとかなんですよ。僕は、組織委員会の中にいる人なので、内部からクリエイティブをディレクションしたり、様々な事を調整したり決定をする立場で関わっていました。

組織委員会に入ったのが2017年だったので、4年という長い時間に渡って関わっていたなと思います。準備期間・大会期間を通じて、中心は選手であるべきだと思っていて、あまり「僕がつくりました」という感じでは無いなと感じていたんですけど、2021年の振り返りという事で、どんな事をしたのかをお話したいと思います。

所属していたのは、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の“スポーツプレゼンテーション”という所で、表彰式を担当していました。「この大会で、どういうコンセプトで表彰式をやるべきなのか」といったコンセプトを作って、それを元に、音楽や衣装、ポディウムという表彰台等を調整して、表彰式全体のクリエイティブの方針を決めていくという役割をやっていました。

皆さんが、どう感じていたのかは分からないのですが、“選手が一番であることを体現できる”という方針で導き出したコンセプトに沿って、表彰式をつくりました。色んな人たちが関わって、表彰式が出来上がっているんですけど、みんなが「その一瞬に捧げたアスリートが、最も輝くように」という想いで動いていました。開催の是非についての議論もありましたが、中にいる人たちは本気で向き合ってつくっていたという事に関しては、知っておいてもらえたらなと思っています。

個人的には、独立をして14年間仕事をしてきて、30代の最後に、すごく大きなイベントのすごく大きなセクションでクリエイティブを担当できたというのは、僕のデザインや表現人生の中で、非常に大きいポイントになるのかなと感じている所です。

2021年の印象的なデザインとクリエイティブ

【山崎】今回は、文化百貨店的に2021年を振り返っています。以前に1人でお送りをした時に、結構評判が良かったのが、クリエイティブ界隈の話題についてコメントをするという企画なんです。という事で、今年のデザインやコミュニケーション業界で「こんなモノが有った」というのを振り返ってみたいと思います。

今年は、グッドデザイン賞を主催する日本デザイン振興会理事の矢島進二さんに番組に来ていただきました。恐らくデザイン関連で、最も有名な賞の1つがグッドデザイン賞だと思うんですけど、今年の大賞ってご存知ですかね?

オリィ研究所の遠隔勤務が可能な『分身ロボットカフェDAWN ver.β』が受賞しました。これは、いわゆる障害を抱えた人が遠隔でロボットを動かして接客をするというもので、デザインの文脈よりは一般のニュース番組などで見た人も多いと思います。

僕も以前、グッドデザイン賞の審査に関わった事があるんですけど、この賞は“見た目が良いもの”を選ぼうというのではなくて、“これからの時代に、真似する事が増えてくると良いな”というものに賞を与えることで、社会が「そういう風になろう」とプラスに作用していく事を目指すというポリシーでやっていたりするんですね。なので、オリィ研究所の分身ロボットカフェは、まさにそのポリシーに沿った選出だと感じますね。

それ以外のもので言うと、最近はYouTube関連の仕事をする機会が多くて、色々とチェックをしているんですけど、『THE FIRST TAKE』が凄かったですよね。

YouTubeというプラットフォームでは、「作り込み過ぎてはいけない」とか「狙いすぎるとダメ」と言われる事が多いんですけど、それはそれで1つの解だとは思います。確かに誰でも自然に表現が出来て、身近な距離感が魅力的なプラットフォームだと思うんですけど、THE FIRST TAKEは狙い過ぎない感じと、プロフェッショナルのクオリティの、すごく上手な所を行きましたよね。作り込んでいるけれど、世界観自体はすごくナチュラルで、綺麗で、ミニマルで、時代の中のYouTubeでは本当にピカイチだったという気がしています。

ただ、業界の話で言うと、あれも大変らしいですね。あの“一発撮り”は作り手からすると、すごく大変なんですよ。ラジオとかの音声メディアも同じだと思うんですけど、カットが細かく分かれていた方が、調整が効くんですよね。だから、子供の発表会なんかでも、実は簡単そうに見えて大変なんですよ……。そんなことを感じながら、THE FIRST TAKEや発表会などの、いわゆる“一発撮り”のクリエイティブを見てみると、また違って見え方がするのではないかなと思います。

ゲストとのその後の交流が増えた2021年

【山崎】今日、最後のパートは文化百貨店の2021年のお話をしていこうと思います。2017年4月から番組がスタートしたんですけど、実は今年に入ってから始まったのが“お出かけ収録”なんですね。文化百貨店はカメラマンにも入ってもらって写真を撮っているので、場所の空気感とかもお伝えできるロケ収録は、ハマリが良かったなと思っています。

