2019.03.24
田中 義人 vol.2
サウンドプロデューサーという肩書
“サウンドプロデューサー”という肩書には、田中さんの職人としての気質が垣間見えます。一般的なプロデューサーだと、イメージやビジュアル面も含めたプロデュースをする人という事ですが、田中さんの領域はあくまで音。音に特化したプロデューサーという部分を伝えるためにサウンドプロデューサーと名乗っていると言います。
同じような立ち位置として“アレンジャー”という肩書もありますが、こちらはサウンドプロデュースよりも、もう少しラフな形で編曲に携わる場合の役割のようです。
しかし、時代と共に肩書が関係なくなってきているとのだとか。制作環境が整えやすくなった事で、従来ならばエンジニアの領域だと考えられていた部分も田中さん自身が担うことが増え、シゴトの範囲が広がっていると感じているようです。
曲づくりの変化
機材や環境の変化によって役割がボーダーレスになってきているという音楽業界ですが、楽曲づくりに関しては“時代にコミットすることで文化として成立する部分がある”と田中さんは感じていると言います。
そのために時代性という部分は無視できないと考えているようで、その時代に対して自分なりにどういう考えとスタンスを持って挑むのかという部分で、時代時代に合わせて変わったり変わらなかったりしている部分があると話してくださいました。
昨年リリースした4曲入りEP『Smells』は、田中さんが現代の音楽事情からリスニング環境を提示した1枚。日常的なリスニングが、ほぼヘッドホンになっているという点に注目し、ヘッドホンで聞いてもらうように意識して作った作品。ヘッドホンだからより感じられる音を色々と盛り込んだと言います。
ヘッドホンで聞いてもらうために、CDは制作せずに配信のみのリリースでしたが、Spotifyのバイラルチャート1位になるなど、大きな反響を呼んだ作品です。まだ、聞けていないという方は、ぜひヘッドホンで楽しんでみてください。
カレー研究家を名乗る
先週も少しお話しいただきましたが、カレー研究家としての一面も持つ田中さん。実はカレー研究家という肩書は去年から使用しているもの。Instagramに自作のカレーの写真をアップしていった所、話題になり7月には東京カリー番長主催のイベントに“ゲストシェフ”としてお呼びがかかるほどに。
それを契機に“カレー研究家”とし名乗るようになり、日々スパイス研究に余念がない様子です。
カレーづくりを公にし出したのは昨年からのようですが、実はカレー歴は20年ほど。札幌出身の田中さんが上京した当時、東京にはスープカレー店がなかったことから、自作したことが始まりなのだとか。田中さんが作るカレーは、こちらからご覧ください。
https://www.instagram.com/spicedub/
文化百貨店で扱いたいモノ
番組でいつも最後にお聞きしている“文化を扱う架空の百貨店でバイヤーとして一角を与えられたら”という質問に「音楽でもカレーでも自分のオリジナルのミックススパイスが効いた作品を販売したい」という田中さん。田中さんセレクトの聴覚と嗅覚に訴えかける華やかな一角になりそうです。
といった所で今回の文化百貨店も閉店となります。次回は中国・北京を拠点に活動されている建築家の勝田規央さんをお迎えします。
今週の選曲
田中義人さんセレクト
Love Enough / Yoshito Tanaka
山崎晴太郎セレクト
Channels / Daniel Brandt