そういう流れもあったからなのか、今年はゲストに来てくれた方々と、お仕事を始め色んな絡みが増えた実感があります。見て頂いた方もいらっしゃるかもしれないですけど、雑誌『UOMO』は当時の編集長に出演していただいたご縁で「試着フェス!」という人気企画に参加させてもらったりしました。あんな感じで試着させてもらう事はないですし、自分のコメントが雑誌に載ることに不思議な感じもしました。

あとは、映像作家の奥秀太郎さんが演出されている、『VR能攻殻機動隊』という舞台のナレーションの依頼を頂きました。声の仕事は初めてだったので、すごく驚きましたけど、貴重な経験を積ませてもらいました。他には、年末の方だと、友人でもある俳優の川久保拓司さん出演の舞台も観劇したりと、特に演劇関連の方々との交友を深められたのかなと思ったりしています。

直近でご招待いただいたのが、Dance Base Yokohama主催のコンテンポラリーダンスのショーケース『DaBY Performing Arts Selection 2021』。これが、すごく良かったですね。思い返してみると、コンテンポラリーダンスを日本でしっかり見たのは初めてだったかもしれません。

DaBY Performing Arts Selectionというのは、イメージで言うと映画祭みたいな感じだそうです。例年は半分くらいが海外のお客さんのようで、それを見に来て「このショー、このダンサー良いね!」と言って、自分の国でそのショーを組み立てるという意味合いの企画だそうです。そういうイベントなので、1つの演目が20~30分で、1公演で色んな演目が観られるので、コンテンポラリーダンスが初めての人でも楽しめるんじゃないかなと思いました。

バレエには“重力からの解放”という部分があって、コンテンポラリーには“人間性の回復”みたいに重力に向かっていくという話がありますけれど、その中でも多彩なテーマがあって、個人的にはすごく刺激を受けました。それに、演出もすごく面白いんですよ。非常にミニマルな空間で、舞台との距離も近い。だからこそ、身体性がダイレクトに響いてくるという事もあるんだなと感じました。

性格だと思うんですけど、観るとやりたくなるんですよ(笑) ただ、演者としてダンスをするのはハードルが高いと思っているので、コンテンポラリーダンスの演出やテーマ、空間設計は、総合芸術だと思うので、どこかでチャレンジをしてみたいなと思いました。

あとは、最近ゲストで来てくれた岩澤史文君というスケーター/YouTuberがいるんですけど、彼とは「スケートボードを社会にどうやって社会に再実装していくか?」みたいなプロジェクトを一緒にやることになったりしましたし、来年以降も、こういう縁は広げていきたいなと思っています。

こういう輪が広がっていくのが僕だけというのは少しもったいない気がするので、リスナーの方や僕の周りの方も一緒に楽しんで、こういった文化を味わっていけるような事も、来年はやってみたいなと考えています。企画がスタートした際には、参加をしてもらえると嬉しいです。

といったところで、今週の文化百貨店は閉店となります。2021年も、お付き合いいただきありがとうございました。次回は、2022年1月2日の深夜24時30分にお会いしましょう。それでは、よいお年をお迎えください。

今週の選曲

山﨑晴太郎セレクト
Pyre  / Agent Fresco

Paused / Kiasmos

Before / Vok

Spotifyでアーカイブをポッドキャスト配信中

株式会社セイタロウデザイン代表・番組パーソナリティ

山崎 晴太郎

82年生まれ。横浜出身。立教大学卒。PRエージェンシーを経て2008年独立。株式会社セイタロウデザインを設立。企業のデザインブランディングやプロモーション設計を中心に、グラフィック、WEB・空間・プロダクトと多様なチャネルのアートディレクションおよびデザインワークを幅広く手がける。2012年よりラジオパーソナリティーとしての活動を開始。FRANZ AWARD、グッドデザイン賞特別審査員、法務省のロゴデザインコンペ選定委員や国土交通省の有識者会議にも参加。株式会社JMC取締役兼務CDO、一般社団法人琉球びんがた普及伝承コンソーシアム理事。東京2020組織委員会、スポーツプレゼンテーション・クリエイティブアドバイザー。

82年生まれ。横浜出身。立教大学卒。PRエージェンシーを経て2008年独立。株式会社セイタロウデザインを設立。企業のデザインブランディングやプロモーション設計を中心に、グラフィック、WEB・空間・プロダクトと多様なチャネルのアートディレクションおよびデザインワークを幅広く手がける。2012年よりラジオパーソナリティーとしての活動を開始。FRANZ AWARD、グッドデザイン賞特別審査員、法務省のロゴデザインコンペ選定委員や国土交通省の有識者会議にも参加。株式会社JMC取締役兼務CDO、一般社団法人琉球びんがた普及伝承コンソーシアム理事。東京2020組織委員会、スポーツプレゼンテーション・クリエイティブアドバイザー。

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